童話資料:悪ノ姫君

投稿日:2008/08/26 23:48:57 | 文字数:2,946文字 | 閲覧数:446 | カテゴリ:その他

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歌詞・イメージ参考用のソース集第二段です。
”怖くて悪いお姫様”をテーマに収集したのですが、原典を読んでみるとほんとの意味で悪くて怖いお姫様… というのはあまり多くないということも分かると思います。(例外は”王女の誕生日”くらいかも)
女の子という生き物の哀しさと儚さ、のようなものを表現している悪ノ姫君たち。魅力的ですよーオススメ!

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1.サロメ
2.聖書に登場する古代オリエントの姫君。母ヘロディアが当時の王ヘロデと結婚したことを批判した預言者ヨハネが投獄されたとき、母に命じられて宴席で舞を舞った。舞の褒美をあたえると約束したヘロデ王に対し、「預言者ヨハネの首を」と望んだサロメのため、ヨハネは首を落とされ、処刑されたという。
3.オスカー・ワイルドその他多くの作者によって題材とされた逸話。ワイルドの戯曲ではヨハネにたいして邪恋を抱いたサロメが、己の恋心をはねつけられた怒りによってヨハネの首を求めたとされる。が、聖書の原典ではそもそも"サロメ"という名も登場せず、単に"ヘロディアの娘が母の望みに従って預言者ヨハネの首を求めた"と記述されている。悪ノ姫君か、あるいは単なる母の操り人形か? サロメ像の解釈によってイメージはいろいろ。

1.トゥーランドット姫
2.中国の王女であるトゥーランドット姫は、皇帝の娘でありながら男と結婚することを拒んでいた。彼女は求婚者たちに三つの謎をかけ、それに答えることのできなかった男たちを処刑したため、多くの男たちから恐れられていた。しかし、トゥーランドットの美しさに魅了された王子カラフによって謎を解かれ、逆にカラフの出した謎に答えることのできなかったトゥーランドットは、彼と結ばれることとなる。
3.上記はプッチーニの戯曲のストーリー。トゥーランドット姫自体は"謎かけ姫"と呼ばれる物語のバリエーションであり、プッチーニが基にしたものは千夜一夜物語に出てくる逸話だという。ただし、「求婚者に謎をかけ、答えられなかった男を処刑する姫君」というストーリー自体はグリム童話にも登場するくらいメジャー。ある意味、"かぐや姫"も類話といえる。

1.王女の誕生日
2.スペイン王女の12歳の誕生日、盛大な誕生日の祝いが催された。溺愛され傲慢だった王女への誕生日のプレゼントのひとつが森に住んでいたひとりの小人だった。生まれながらに非常に醜いが、鏡を一度も見たことがないため己の醜さを知らなかった小人を王女は気に入り、小人は自分が王女に愛されていると信じてしまう。だが、王宮の奥で鏡を見て己の醜さを知った小人が、王女は自分を玩具として愛していただけだったと知り、絶望のあまり心臓がはりさけて死んでしまう。その死をしった王女は、「今度からあたしの遊び相手は心臓のないものにするように」と言い放つ。
3.ここまで"悪ノ王女"を極めたお姫様はいないような… オスカー・ワイルド作の創作童話。最後の一言がとにかく強烈な印象を残す。ちなみに"小人"とは妖精のたぐいではなく、畸形として生まれてきたものをいう。近代以前の王宮などでは、"小人"が一種の娯楽的な存在として重用されることは珍しくなかった。

