凡例:《》で囲った部分は読み仮名
キュクロプス
正義の名のもとに振るわれる棒を
真偽の疑わしきまま振るうひとたち
それは二度以上も見た歴史
苦しみはこれ以上ないと訴えるひとを
苦しさはそれ以上があると諭したくなる時
それは二度以上も辿った道
言葉に依って生きるはずの者たちが
尻についた欺瞞を拭ききれないまま
正しさや品位といった名言を腐らせてゆく
それは二度以上読まない紙
たやすく敵を見分けているのではなく
たやすく敵を作っているのだと諭した事
それは二度以上空虚に響いた
よく見えすぎる目を持っていた
口を噤むには真実を感じ過ぎた
予言する姫は不信に囲まれていた
そして彼女は片目を閉じる
キュクロプスは成れり。
信条は自身に課すもの
心情は勝手に浴びせられるもの
落ちては積まれる勝手論の砂利に
表≪おもて≫だけ見ていては振り回され
裏が透け見えては嘔吐する
見えすぎることで自家中毒する生≪せい≫
視覚なしでは制限の多すぎる生≪せい≫
暁に明星を見るため
宵闇に鴟梟≪しきょう≫を見るため
そして彼女は片目を閉じる
キュクロプスは成れり。
キュクロプス
ポエトリーリーディング用の素案です。
時間がとれずCeVIOでの作業が難しいため、
他の利用法をお持ちの方にゆだねようと公開しました。
「疲れた時、気が付くと片目を閉じている」
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