リグレットメッセージ の。後日談?
投稿日:2009/03/03 13:56:32 | 文字数:2,334文字 | 閲覧数:667 | カテゴリ:小説
まずは長くてごめんなさい。
この小説はmothyさんの「リグレットメッセージ」の後日談という設定です。
同じmothyさんの曲である「悪ノシリーズ」の2曲もちょっと混じっているのでご注意ください。
ちなみに、青い王様と赤い王妃と紫の召使兼騎士が登場します。
あと、ヤリタイホーダイというブログでも同作品を公開しています。2つに分けてますが。
リクがあれば、悪ノシリーズとリグレットメッセージの当日談(?)も書いてみようかと思います。
sarukichi
その港町にある砂浜には、よくガラスの小瓶が流れ着いて来る。
栓のされたその小瓶の中には、必ず羊皮紙が入っていた。そこに書かれているのは、誰かに向けて書かれたメッセージではない。
《いつまでも幸せでいられますように》
《おじいちゃんの病気が治りますように》
そんな、誰に宛ててでもない、願いを書いたメッセージだった。
遠くの田舎町には、願い事を書いた羊皮紙を小瓶に入れて海に流せば、その思いが実る、という言い伝えがあるらしい。その流された小瓶が、潮の流れの関係でこの砂浜にうちあげられるようだった。
「あー……、今日は王がここに訪れるんだから、全部回収しないといけないんだよな…。チッ、メンドクセェ」
もう、革命が起きてから何年の月日が経つだろうか。悪ノ娘と呼ばれた、あの王女の国の領土から、今の王の国の領土となってから、かなり経つ。
その頃王子だった青い彼は王様になり、群衆を先導していた赤い剣士は、今は王様の隣で彼を支えている。
そんな偉い人物が、なんでまたこの場所に訪れるのかは分らない。
そういえば革命のきっかけになった緑の姫と、その頃はまだ王子だった王が1度来ていたか。
彼らがこの場所に来るのは、午後1時。そして現在は12時だ。
何故ギリギリまで片づけをしなかったかと言われれば、『面倒臭かった』と答えるほかない。
もともと極度のめんどくさがりなんだ。俺は。
だから普段から、これを掃除するなんてことはしない。
たまりにたまった小瓶を適当にざっくざっくとかき集める。かき集めては用意した箱にどかどかと放り込む。その度に、ガラスがぶつかる高い音が鳴った。
「ちょっと、早めに着いちゃいそうだね」
王様とその王妃、そして召使兼騎士の紫色の髪をした侍という3人が、馬車に乗って砂浜へと向かう。
思ったより早く済んでしまった昼食のおかげで、予定よりも早い到着になりそうだった。
「待たせるよりマシだと思うけど。それに30分ぐらいでわぁわぁ言う奴は終わってんのよ」
「めーちゃん言いすぎ…」
馬車の中で、王妃と王様の会話だった。たまに面白い発言があったりして、その度に召使兼騎士の侍は必死で笑いをこらえていた。
砂浜の方からでも、王様たちが乗った馬車が来るのを確認できるほどの距離に来た。
勿論、見えるのは砂浜の方からだけでなく、馬車の方からも、砂浜の様子を確認できるのだが。
そこでゆっくり過ごしたいと言っているので、必要以上の人はいない。
波打ち際で、何やら作業をしている人物がいる。
「あれ? あそこにいるのは遊びに来た、っていう訳じゃないよね?」
「そうねー。1人で来るってのはちょっと悲しすぎるわ」
あまりに不思議そうな顔をしていたので、思わず侍は助け船を出していた。
「浜の掃除をしているのではござらぬか? 確か、ここの浜にはよく小瓶が流れて来ると聞いておるが。なんでも、どこか遠くの港町では、願いを書いた羊皮紙を小瓶に入れて海に流せば、その願いが叶うそうででござるよ」
それを聞いて王妃が「よく知ってるわね」と関心したように言う。
王妃は、ちゃんと聞いてくれているのに、
「そーなのかー」
王様が聞いているのか聞いていないのかよく分らない返事を返す。
「…………」
侍は無言で怒りを抑える。
と、そこで馬車が止まった。
どうやら着いたらしい。
馬の蹄の音が聞こえて、その音が止んだのを耳で感じた。
だが、男の手は止まらない。というか、より一層せわしなく手を動かして、小瓶を箱に放り込む。ガラスがぶつかり合う音も幾分か大きい。
「ちょっと早めに来てしまったけど、問題ないかな?」
いつの間にか、王様たちが男の近くまで来ていた。小瓶を拾っては箱に入れていく様子を見ながら、気軽に話しかける。
「あ…。すいません。まだ全部拾えてなくて」
端から拾い始めて、すすんだ距離はまだ半分にも満たない。全部を箱に入れ終わるまでいったいどれだけかかるだろうか。
「気にしないで。それより、この小瓶って全部誰かの願い事なのよね?」
王妃がさも気にしていないように振る舞った後、馬車の中で気になったことを聞く。
「はい。遠くの港町の言い伝えに小瓶を海に流せばその願いが叶うのだとか」
「ロマンチックだね」
説明を聞いて、思ったことをそのまま言う王様。その後ろに付いている侍が拳を握りしめているのに気づいてはいない。
「もし、その願い事が、僕の力で叶えられるものだったら、叶えてあげたいな…」
そう言って、適当に小瓶を1つ手に取る。
「ありゃ。水が入ってる。ロウソクのロウがあんまり染み込んで無かったみたいだね」
その小瓶には、閉めが甘かったらしく海水が入っている。小さく折りたたまれた用紙も、結構濡れているようで濡れた部分が変色している。
栓を抜いて、中の紙を取り出す。湿った紙が破れないように取り出す。
《もしも生まれ変われるならば
》
文字がにじんで、それだけしか読めなかった。肝心の部分が読み取れない。
3人がそのメッセージの内容をじっと見つめる。小瓶を拾っていた男も、そのメッセージを眺めていた。