1.フィオリモンド姫の首飾り
2.美貌だが魔術に通じ、魔女であったフィオリモンド姫は年頃になり結婚するように父王に命じられる。だが、結婚を嫌ったフィオリモンド姫は魔法の師匠である魔女と一計を案じ、魔法の鎖を作り出した。その鎖に触れた婚約者は皆呪いによって宝石へと姿を変えられてしまう。だが、婚約者が次々と姿を消すフィオリモンド姫に不審を抱いた侍女がその秘密を知り、姫に求婚した王子のひとりの部下へとそれを教える。彼はフィオリモンド姫に対して一計を案じ、姫が自分の呪いによって宝石へと代わってしまうように仕向ける。こうして首飾りの呪いは解かれ、宝石に変えられた王子たちはすべて元に戻ったが、邪悪な姫の末路を教訓とすべく、フィオリモンド姫ただひとりは宝石の姿のまま塔の天辺に飾られることとなった。
3.ド・モーガンによる創作童話。邪悪な姫君が婚約者たちを宝石に変えてしまう… というイメージが印象的な"謎かけ姫"のバリエーション。しかし、トゥーランドットにしろ、フィオリモンドにしろ、そこまでして結婚したくなかったのを無理やり… という意味でなんとなく同情したくなったりもする。フィオリモンド姫は呪いの結果実父にまで見放されるから特にカワイソス(´・ω・`)

1.沈める都イス
2.フランスの首都"パリ"の名にはひとつの由来が存在する。それは"パ・イス"、すなわち"イスに匹敵する都"という意味である。その名の通り、パリの傍の海の底には邪悪な王女ダユが支配する都イスが沈んでいるという。海の妖精の娘であるダユは海の傍に水門を作って都を築き、キリスト教の教えに反した享楽的な暮らしをおくっていた。だが、あるときダユへと神の使いである男がもたらされ、男に恋したダユは王の首から水門の鍵を盗み、自らイスの都を水没させてしまう。後にダユは人魚になったといい、勇敢な漁師がイスの都を訪れ、イスを浮上させるように懇願されることもあったが、その試みはいまだに成功せず、王女ダユとイスの都は現在も海の底に沈んでいる。
3.ダユは都の人々にドラゴンを与えて商船を襲わせ富を奪わせた、イスが水没した後に人魚になったなど、異国的なイメージの非常に強いお姫様である。霧の強い日にはイスで鐘楼が鳴らされる音が聞こえる、尖塔の先が見える、などという伝承もあり、イスの伝説は非常に異郷色が強い。そしてなんとなくサンホラっぽい。

1.ファルンの鉱夫
2.スウェーデンのファルンにある鉱山には奇妙な伝承が存在していた。鉱山の遥か底には鉱物を支配する美しく残酷な女王が住むという伝説である。あるとき、奇妙な老人の招きによって鉱夫となることをきめた若く美しいエリス・フレーボムは、ファルンの鉱山に行き、働き者の優れた鉱夫となる。その働きを認められて鉱山長の娘ウラと婚約したエリスは、しかし、結婚を目前にして鉱山の奥底に存在する女王の国の誘惑に耐えられなくなり、行方をくらませてしまう。数十年後、ファルンの鉱山で美しい姿をしたまま息絶えているエリスが発見された。エリスの亡骸に結婚衣裳を着た一人の老婆がすがりつくが、彼女は婚礼前夜にして花婿を失ったウラの末路であった。涙ながらに全てを語り、そして息絶えたウラの手の中で、エリスの亡骸は粉々に砕け散って消滅した。
3.ホフマン作。鉱石化した鉱夫の亡骸が発見されたという話は事実を元にしているともいわれ、アンデルセンの著作にも同じ記述があるらしい。また、鉱山の中の異界を支配する妖精女王、という伝承自体は中欧にひろく存在していたらしく、バジョーフ作"石の花"シリーズでも同じモチーフが見られる。威厳に満ちて美しい鉱山の女王と、それに魅了されて異界へと消えていく若い鉱夫、というモチーフはけっこうあちこちに見られる。

ちなみにヨーロッパの話が中心になりましたが、いちおう理由もあって、キリスト教文化の下だと女性はそもそも悪、とみなされるせいか、異能をもったお姫様が"悪ノ姫君"と伝承されることがとても多いのです。日本で言うと"かぐや姫"とか"浦島太郎"の乙姫なんかはあきらかに"悪ノ姫君"の血統なんですが、あんまりそういう風には思われていない気がする。もちろん、単純にヨーロッパ童話が身近だってのもあるけれども。
でも、日本・中国などのアジア圏にもいちおう怖くて悪いお姫様は存在してます…

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