「VOCALOID HEARTS」~第5話・漆黒の制裁者~

投稿日:2013/08/23 16:45:00 | 文字数:3,360文字 | 閲覧数:428 | カテゴリ:小説

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皆さん、今晩は!
今回は第5話を投稿させて頂きました。途中、回想シーンを入れたせいか、妙に長くなってしまいました。

後は警察介入の急展開について、後から見直してみたら「どうしてこうなった」ですねw

本来のストーリーなら、リツが傷を負ってそこから逃亡する予定でした。しかしここは、身柄を拘束されるという設定でいきました。

次回もまた見てやって下さい!

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 誰かに後をつけられている。誰かが俺たちを狙っている。誰かがずっとこちらを見ている。

 気のせいか…

 いや、違う。目的は分からないが、確実に俺たちを狙っている。どうして後をつける? どうして隠れている? 用があるなら、正面から出てこい。怖じ気づいたのか? 人目を気にして、出てくる度胸も無いのか?

 分かっているぞ。MARTを幾度となく潰そうとした、お前なんだろう? さっきからこそこそと…だが何故、今になって動き始めたんだ? お前ならこの俺の命を奪うことなんて簡単だし、いつでもできただろう?

 違うか?波音リツ!


「…カイトさん?カイトさん?」

「やっぱり変だよ、カイトさん…ファミレスで帰るって言った時から、ずっと…」

「大丈夫だよ。急用ができたって言ってたし。きっとMARTに重要な依頼が来たんだよ。それでカイトさんは少し考えているんだよ、きっと…」

「私の気のせいなのかな…」


 レンがごまかすのは、もう無理が出てきそうだ。明らかにカイトの様子がおかしいのだ。さっきのファミレスで聞いた不穏な人物の目撃談。それがかつてMARTの仲間を狙った、トリプルエーの波音リツかもしれないのだ。

 彼らは忘れもしないだろう。数年前、MARTのメンバーとその同士たちが、違法に量産されている軍用アンドロイドの開発工場を叩く、秘密裏の作戦を決行した。敵が最も油断するであろう、深夜の工場稼働終了直後を狙って強襲した。

 すべては計画通り。そのはずだった。だがこの強襲の情報は、なぜか相手側に漏れていた。MART側が勢いづいた時、波音リツの拳銃弾がメイコの脇腹を貫通した。その後、みるみるうちに仲間はトリプルエーの援軍と私設部隊に、一掃されていった。そしてメイコは重傷を負った。何気ない1発の銃弾で。倒れた彼女に必死に呼びかけるカイトの声が、工場に虚しく響きわたった。そこへ現れたのは、リツ、ルナ、そして重音テト。


「カイト、ごめんね…うっ…ああっ…!」

「めーちゃん、めーちゃん! 駄目だ…しっかりしてくれよ…!!」

「…どうする?」

「どうするも何も、始末する以外に何がある? こいつはMARTのリーダーだ。それにこの女も、我々のブラックリストに載っている1人だ。この場で、2人ともまとめて消せ」

「………」

「どうしましたの、リツ?」

「何だ? 悲惨な場面を見て、情でも移ったか?」

「………」

「ふっ、自分が傷を負わせておいて、最後のとどめもさせないとは」

「執行長。掃討は、ほぼ完了しました」

「ほぼでは駄目だ。残党は1人残らず狩れ。警察が介入する前にな。これは命令だ、絶対事項だ!」

「は…はっ!」

「さて、待たせたなMARTの2人。このリツが無理だと言うから、私がこの手で楽にしてやる。私が銃に弾を込めるまでの、残りわずかの人生を楽しめ」

「カイト、もう…私……」

「ダメだメイコ…!しっかりするんだメイコ…!!」


 テトの愛用するブラックカラーのデザートイーグルに、マグナム弾が押し込まれ、狙いがメイコに定められた。虫の息の女と無慈悲な目の女。カイトはただ、ひたすらメイコの名前を呼ぶ。


