美しき代謝 -ショートストーリー-

投稿日:2011/11/03 17:26:09 | 文字数:1,553文字 | 閲覧数:922 | カテゴリ:小説

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0-9の11作品目になります「美しき代謝」のショートストーリーです。よろしくね。

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<少年Aの証言>

人が生まれ変わるとして
僕は今まで何回くらい死んだのかな?
そもそも僕は僕で居続けられたのかな?

ある時は貧しい国で生まれ幼いまま死んだり、
ある時は激しい戦争の最中で志半ばで死んだり、
顔や性格や時代や生まれ育った国だとか、様々な違いはあるだろうけど。

どれだけ愛し合ったのかな? 
どれだけ殺し合ったのかな?

その度に今と同じような感情を抱いたのかな?
それとも今とは全く異なる感情を抱いたのかな?
その感情は今の僕にも共感できる感情なのか?
それとも全く新しい感情なのかな?

その先に結局、僕は僕をやめたのか、やめなかったのか。
あるいは諦めたのか、足掻いたのか。
どちらが正しかったとか明確な答えはないのだろうけど、
いつまでも僕で居たいという思いは常に持ち続けたのだと信じたい。

その先に僕はまた僕として生まれ変わりたいと願ったのかな、拒絶したのかな。
全ての答えが現世だとは限らないのだけれども、
自分を誇りに思うには、何か根拠や保障が欲しいと思ってしまうのもまた僕だ。

それなにの今までの前世の記憶が全く残っていないのは
死に対する恐怖を与える為なのかな?
知らない方が幸せな常識なのかな?

何の疑問も持たずに、生きている人間が正解なのかな?
そんな人間と動物園で飼い慣らされた獣とどれだけの違いがあるのかな?

人間の定義を考えた時
僕はいつも孤独を感じてしまうんだ
いつの時代も人は人を愛せずには居られないのに

もし来世があるとすれば
僕は今よりも僕らしく生きていけるかな
現世を諦めている訳ではないけれど
ちょっと疲れたみたいだから

時代の狭間を見つけて少し休憩しよう
また新しい朝が来れば
また新しい自分に会えるよ


それが愛しき浄化です。
そして美しき代謝です。


<容疑者Aの証言>

太陽が死にたいと呟いたんだ、とても疲れた表情をして。

そんな話を誰かにしても信じてもらえないだろうけど、本当だ。
太陽が話す訳がないだろう。と皆は笑うだろうけど、本当だった。

僕はそんな太陽を見守る事に胸が苦しくなった。
何か声を掛けたかった。しかし何の言葉も出てこなかった。
伝えたい事はたくさんあったはずなのに、
いざ言葉に出してみようとすると何も出てこない。
あるいは空白の言葉が魂の抜け殻みたいに彷徨うだけだった。

恐らく太陽は月のことが好きだったんだ。
そして月も太陽のことが好きだったのだと思う。
しかし地球が邪魔をして二人の距離を縮めさせないんだ。

そんなことも知らずに人類は自分勝手に宇宙を怖がるから、
地球は人類とある約束事をしたんだ。
しかし数万年も経つと人類は地球との約束なんて覚えていない。
だから約束を守る人類なんてどこにも居ない。
恐らく約束事を知らず、結果的に守っている人類は少数ながら存在する。
それは約束を守ろうとした先住民からの教えを今も忠実に守っている民だろう。

太陽が本当に死んだとしたら、月は涙を流すだろうか?
または太陽の方が先に涙を流すだろうか?
どちらにしてもその涙は僕の病んだ心を浄化してくれるだろう。
そしてその先には新しい世界が始まるはずだ。
それが美しき代謝。


<見解>



だから言ったじゃないか、地球は赤かった、ってね。
宇宙はあんなに暗いのに、太陽はあんなに眩しいのに。
でもね、そんな当たり前が時々怖くなるんだ。

だって、太陽も宇宙も月も地球もたったひとつしか無いんだよ。
どれかひとつでも無くなったら僕たちの存在はバランスを崩し、
もしかすると僕は僕じゃ居られなくなるんだ。
君の命だってひとつしかないのにね。
なんだか、とても不公平だよね。

僕の罪の方が多いのに。

0-9の作詞担当をしているアサキです。

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