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投稿日:2008/12/16 21:28:06 | 文字数:872文字 | 閲覧数:275 | カテゴリ:小説
とりあえず一話up。
タイトルはまだ決めておりません。
一話
部屋の角には蜘蛛の巣。光はなく、薄暗い。狭く、あるのは酷く汚れた光を運ぶことない窓だけだ。そして極め付けには埃だらけ。どこをどう見ても、生活感がないこの部屋に、人が住むような場所ではないこの部屋に、僕らは確かに、住んでいる。
掃除跡のない床に、埃で覆われていないところが点々と。それは足跡であったり、人型であったりする。大きな人間の痕跡ではなかった。僕らの動いた証拠だ。僕らが生きている、少ない手がかりとなる。
隣でリンが寝息をたてている。
──僕とそっくりの顔。金髪に青がかった目。顔の形。服装こそ違っても、殆ど同じ。これは、双子だからに他ならなくて、僕らをこんなところに追いやった原因でもあって、それでも僕はこの事実に満足している。何故だろう、恨むなんてもっての他だと、心の底から感じるんだ。こんな事になっているとしても、二人で助け合って行こうって、思えるんだ。誰かが言うかもしれない。それは可笑しい、変だって。そしたら僕らは言うだろう。これが僕らなんだ、って。
そっとリンの髪を撫でる。起き上がってても、主人の起床時間にならない限り、この部屋に光が差すことはないんだけど。それでも、起きていないといけない理由がある。それはその内、誰にでも分かることだろう。
此処に着てから、時間の感覚が驚くほど正確になった。秒までは分からないけれど、今では何分位まで当てることが出来る。きっと今は六時四十七分のはずだ。……間違っていないと良いんだけれど。
「リン。起きて。──朝だよ」
小さめの声で言っても、リンはゆっくりと目を開ける。これも此処で過ごすようになってから身に付いたものの一つだった。大きな声を出すと怒られるから。絶対にそんなことはあってはいけない。
「おはよう、レン」「おはよう、リン」
薄く笑って挨拶をしてくるリンに、そのまま返事をする。リンも直ぐに立ち上がって、無言でお互いの目を見た。
「「今日も頑張ろうね」」
いつもの最悪な一日が、始まろうとしていた。
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【ボカロ】めーちゃんが羊【愛の劇場】
【ボカロ】めーちゃんが羊【愛の劇場】
冬の朝陽を浴び、私はゆっくりと目を開いた。
いつもと変わらない朝。
だけれど・・・・
もふもふ
【ボカロ】めーちゃんが羊【愛の劇場】
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リグレットメッセージ ~数年後の君へ~
※この作品は「悪ノ娘」「悪ノ召使」のネタばれでもあります。
朝焼けの太陽が波間を僅かに赤く染め上げている。
静かに寄せては返す波音を聞きながら、大きく伸びをした。
今日はいい一日になりそうだ。
朝の清々しい空気を胸いっぱいに吸って、ゆっくりと吐き出す。
リグレットメッセージ ~数年後の君へ~
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Cafe・ロータス・イーター 1
開店時間のほんの少し前に森はコックコートに着替えて髪をひとつにまとめて、厨房に立っていた。
「おはようございます。」
先に作業をしていたスタッフの女の子のあいさつに、森もおはようございます。と声をかけながら、手を洗った。
先に作業していた女の子は最近入ったばかりの専門学生だった。短い前髪に小柄な姿が年齢よりも幼く見えるけれど、仕事を覚えるのも作業速度も速い。朝の作業があらかた終了している事を確認しつつ、森も前日焼いて休ませておいたケーキを型から出して切り分けたり、と開店の為に手を動かした。
程なくしてホールで開店準備をしていた鳥海から、もうすぐ開店です。と声がかかった。
Cafe・ロータス・イーター 1
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【到着】二人三脚-1- 【えっと、お前誰?】
この物語は、一人の少年と手違い(?)で届いたVOCALOIDの物語である。
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やっとだ。
息を大きく吸って、吐く。
そして、
【到着】二人三脚-1- 【えっと、お前誰?】
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Cafe・我侭姫と無愛想王子・1~WIM~
綺麗にカールした睫に縁取られた、アーモンド形の黒目がちの瞳。形の良いアーチ型の眉に筋の通った鼻。口角の上がった唇は果物のように甘くてつややか。手入れの行き届いた長い髪はトレードマーク。まだ幼さのある輪郭に、少女と大人の境目を行き来するうなじ。細い肩にすらりと伸びた華奢な手足。ちょっと胸元が貧弱なのはご愛嬌。
どんな女の子にも負けはしない。だって私は世界で一番のお姫様。
普段は二つに結い上げている髪を下ろして毛先をゆるく巻いてみた。靴はつま先にリボンのついた新しいヒール。モノトーンの甘めワンピースにお気に入りのカーディガンを羽織ってみる。寒いから首にはストールをぐるぐると、でも可愛らしく巻いて。
今日のコーディネートは最強。
そう意気揚々と私はアルバイト先のカフェへと向かった。古いビルの二階にカフェがあり、その3階は店長の住居スペースなのだが、一部分、お店のスタッフルームとして使用させてもらっている。
Cafe・我侭姫と無愛想王子・1~WIM~
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メイコの日【カイメイ】
「メイコさんっ」
五月五日の昼食後。居間で食事を終え、部屋に戻ろうと廊下を歩いていたところ、唐突に背後から呼び止められた。
「カイト?」
駆け寄ってくる足音に振り返る。声で分かった。呼びかけてきたのは青い髪の「弟」だ。私の間近で足を止めて、じっと私を見つめてくる。
頭ひとつ高い「弟」のカイトを見上げると、カイトが柔らかく微笑んだ。
メイコの日【カイメイ】
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レンリン(学パロ双子設定)
【胸がきゅっとなる】(レンリン)
「ずっと一緒にいられたらいいのにね」
夕焼けがまぶしい、学校の屋上。体育座りで膝を抱えたリンが、枯れたような声で呟く。
一緒にいられたらって、誰が?……俺が?
レンリン(学パロ双子設定)
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ミク誕生日おめでとう! 2009/8/31
私は静かに街灯で照らされた夜道を歩く。
小さなその住宅街の裏通りはひっそりと静まりかえっていた。
八月三十一日。
それは人間の言う誕生日というもの。
ミク誕生日おめでとう! 2009/8/31
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― 出会いそして・・ ―
とある昔のお話
金色の狐と姫の物語
狐の名を子狐レン。
姫の名をメイコ姫。
狐が恋をしたのは、人間の姫でした。
― 出会いそして・・ ―
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幸福の在処
購入したボーカロイドが、不良品だった。
「マスター、どこにいるのかしら?」
「……君の、目の前にいるよ」
ボーカロイド。機械の彼女は、見た目は何一つ人間と変わらなかった。
私は半年前から、彼女に会うことを、本当に楽しみにしていた。
幸福の在処
(プロフィールはありません)