凡例:《》で囲った部分は読み仮名

キュクロプス

正義の名のもとに振るわれる棒を
真偽の疑わしきまま振るうひとたち
それは二度以上も見た歴史

苦しみはこれ以上ないと訴えるひとを
苦しさはそれ以上があると諭したくなる時
それは二度以上も辿った道

言葉に依って生きるはずの者たちが
尻についた欺瞞を拭ききれないまま
正しさや品位といった名言を腐らせてゆく
それは二度以上読まない紙

たやすく敵を見分けているのではなく
たやすく敵を作っているのだと諭した事
それは二度以上空虚に響いた

よく見えすぎる目を持っていた
口を噤むには真実を感じ過ぎた
予言する姫は不信に囲まれていた

そして彼女は片目を閉じる
キュクロプスは成れり。

信条は自身に課すもの
心情は勝手に浴びせられるもの

落ちては積まれる勝手論の砂利に
表≪おもて≫だけ見ていては振り回され
裏が透け見えては嘔吐する
見えすぎることで自家中毒する生≪せい≫
視覚なしでは制限の多すぎる生≪せい≫
暁に明星を見るため
宵闇に鴟梟≪しきょう≫を見るため

そして彼女は片目を閉じる
キュクロプスは成れり。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

キュクロプス

ポエトリーリーディング用の素案です。
時間がとれずCeVIOでの作業が難しいため、
他の利用法をお持ちの方にゆだねようと公開しました。

「疲れた時、気が付くと片目を閉じている」

閲覧数:174

投稿日:2018/10/06 22:25:24

文字数:484文字

カテゴリ:その他

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