ただ、なんとなくどこかで見た事がある字に王様が首をかしげる。王様だけでなく、王妃も同じようだった。
「これは……」
必死に、誰の字かを思い出そうとするがどうしても出てこない。
しばらく考えていたが、それをパッと折りたたみ、少し悲しげな顔をして言う。
「どうやら、このメッセージに書いてある願い事を、僕は叶えられないみたいだ……。でも、いつかこれを書いた人に会って、実際に叶えてあげたいね。そう思わない? めーちゃん」
作品へのコメント2
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【到着】二人三脚-1- 【えっと、お前誰?】
この物語は、一人の少年と手違い(?)で届いたVOCALOIDの物語である。
*
やっとだ。
息を大きく吸って、吐く。
そして、
【到着】二人三脚-1- 【えっと、お前誰?】
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Cafe・我侭姫と無愛想王子・1~WIM~
綺麗にカールした睫に縁取られた、アーモンド形の黒目がちの瞳。形の良いアーチ型の眉に筋の通った鼻。口角の上がった唇は果物のように甘くてつややか。手入れの行き届いた長い髪はトレードマーク。まだ幼さのある輪郭に、少女と大人の境目を行き来するうなじ。細い肩にすらりと伸びた華奢な手足。ちょっと胸元が貧弱なのはご愛嬌。
どんな女の子にも負けはしない。だって私は世界で一番のお姫様。
普段は二つに結い上げている髪を下ろして毛先をゆるく巻いてみた。靴はつま先にリボンのついた新しいヒール。モノトーンの甘めワンピースにお気に入りのカーディガンを羽織ってみる。寒いから首にはストールをぐるぐると、でも可愛らしく巻いて。
今日のコーディネートは最強。
そう意気揚々と私はアルバイト先のカフェへと向かった。古いビルの二階にカフェがあり、その3階は店長の住居スペースなのだが、一部分、お店のスタッフルームとして使用させてもらっている。
Cafe・我侭姫と無愛想王子・1~WIM~
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メイコの日【カイメイ】
「メイコさんっ」
五月五日の昼食後。居間で食事を終え、部屋に戻ろうと廊下を歩いていたところ、唐突に背後から呼び止められた。
「カイト?」
駆け寄ってくる足音に振り返る。声で分かった。呼びかけてきたのは青い髪の「弟」だ。私の間近で足を止めて、じっと私を見つめてくる。
頭ひとつ高い「弟」のカイトを見上げると、カイトが柔らかく微笑んだ。
メイコの日【カイメイ】
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Cafe・ロータス・イーター 1
開店時間のほんの少し前に森はコックコートに着替えて髪をひとつにまとめて、厨房に立っていた。
「おはようございます。」
先に作業をしていたスタッフの女の子のあいさつに、森もおはようございます。と声をかけながら、手を洗った。
先に作業していた女の子は最近入ったばかりの専門学生だった。短い前髪に小柄な姿が年齢よりも幼く見えるけれど、仕事を覚えるのも作業速度も速い。朝の作業があらかた終了している事を確認しつつ、森も前日焼いて休ませておいたケーキを型から出して切り分けたり、と開店の為に手を動かした。
程なくしてホールで開店準備をしていた鳥海から、もうすぐ開店です。と声がかかった。
Cafe・ロータス・イーター 1
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三角草の花が咲く
三角草という花があって、淡い紫色の花を咲かせる。
少し肉厚の花びらが、なんとなく和菓子に見えてくる。
そんなことを姉に言ったら、それは花びらではなくがくなのだと、
ころころと鈴が震えるように笑った。
三角草の花が咲く
三角草の花が咲く
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ミク誕
「今日はミクの誕生日ですよ、マスター。」
「......えっ。」
「マスターまさか知らない?」
「ごめん。」
「私の誕生日忘れるなんて。」
ミク誕
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カイトがもし人柱アリスの夢ならば。メイコ編
これは、人柱アリスの「夢」がもしカイトなら。
と思ってかいた小説です。
1.メイコ。2.ミク。3.リンレン。4.カイト
の順でかいていこうと思います。
それでは、どうぞ。。。
カイトがもし人柱アリスの夢ならば。メイコ編
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ボーカロイドXX 初音ミク誕生日スペシャル
初音ミク誕生日記念 番外編
私は起き上がった。
何もなかった。
その時は何も分からなかった。
ただ生きていた。
ボーカロイドXX 初音ミク誕生日スペシャル
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Happy Birthday, Dear Our DIVA !
オッス、オラ鏡音レン! それじゃまた来週!
……おーい、そこまでドン引きしなくたっていいだろ。軽いジョークじゃねえか、傷つくなぁ。
まあ、いつも通りの鏡音レンだよ。ひとつよろしく。
今日はミク姉ぇの誕生日。我が家は朝から準備でみんなてんてこ舞いだ。
メイコ姉ぇとルカ姉ぇは今夜のごちそうの下ごしらえ。
Happy Birthday, Dear Our DIVA !
(プロフィールはありません)