「まずはその女からだ。よくも今まで手こずらせてくれたな…だがそれも今日で終わりだ。私が手にかけた、お前たちの仲間によろしく」


 だが2人は生き延びた。多くの犠牲と悲しみ、そして絶望の上に。この日の出来事は彼らにとって、そして後世まで続くであろうMARTの、決して忘れられない忌むべきものとなった。


「……カイトさん!カイトさん!」

「あ…うっ…ここは、どこだ?」

「MART近くの公園です。ここまで歩いてる途中に、急にカイトさんがふらついて、公園に入ったところで倒れちゃったんですよ…」

「ああ、そうなのか…?」

「覚えてないんですか?」

「すまないな…2人が運んでくれたのか?」

「はい。ファミレスを出てから、ずっとカイトさんの表情が険しくて、それで今度は倒れてしまったから、大丈夫かなって…」

「ごめんよ。俺もひどく考え事をしていたから…」


 レンの話を聞いたカイトは、自分はいつの間にか倒れてしまったということを知った。その直前の記憶もない。どうしてこうなったのかは、カイト自身も分からなかった。だが悪い夢…あの忌々しい過去の夢を見ていたことは覚えていた。


「酷くうなされてましたよ…カイトさん、立てそうですか?」

「…だめだ。少しふらつくな。それに頭痛もする」

「そんな事だろうと思って買ってきましたよ、ボファロン!」

「ああ、頭痛にバ○ァリン、じゃないんだな…」

「そんな薬はありませんよ。さあ飲んでください!」

「水はないか?」

「そこで水道水が飲めますよ」

「よし、ボファロンを一錠くれ…ってこれ水が出ないぞ? 蛇口が壊れてるのか?」

「あ、今日は確かこの辺で水道管工事が…」

「断水中じゃないか!」

「でもでも、そこの角に自販機ありますよ!」

「なんだ」

「あ、カイトさんは休んでて下さい。僕が買ってきますから!」

「ああ、ありがとう」



 カイトのために水を買いに走るレン。自販機を目指して角を曲がろうとした、その時だった。レンは、うっかり誰かにぶつかって尻餅をついた。相手は大の少年がダッシュで走ってきてぶつかったのに、まったく動じなかった。


「いてて…ごめんなさい、前を見てなかったで……」


 そこに立っていたのは、カイトが恐れていた、あの波音リツだった。その目線は冷たく、無表情の顔はレンではなく、カイトの方を向いていた。


「…え?」

「レン君、大丈夫か…あっ!?」

「誰ですか、あの人?」


きょとんとした表情のリンをよそに、2人は金縛りにあったのかのように、もうまったく身動きが取れなくなっていた。リツの口が開く。


「…探したわ」

「に、逃げるんだ…レン君! こっちに来い!」

「な、何!?」

「…待ちなさい」


 するとリツは腰ガンホルスターからピストルを素早く抜いた。カイトはいち早くそれに気づき、レンを庇うように自身の体を前にやり、リンを庇うように銃弾の延長線上に立った。そして必死に叫んだ。


「やめろっ!!」

「カイトさん、危ない!」


 リツは引き金を引いた。火を吹いた弾丸は、カイトの肩、レンの頭上、リンの頭の白いリボンを逸れ、向かった先は…そのまた向こうで拳銃を構えていた、誰かだった。


「あっ…!」

「外れた…当たってない…?」


 撃たれた誰かは肩に被弾して倒れたが、しばらくしてから発砲し返した。それは遠く離れたリツの左腕に被弾した。ピストルはリツの手を離れて宙に舞い、草むらの中に落ちた。


「きゃあっ! くっ…!」

「今だ! 確保!」


 すると思いがけないことに、路地のあちこちからスーツの集団が銃を構えて現れた。あまりの急展開にMARTの3人は、事の状況が何が何だか分からなくなっていた。気がつくと、リツはスーツの男たちに取り押さえられていた。その傍らには手錠が。


