【小説】オーバーヒートに恋して

投稿日:2012/08/26 01:41:45 | 文字数:1,035文字 | 閲覧数:170 | カテゴリ:小説

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ほんのりBL風味に
マスター×レン

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TEXT
 

ブツ……ッ、
耳の奥で、低音域のノイズが騒ぎだし、マスターの帰宅を知らせる。
消えていた意識が通る時のあのゾクリと背筋を這い上る電流が、僕は苦手だ。
待機状態から目覚める度に顔をしかめる僕を、マスターは半ば楽しんでいるようで。
「おはよう、レン」
「ん……おはよぅ」
(マスターの言い方を借りれば)寝起きの悪い僕の頭をわしわしと撫でる。
「いい子にしてたかい?」
「……寝てた」
主電源を落とされて、どんな悪さができるというのか。
僕の返答に含まれる意味を、マスターが理解していないはずはない。
でも。
「そうかそうか、はははっ、レンは可愛いなぁ」
僕の不機嫌を笑い飛ばして、マスターは僕を抱きしめる。
スキンシップ過多なほうではないマスターの、いつもとは違う行動に、支離滅裂な言動。
歌うことに特化したボーカロイドが処理できる範囲を超えている。
「う、え、あ……」
男に可愛いなんて言われて喜ぶのは、思春期の男の子としてはナシだろう。
けど……、でも……。
……なんでいきなりこんなことになってるんだろう。
っていうか……、
マスターが持っている、見慣れない包装を施された箱から、甘い匂いが漂っている。
マスターが苦手なはずの、生クリームの匂い。
なんで?
ああ、また「なんで?」だ。
今日のマスターは、やっぱりおかしい。
「マスター。その箱……」
「ん? ああ、これ」
僕の視線に、マスターは、ちょっとだけ抱きつく手を緩めて、得意げにその箱を僕の前に掲げてみせる。
「ケーキだ!」
「ケーキ?」
なんだってまた、そんなものを。
自分は絶対食べないくせに。
もちろん、僕だって、食べやしない。
でも。
「だって今日は、レンがうちに来た日だろ」
そう言った時の、マスターの得意そうな顔ときたら……。
「……え?」
僕は、思わず聞き返す。
まさか、マスターが覚えてたなんて。
っていうか、僕は忘れてたんだけど。
少しばかり罪悪感に駆られているすきに、
……額に突然口づけされた。
カァアッ。
感情回路が勝手に熱暴走を開始する。
僕は、ボーカロイド。
歌うことを主目的に作られた『機械人形』。
でも。
『歌』は感情の集まり。
だから、僕たちは時に人間よりも繊細な感情を持つことがある。
プシュゥウウッ。
完全に過加熱状態に陥った僕の意識が、安全装置を起動させる音が聞こえて――僕は、再び眠りについた。
次に目が覚めたら、歌を歌おう。
あの日マスターが僕に教えた、最初の歌を。

歌詞作成させていただける方随時募集中☆

HP:http://seiran.boy.jp
twitter:@kinemashounen
ニコ動マイリス:mylist/39869360

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