小春日和

投稿日:2008/12/22 20:01:25 | 文字数:3,034文字 | 閲覧数:302 | カテゴリ:小説

ライセンス:

勝手に着想元イラストはとまりさんのこちら↓
http://piapro.jp/content/f63mo6a6iz6q18lg
タイトル「知っててやっている」

割とひさしぶりのにーさん一人称。
やまなしおちなしいみもなし。
登場はKAITOとMEIKOのみ。

実体有りのクリプトン産VOCALIDSファミリー設定

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TEXT
 

 ひゅうひゅうと冷えた風が鳴らすのは枝の音。木枯らしと呼ぶらしい。
 かさかさと枝にしがみつく乾いた枯葉が擦れる音。
 時折強い風がうちつけて、雨戸がごとごとと文句を言う。

3度目の冬の音。

 部屋の中、庭に面したガラス越しに届くうららかな冬の日差しは暖かい。

ゆめうつつ、半覚醒時特有の浮遊感を感じながら、
日光の熱を吸って膨らんだクッションに頬を擦り付ける。

 先ほどまで賑やかだった妹達はまだ戻ってこないらしい。人をイケニエにして一人
逃げた弟はきっと夕飯まではどこかで時間を潰してるだろう。
 気まぐれなお姫様たちの手で念入りに梳かれた髪は確かに指通りが滑らかだ。
さて、衣装を見繕ってくるまで寝てくれるなと言われたものの、ペディキュアが乾く
前に意識が途切れそうだ。

 家族が居ればあれこれ音が絶えないけれど、一人留守番の今は時計と家電の駆動音
くらいしか聞こえない。
マニキュアは乾いたものの、足が使えるまでは動けない。
テレビなり、オーディオプレイヤーのコントローラーでも手元にもってきてもらえば
よかったか。
 暇に任せていつもは気にしない、家の外の音に耳を澄ます。

家の前を通る、のんびりとした速度のあれは二輪のエンジン音。
今追い抜いていったのは運送会社のトラックか。
元気のいい変声期前の甲高い声。彼らは多分近くの小学校からの帰り道。

 次に雑多な音から拾い上げたのは、こつこつと玄関に近づいてくるヒールの足音。
きびきびとした歩幅は耳慣れた感覚。
「ただいまー」
 玄関から響くのはやっぱり姉の声。
 ぱたぱたとスリッパの廊下を進む足音が、今の入り口でぴたりと止まる。
「…怠惰ね」
 少し呆れたような声音が降ってきた。
「うん、自分でもそう思う。おかえりー」 
 片腕を上げて、ぱたぱたと手を振る。
「人が寒い中収録にいってたっていうのに…」
 小言なのか愚痴なのか、それともぼやきか。居間に入ってきた気配に薄目を開ける
と横目に映るのは赤いコートの裾。視線を上げれば栗色の髪をした姉。
 あおりでみると麗しのボディラインが強調されて絶景といえなくも無い。
「…めーこさん」
「なによ」
 今、絶対領域が少々危うい角度だったような気がしたものの、年下のオトコノコ
らしくときめくには開発が同期だったおかげでそういう感情を理解する前に裸や
下着姿も見慣れてしまった。
「そのサンタさんのカラーリングのコートの襟のファーはとっても暖かそうだけどさ。
その丈のツーピースって今の時期寒くない?」
「暖かくはないわね」
 いつもなら一旦自室に戻るところなのだが、暖かい居間から冷えた北部屋の自室に
行くのが面倒になったらしい。
 そのまま畳んでおいた洗濯物から部屋着を見繕うと着替え始めた。
「…いつもごくろーさまです、おねーさま」
 一応こちらに背中を向けるようにしてるとはいえ、慣れってコワイ。
「愚弟、誠意が感じられなくてよ」
 今日の歌に合わせた、きつい印象の化粧もあってつん、とした物言いがよく映える。

わざとらしく呼び方を変えるのも、言い回しに上下関係をつけるのも、
単なる言葉遊びの延長。
内心と態度が裏腹な「ふり」という行為は案外難しい。

「拝んだ方がいい?神様仏様めーこさま…とか」
「お神酒の一本もつけてくれるなら拝まれてあげるわ」
 もっともらしい身振りまで身に着いて、お互い人間らしくなったものである。
「俺のアルコールの在庫はアイスに添えるリキュール類しかないよ?」
 まあ、こういう会話が開発時期の違う弟妹達の目にどう映っているかは知らないが。
「アンタのあれはアルコールが入ったジュースでしょ」 
「えー。度数はビールよりも日本酒に近いんだよ?」
「おとといおいでなさい」
 
