妖精の毒#92
投稿日:2012/12/05 21:06:05 | 文字数:1,344文字 | 閲覧数:443 | カテゴリ:小説
そう……だれも悪くなかった
そして、消えていく恨みの念……
#92「真相」
叫ぶハクさんを僕は無言で見ていた
嫌悪でも、軽蔑でも、同情でもない……自分でもよくわからない感情で……
「うるさい……うるさい……あの女が、そいつらが、私を……」
ハクさんの髪が乱れ、長い髪の間からあやしく目だけがのぞける
「ハクさん!目を覚ましてください!こんなことをしても、あなたのお母さんも義妹さんも喜びません!」
「…………義妹……そうだ!義妹!そいつが殺したんだ!そして、そこの女王が命令をした!これは本当なんだ!これこそ、復讐だ!」
ハクさんは、完全に我を忘れている
そして、ハクさんが指さしたのはルカさんとメイコさんだった
「そいつらだけでも……殺さないと……」
「……やはり、それも知ってたんですね……」
今のハクさんをみていると、心が張り裂けそうで辛い
「仕方なかったんです……クチハテになった彼女はもう……」
彼女はクチハテとなって亡くなった……
そして……僕はルカさんがどんな想いだったか、知っている
「でも…‥義妹は……ネルは!……ネルはそいつらに殺された!」
ネルさん……彼女がハクさんの義母の本当の娘だった……
ネルさんはハクさんという義姉がいたことは知らなかっただろう……
でも、別れた時、すでに物心がついていたハクさんにとっては忘れられない義妹だったはず……
「ルカさんは!ルカさんは……クチハテになって人を殺めてしまいそうになったネルさんを……仕方なく……」
「嘘よ!そいつは心の冷たい魔女よ!きっと、ネルのことも簡単に……」
「違います!!!」
僕は今出せる精一杯の声で否定した
「誰が仲のよかった幼馴染みを平気で殺せますか!誰がなんにも想っていなかった子のために涙を流せますか!ルカさんは苦しんでいました!いえ、今も……」
「……だって……そんな……あの子は……まだ、これからで……」
そういったハクさんの目には涙があった
「……ハクさん、あなたは本当にとても優しい方だ。それを知った上で、もう一度言います。目を覚ましてください……あなたがやろうとしていることは、お母さんにも、ネルさんにも、そして先代の意志にも反するということに気づいてください」
「…………」
ハクさんは何もいわなかった
ただ、その場に崩れ落ちて両手で顔を隠していた
彼女の両肩は震え、そして、とても小さく見えた……
彼女は、全て、最初からわかっていた……
それでも、抑えきれなかったのは、いままで、母親から先代やリンちゃんに恨みの対象を思いこみで変えて、抑えこんできたが、ネルさんの一件で抑えきれなくなったためであり、これが今回の事件の真相だと思う
間違いなんてなかった……
でも、あえて間違って、自分が正しいと証明したかった……それだけ……
誰も悪くなかった……
母親も、ただ自分の気持ちに正直に親友に娘を託しただけ
先代も、女の子を想って嘘をついていただけ
リンちゃんも、メイコさんも、ルカさんも……そして、ハクさんもみんな悪くなかった
ただ偶然、全てが裏目に出てしまったということであった
作品へのコメント2
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ご意見・感想
ホントは、ネルちゃんがハクさんの義妹なんじゃ……? とか思ってましたよ。
しるるはそういうところ伏線はってるからね←
ハクさん……!! あれ、なんでですかね。がめんがにじんでみえない2012/12/05 21:41:10 From 雪りんご*イン率低下
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ご意見・感想
偶然と運命ほど、残酷な物はないですね。
ルカさん、メイコさん、リンちゃん、ハクさん。
みんな、残酷な程に偶然が重なった。
重なってしまった……。
「偶然」というと偽善にも聞こえる。
「運命」というと、皮肉だ。
どうしようもない、やっぱり偶然から、ルカさんは深く傷ついて、ハクさんは復讐の念に、我を忘れてしまった……。
それをいまからでも、遅くない!
