「夏空」小説/エピローグ

投稿者: usericonルナリーさん

投稿日:2020/06/28 16:42:57 | 文字数:2,629文字 | 閲覧数:130 | カテゴリ:小説

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頭痛を我慢しながら…

余計な伏線をはったりもしながら…

隔日連載に成ったりしながら…

ここまでたどり着きました。

「夏空」小説版、完結でございます。

全10話、お付き合いありがとうございました。

この物語はフィクションです。

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TEXT
 

「グミー・メグがお送りします、『夏空の碧』。今日のゲストは、話題の新人歌手、ミーク・ハーツさんです」
 グミーが担当しているレディオコーナーで、私の名前が読み上げられる。
「よろしくお願いします」と、私は白々しく言う。
「よろしくお願いします」と、グミーも白々しく言ってから、「でも、ミークは私とは初対面じゃないんだよね」と付け加える。
「ミークは、吹奏楽部で鉄琴叩いてたんだっけ?」
「はい」
「それに飽きたから、音楽…つまり、ポップスを教えてくれって私に言って来て、それから私はミークさんの先生になったわけ」
「今考えると、すごく大それたことをお願いした気がします」
「何言ってんの。私のちゃらんぽらんな授業についてこれたのは、ミークの才能だよ。自信もって」
「ちゃらんぽらんなんてとんでもないですよ。グミーさんが居なかったら、私今でも家でピアニカ吹いてたかも」
「ピアニカ吹いてたんだ」と言って、グミーはハハハと笑う。
「はい。うちに楽器が無くて、グミーさんもお仕事で忙しい間、何かできないかなって思って楽器を探したら、小学校の頃のピアニカが出てきて…」
「確か、風邪引いたとか言ってなかった? そのピアニカのせいで」
「はい。うちに、受験生の妹が居たから、勉強の邪魔しないように外でピアニカの練習してたんです。そしたら風邪引いて、熱出しました」
「風邪引いた後はどうしたの?」
「私のお姉ちゃんを拝み倒して、キーボードとヘッドフォン買ってもらって、家の中で練習するようになりました」
「それは、災い転じてってやつかな? それはそうと、ミークの初舞台について教えてよ」
「ああ、高校の文化祭ですね。ピアノの弾き語りをやって、最初に『本当の拍手』をもらえた舞台でした」
「それが癖になったの?」
「いや、それでもまだ自分の能力には満足してなくて、自分が『こうなりたい』って言う目標が見えて無かったと言うか。それで、色々模索してる時に、『神』に逢ったんですよ」
「へー。『神』って誰?」
「ミユゥ・シフォンさんって言う、別の星のアーティストさんで、すごく綺麗な声してて、『私もこんな風になりたい』って、思いました」
「おー。ミユゥさんに目を付けたのは何故?」
「近所に住んでたお兄さんが、チューナーズのカード貸してくれたんです。それがミユゥさんの曲で、近所のお兄さんには『飽きたら返して』って言われたんですけど、まだそのカードは私の手元にあります」
「おーい。そんなに気に入ったなら、自分で買いなよ。お兄さんにカード返してあげて」
「そうですね。近いうちに返します…」
「さて、ここでミークのデビュー曲を紹介します。タイトルコール、どうぞ」
「はい。ミーク・ハーツで、『七色』」
 音楽が流れ始める。1サビを通過したところで、トークを再開する。
「この曲…『七色』は、どんな時に作った曲なの?」と、グミーが聞いてくる。
「それまで、ほとんどプロデューサーと言っても良いくらいに、グミーさんと音楽作りをさせてもらってて、いよいよ自分一人で全部作るぞ! ってなった時です」
「具体的には、どんな持ち味を込めたの?」
「キラキラしてて、色んな光が見えたら良いなと思って、ピアノの音で色々遊んでみました。同時期にDTMを覚えて、ピアノ以外の音も扱えるようになったんですよ」
「DTMは独学で?」
「そうですね。そこだけは、『グミー先生』も教えてくれなかったので」
「だって君、弾き語りがやりたかったんでしょ?」
「最初はそうでしたけど、段々欲が出てきたと言うか。幸い、ピアノの扱い方は知ってたので、DAWを扱うのもそんなに苦じゃなかったです」
「そんなわけで、ミーク・ハーツさんが本気を込めた曲、『七色』は、現在チューナーズで販売中です。みんな、アクセスカード買ってあげてね」
「ありがとうござました」
「ミークさん。まだ終わらないよ。いったんCMです」
 その合図とともに、CMの音声が流れ始める。
「いやー、君と本当に『お仕事』を一緒にする日が来るとわねー」と、グミーはおしゃべりを始める。
「私も、まさか自分がプロになるとは思ってなかったよ。あの日、グミーが約束すっぽかしてたからここまで来れたわけ」
「約束って?」
「レストランの件だよ。ほんと、災い転じてってやつだわ」
「確かに、あれは私の『やらかし歴』の中でも、かなり上位な失敗だったからね。あ、CM終わるよ」
 そこから、レディオコーナーは、私への個人的なインタビューに変わり、個人情報をばらさない程度の話をしてから、ようやく終了した。

 レディオコーナーが終わってから、私達はリガットのスチーム街に向かった。もちろん、空腹を癒すために。
 以前、私が大食いの功績を認められて、赤飯のおにぎりをおまけにもらったスチーム屋にもう一度行くと、すっかり大人になった、金髪碧眼のウェイトレスさんがいた。
 いつも通り、金糸の髪をお団子に結って、東洋風の刺繍がたくさん入ったドレスを着て。
 今回は、私もやけ食いをしに来たわけではない。何事もないかのように飲茶を頼み、グミーとおしゃべりをしながら焼売を分け合う。
 お客さんの呼び声から察するに、この金髪のウェイトレスさんは、「凛々」と呼ばれているらしい。
 そう言えば、あの時おにぎりを持って来てくれた男の子は、この女の子とそっくりだったよなぁと思いながら、あの時、ちらっと見た少年の名札を思い出す。
 だが、名前の文字は既にうろ覚えだった。
 太らないだけの量をお腹に詰め込み、支払いを済ませて店の外に出ると、店の裏口から誰かが出てきて、「待って」と声をかけてきた。
 私が大食いの功績を残した日、おにぎりを持ってきた、あの時の男の子だ。すっかり背も伸びて、体つきも声も男っぽくなってる。私は思わず、ドキッとしてしまった。
「これは、俺からのおまけ」と言って、男の子はやはり笹で包んだ赤飯のおにぎりを渡してくる。「此処の料理が気に入ったら、また来てよ。俺も最近包丁握らせてもらえるようになったから」
 私は、「ありがとう」と答えて、おにぎりを受け取った。「あの…あなたの名前は?」と聞くと、「蓮」と答えて、男の子は店の裏口に戻った。
 その背中を呆然と見守る私を見て、グミーはニヤニヤしていた。
 茜日の光る夕空の下、私の青い春が始まりそうな予感がした。

作り続ける事を目的としているコラボになります故、月一でアイデアの元としてテーマを掲げております。
テーマから投稿された作品が色々な方々の目に留まり、そこから最終目標のコラボへと通づることが出来れば尚良しです!

楽曲でもよし、動画でもよし、小説、作詞でもよし、イラストでもよし。何でもよし!
とにかく作り続ける事!
身体に無理のないように!

完全思いつきなんで、上手くいくかわからないですが楽しく、そして素敵なオリジナル作品がどんどん増えていければいいなあと思います。

ルールは追々追加していくと思われます。

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