「…ところで、なんだかいつもより毛並みがいいわね」
 洗面所から舞台化粧を落としたさっぱりとした顔で戻ってくる。
「わかる?お姫(ひぃ)さんがたが暇に任せてトリミングしてくれたんだけど」
 指どおりのよくなった、少し癖のある青色の髪をひと房摘む。

 それぞれ若草色と蜂蜜色をした妹二人は、時折マイブームの大波にのって悪気なく
家族を巻き込もうと画策する。

蜂蜜色の双子の片割れである弟は勘付くと大抵逃げる。(その成功率は3割くらいだ)
家長の姉に対してはそこまで押しは強くない。(まあ相手はめーちゃんだし)

正直可愛い妹達に構われるのは嫌ではないし。
…大体華奢な体躯の彼女達に本気で抵抗するというのも憚られる。
実際の膂力はともかくとして。
アイドルでもある彼女たちの玉の肌に傷入れたら大事である。主に熱狂的な親衛隊の反応が。
あと下手に逃げると後が面倒とか。
ロードローラーは物理的脅威だが、一晩中耳元でネギへの愛を熱く説かれ続ける
睡眠ネギ説法というのも割と悪夢の種だ。

 そんなわけで今回も弄られるに任せた結果、髪は念入りに梳かれ、マニキュアに
ペディキュアとなんだかきらきらしい有様になりつつある。
 自制のブレーキが壊れるのは毎度の事としても、どこまでエスカレートするのだろうか。
さっぱり未来(さき)が見えない
 もっとも…あの子達がご機嫌になるなら、なんだっていいんだけど。

「それで、あの子達は玩具ほったらかしでどこへ消えたの?」
「なんか、衣装を見繕ってくるって言ってたから、向こうに行ったんじゃないかな」
 撮影衣装はデフォルトが一番多いけれど、歌に合わせた服装というのも少なくない。
一番多忙なミクだけでも結構な量になるのだけれど、撮影後に時間を置いてから
PVを撮ることになったりとか、何かの拍子で使うことになることもあるから
終わったからといっておいそれと捨てるわけにもいかない。
 かといって生活空間のこの家に持ちかえってきても邪魔である。
 そんな訳で撮影所の傍にのマンションの一室を仮眠室兼衣裳部屋として借りて
そこに撮影の終わったアイテムの大半をまとめて保管している。
「…へえ。気合が入ってるわね」
「クラシカルなドレスシャツでも軍服でも狩衣でもなんでもいいけど、できれば、
女物じゃないといーな。…と思ってる」
 きらきらしたモノが好きなのは女の子の性というものらしい。

「ところでおねーさま」
「なによ」
 いつもならきちんと目を見て話す姉があらぬ方向を向いている。
…「きらきらに目がない女の子」がここにも一人いる。実は妹達に負けず劣らず
可愛いもの大好き、キャラに合わないからって控えてるらしいけど。
「そこ、寒くない?」
 日向の特等席を占拠したまま、少し離れて座る姉を見上げる。
「暖かくはないわね」
 ちらりと、伺うような横目と目が合う、すぐに勢いよく逸らされた。
「めーこさん?」
 頬があかいよー?
「洗顔の時の水が冷たかったからよ」
 美人と形容されるほうが多いのがめーちゃんだけど、時々みせるこういう態度は
可愛いと思う。
「めーちゃん、めーちゃん」
「なによバカイト」
 可愛いって口に出すと怒るから言わない。でも可愛い。
「かまってー」
 口実がないと手が出せない人だから、こっちから言ってみる。
「…」
「めーちゃーん」
 そわそわしてるのが隠せてない。背中を照らす日差しは暖かい。

「仕方ないわね」なんて言いながら手を伸ばしてくるまで後少し。

ネットの底辺で物書きしてます。
最近V3にいさんの話に反応してちょっと浮上してきました。

サムネはこさえたビーズの生もの二体。
上はレシピ改造中の試作鳥さん、下は水くらげの頭ぱーつ。
土台の青いのはねんどろ兄さんの頭である。
とーてむぽーる。

 タグ以外の犯行が増えてきたのでピアネームを「愉快犯」に変更。
 一列タグを見かけたら5割くらい愉快犯の犯行かもしれません。

何故使った。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm6109354
http://www.nicovideo.jp/watch/sm6596297


 BMの犯行履歴がタグ付けしたイラスト集になってたり。漏れてたり。


 猫可愛いよ猫。犬が嫌いというわけではないけれど。

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作品へのコメント1

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    ご意見・感想

    >影灯さん
     読了&コメントありがとうございます。

     構って系シスコン長男と女王様系ツンデレ風味の長女のやり取りを楽しんでいただけたのなら幸いです。

    2008/12/22 20:13:31 From  愉快犯

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