カイト!! 君の腕の見せどころだぜ!?2012/12/05 21:19:45 From イズミ草
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コメントのお返し
偽善と優しさは、紙一重だと思います
少しでも、人によく見られよう、見返しがほしいと思った時、それは偽善になる
正直、私には、本当の優しさを手に入れられる自信がありませんww
この後どうなるかは……言いたいが言えないww2012/12/05 22:37:13
しるる
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妖精の毒#88
#88「昔話」
「あなたの話が無駄話となった時、あなたの命の終わりです」
フードの女性の言葉に偽りはないだろう
でも、僕はまだ終われない
「これはある一人の女の子のお話です」
妖精の毒#88
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妖精の毒#90
#90「本音」
先代とリンちゃんに恨みをもっていた人物
メイコさんに睡眠薬を飲ませることができる人物
あのルカさんを投げ飛ばすことが出来るのは訓練された人物
僕が人間だとあらかじめわかっていた人物
妖精の毒#90
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妖精の毒#79
#79「勘違」
翌日、天気がいい
ただ、孤児院の中が心なしかどんよりとしている
義弟や義妹たちは、いつも通り、元気なのだが、ミクがややぼんやりとしている
完全に僕のせいなのだが……
妖精の毒#79
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妖精の毒#82
#82「再び」
僕とルカさんは妖精の世界への入り口に向かう
「ルカさん、メイコさんとリンちゃんを助ける方法って、考えてあるんですか?」
ただ単に相手方に乗り込んでいっても、駄目なのは目に見えている
「正直、何も考えてないわ。」
妖精の毒#82
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妖精の毒#84
#84「戦闘」
「ええ。二階で生きてますよ。まぁ、今は……ですけど。ふふ……」
不敵に笑う手紙の差出人
「ふざけるな!いますぐ、2人を返してもらう!」
ルカさんが相手に向かって走っていく
妖精の毒#84
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妖精の毒#96
#96「名前」
僕とリンちゃんは、孤児院に帰って来た
僕らが玄関に入ると、雪崩のようにながれてくる義弟妹たち
「おいしゃのおにいちゃん!おかえり!」
「まいおねえちゃん、どこにいってたの?」
妖精の毒#96
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妖精の毒#85
#85「窮地」
黒いフードの女性の正体がわからない
ただ、メイコさんを宮中からさらえる人物がそうそういるはずもない
ということは宮中の人間があやしい……
「あの、メイコさん!ルカさんより強い人って、宮中にいますか?」
妖精の毒#85
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妖精の毒#77
#77「答え」
「ミク~!!」
僕は真っ暗な暗闇の中、傷つけてしまったミクを探していた
今となっては、自分でも、どうして気付けなかったのかと思う
僕はレンの言うとおり、馬鹿野郎だった
妖精の毒#77
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妖精の毒#78
#78「レン」
「ありがとう……カイト兄」
涙を拭きながらそういったミクのその言葉……僕に突き刺さる
「もう、大丈夫!私は、いままでどおり、みんなの義姉ちゃん(おねえちゃん)で、カイト兄の義妹!それでいいんだ!」
ミクが笑顔で僕にそういった
妖精の毒#78
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妖精の毒#83
#83「不敵」
「ここよ。ここがネルの家だった場所……」
そう言って、ルカさんが案内してくれた場所は、一般的な小さくまとまった一軒家だった
今は人が住んでいないのだろう……
人がいなくなってから、たいして時間がたっていないというのに……なんというか……
妖精の毒#83
プロフィールを確認してもらえると嬉しいですw ね?w (15年9月9日更新)
・私の作品はブックマークにまとめてありますので、是非ご利用くださいww
・私は主に物書きですww イラストやトークは飽きるの防止ですねww
・フォローしてくれたら、当然フォロー返しますw
・難しくない作品を目指してます!みんなに気軽に読んでもらえるようにがんばりますww
・かなりレヴェル低い内容で申し訳ないです…
・「お友達になってもいいよ」もしくは、「危なっかしいから、保護してやるよ」という方が、万が一でもいらっしゃったら、気軽に話しかけてくださいwww
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現在執筆中
マイページにて
・新作 予定
コラボ【かなりあ荘】にて
・なし
以上
アイコンは私の嫁イズミさんに描いてもらいました♡
ついったー、はじめました(使いこなせてません
@shiruru_pia
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【しるるの一言】
つかさくんが可愛くて仕方ない今日この頃
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イズミさんは私の嫁、可愛いんだよ
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二人が私の癒し(/・ω・)/