図書館の騎士 歌う海1

投稿者: usericonkanpyoさん

投稿日:2013/08/31 03:02:57 | 文字数:1,929文字 | 閲覧数:86 | カテゴリ:小説

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本来、第1話にと気合を入れて書いたエピソード。
海賊船との戦いを書きます。

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図書館の騎士シリーズ新章。

回想話で
カイトとリンの初めての出会い。
そして、次の冒険へ。
頼りない騎士と、超強いお姫様の御伽話。




カイトが初めてミラー家に来たのは一年前。

古く小振りではあるがしっかりとした木造の三階建ての屋敷で
蔓草絡まるその風体はこの森に溶け込んだけの時間を示していた。

風通しの良い書室だった。

二階にあるその部屋は、良くある陰湿な書室と違い
柔らかな西日と優しい風がゆっくりと混ざり合う。

窓を背にした年代物の大きな机には、沢山の古書が積まれていて
いかにも高級な革を張り込んだ表紙の分厚い物や
日に焼け色褪せた紙を糸で綴じただけの物など
本棚に収まっているものもあれば、ただ重ねられている
だけの状態で置かれてたり、忘れ去られた象形文字を彫りこんだ
石版が何枚も雑多に積まれていた。

「やあ、来たな」

積まれた古書の向こう側から甘ったるい少女の声がして
小さな白い手がするりと伸びて一番上にある本をまさぐっている。

その手がどんどん本を退かしてゆくと、西日に透けて交じり合った
稲穂のような金色の髪が見えてきた。

あまりの美しさに、その様子を見惚れていたかったが
カイトは気を利かし本を退かすのを手伝う。

「おう、すまないね」

甘い少女の声にしては余裕と悟りを含む言葉使い。

そして机の上の本がなくなると、金髪の少女の顔が現れた。

大きく、長い睫毛にターコイズブルーの瞳、透けるような白い肌。
貴族の娘であれば必ず長い髪が常識なのに、彼女の金髪は肩までしかなく
毛先はくるりと外に跳ねているのが印象的で
その佇まいは見目麗しい御伽噺のお姫様のようだ。

「息を引き取る前に、お前のじい様から手紙が届いてな。
孫の事をよろしくと書かれていたよ」

「……はい」

カイトはどうにか返事をすることが出来た。

「―――ん?、おぬし、わしに見惚れてるのか?」

「あ!い、いえ、そんな恐れ多い……」

こうもはっきりと言われるとは油断をしたが
図星といえば図星である。カイトは咳払いをした。

「あはは、まあ、そうだな。わしは、かわいい部類だろうて。
そういえばお主の爺さんもよくわしに……つきまとっていたっけかな」

美しくもあり、少女のような可憐さもある。
ここまで言い切られれば逆に清清しく、好感がもてる。

「は!?私のおじい様がですか!」

「ああ、若い頃の話でね。わしと結婚してくれ!
なんてよく人目もはばからず膝を付いて懇願されたものさ。
わしは夫を亡くしたとはいえ結婚していたしな。
愛嬌のある男じゃったが……ちと、しつこくてね」

「お、お恥ずかしい限りです」

首をもたげ、口を歪ませてカイトの赤面する様子を
リンは笑みを浮べると、カイトの前に手を差し出す。

「ほれ、どうした?」
「あ、これは失礼を―――」

リンの前に膝まずき、差し出された手を優しく受け取り
手の甲に挨拶のキスをした。

「はじめまして、ミセス・リン・トオン・ミラー様。
私は王立図書館のから派遣されたカイト・ブルーフラットヘアです」

「ごきげんよう、カイト殿。王立図書館から我、魔導図書館の
鑑定をされるとの旨、了解してます。この通り私の書斎ですら
この有様ですから、その鑑定には相当の時間がかかると思われますので
その間、このミラー家の客人として丁重に扱わせていただきます。
どうぞ、くつろいでください」

「御気使い、恐れ入ります」

「後ほど、現当主であるレン・ハオン・ミラー二世にも
面通り願うが……、今、体調が悪く、先ほどやっと
眠りについた所で……」

「それは大事を取っていただけねば。頃合を見て私のほうから
ご挨拶に伺います……」

リンの視線に気づいてカイトは言葉が止まる。

「じい様……、残念だったな。
すこしばかり、助平ではあったが―――、よき傑人だったよ」

「はい……。尊敬できる領主でした。助平でしたが―――」

顔を見合わせて、二人は笑う。

祖父は生前より、幼い頃のカイトを膝に乗せて
リンの事を話していた。

「歳を取らぬ伝説の魔女。生意気で、頑固。オマケに意地悪だ。
だけど、性根はとても優しくて、本当は臆病でな。
……、臆病で弱虫なお前ならきっと、彼女の本当の気持ちを
理解してあげられるのじゃないかって、私は思うのだよ―――」


数々の戦いを経験し、魔王とまで言われる彼女が
本当に祖父の言うとおりの弱さを持っているのかは
まだ分からない。

しかし、彼女の青い瞳の宝石は
カイトの心の中の井戸に、小さく水の跳ねる音を立てて
ゆっくりと沈んでゆくようであった。

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