「やめて、離しなさい…!」

「押さえたか?」

「押さえました!」

「波音リツ、あなたを現行犯逮捕します」

「こんなの…間違ってる…」

「な、何が起こったんだ…?」

「いや…いや…っ……」

「警部! 大丈夫ですか!?」

「わ…私は肩を掠めただけです。それよりも被害者の安否を」

「うっ…うっ…」

「お嬢ちゃん、もう心配しなくても大丈夫だよ。おい、救護班を呼べ!」

「カイトさん、あの撃たれた人ってまさか…!」

「そのまさかだな…おいおい、今日は本当にどうなってるんだよ…」


 撃たれた人物は肩を押さえながら、カイトたちの方へ歩み寄って来た。2人は、その人物を見て大層驚いていた。


「…お久しぶりです。カイトさん、レン君」

「ユフお姉さん!」


 雪歌ユフ。警視庁人造人間捜査部・第一課警部。MARTの元メンバー。体は弱々しくも心は強く、かつてカイトの傍らで共に戦った女性である。


 初めての方は初めまして、オレアリアと言います! 最近、さりげなく名前変えました(笑)
 様々なクリエイターさんの創作作品を見たい思いでピアプロにやって来ました。そのピアプロのユーザー様のおかげで、底辺の作家ながら今日まで創作活動を続けられています。

 現在はシリーズものを中心に、番外編も交えながら小説を書いています。イラストは自身の画力不足で、とてもうpできません…でも、ごくたまに晒すかも? そんなワケで、ここでは身内や友人のイラストを投稿させて頂いています。更新の方は自身の都合上で、なかなか思うようにできていませんが、時間の合間を縫いながら少しずつ書いています。
 なお、7月下旬から「VOCALOID HEARTS」シリーズ多数が注目の作品入りしています。こんな駄作が…ありがとうございます!

 軽い挨拶と紹介になりましたが、皆さんよろしくお願いします! 余談ですが、カラオケでの十八番はいろは唄とかだったり←

 メッセージ等は必ずお返しします…とか言っときながら返信おせーよ!
 お友達やフォローも大歓迎です!(フォローして下さる時は、メッセージで報告して頂けると、フォロー返しがしやすくて嬉しいです)

 プロフ画像の重音テトは、リア友のwestさんが書き下ろしてくださいました! 絵のイメージは「VOCALOID HEARTS」作中に登場する査察部隊・トリプルエーのテトからです。
 
 2014年も、よろしくお願いします!

・ツイッター
http://twitter.com/ocelot0207
・ユーザーID
ocelot0207

※現在、7話~21話までのボカロハーツの文章とストーリーを修正しています。

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作品へのコメント2

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    ご意見・感想

    今日はオセロット隊長!
    しばらくメッセージができずにいましたが、やっと読ませていただきました!


    このパロネタからまさかのリツの登場が絶妙ですねww
    しかもボファロンとかボロナミンVとかに1つ1つ細かい設定がwww


    しかしなんてキレイでカッコいいカイト兄さんなんだ…
    こんなイケメン兄さんは他にいないですよ!

    次回も楽しみに待ってますよ!

    2011/06/10 15:10:53 From  ミル

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    メッセージのお返し

    ミルさんお久しぶりですね!メッセージありがとうございます!

    やっぱりこのパロディの多さは自重しないとリアル企業様に怒られてしまいますね…ww

    いや、これ以上に綺麗でイケメンなカイトの兄貴は絶対他にもたくさんいますよ!
    例えばアナザー・ワールドイズマインとか……でもロリ誘拐のカイトは忘れられな(ry


    次回も短期更新できそうなので暇な時にでも見てやって下さい!

    2011/06/10 19:16:29 オレアリア

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    ご意見・感想

    はいどうも!コラボ申し出をした瓶底眼鏡です!←

    話を展開してゆく上で目指すものの割合が減るのはよくあること←

    どういうことだ……?警察とAAAは近しい勢力の筈では……?
    謎ですね……

    しかし、「ボファロン」に「ボロナミンV」、「ボカロウォーター」ですか……なるほどなるほど←

    2011/06/10 00:02:31 From  瓶底眼鏡

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    メッセージのお返し

    瓶底眼鏡さん今晩は、メッセージを下さってありがとうございます!


    内容についての返信を個人宛にしてしまいました、すみません(汗)
    また其方の方で見てやって下さい!

    2011/06/10 19:11:51 オレアリア

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