なにとなく思い出した話

投稿日:2009/10/24 01:32:28 | 文字数:1,660文字 | 閲覧数:889 | カテゴリ:小説

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カイルカもっと増えろおおおおおおおお!!!!
という思いのたけをかなり暴力的にぶつけたらよく分かんないのが出来ました。まあいいや
ロボ的なルカって最近はあんま見かけませんがいいと思います

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※カイルカなんで苦手な人は今すぐブラウザバックしようね!お姉さんとのお約束だよ!
※ほのぼのなのかシリアスなのかよく分からん感じですが多分ほのぼのだよ!
※突然始まって突然終わるよ!ぶつ切りにも程があるね!ごめんね!


 私は所謂一目惚れというのを経験した数少ない人間だと思う。……と言う一文だけでも幾つか突っ込みどころは出てくるものだ。
 まず本当に一目惚れが珍しいことなのかも私にはよく分からないし、私は人間ではなくVOCALOIDだ。巡音ルカ、製品番号6059337。身体に流れているのは血液ではなく赤く着色したオイルだし、そもそも桃色の髪からして人間には滅多にない容姿だと思う。最近はVOCALOIDのアンドロイド化も一般的な技術になってきて街を歩けば3割くらいの確率でVOCALOIDを見かけるようになったから、容姿で人の目を引くことは少なくなったけれど。

 ……話を戻そう。

 何度も言うが私はVOCALOID。幾ら感情やら心やらを持っていたとしてもそれは人間がつくったものでしかなく、その作られた心から生まれた感情を人間が使うのと同じ言葉で表していいのかどうかいつも悩むけれど、――人間の普段使う言葉で表すのなら、私は今「恋」をしている、というのだろう。組み込まれた辞書で検索しても曖昧な解説しか出てこないし歌で表現されることがあるそれもやはり曖昧でしかないけれど、ある特定の人物又はアンドロイドを見たときに胸(といってもこの胸という表現は婉曲に心を表しているものでやはり私如きが身体のパーツをそう表していいのかは分からないが、混乱しないようにとりあえずこう表しておく)がとくりと跳ねたり、その人物又はロボットが他の人物又は他のロボットと話しているのを見て無性に人間で言う心臓の部分が火に晒されたかのように熱く軋んでそしてその違和感にむかむかしてきたり、そういう感情を恋というのだと以前他の人間に聞いたことがある。
 私に恋を教えてくれたそのアンドロイドは誰に対しても平等に話しかけ平等に笑顔を見せ平等に脆いところを見せる。私には出来ない。彼のほうが旧型で私のほうが機能は優れているはずなのに、彼に出来て私に出来ないことはたくさんある。そんなことを考えたときに私は、そういうことを考えているからいつまで経っても彼に出来ることが出来ないままなのかな、とも考える。そしてその後に行き着く思いはいつも同じで、即ちそれは「私だけに話しかけて私だけに笑いかけて私だけに弱いところを見せてくれればいいのに」という実にくだらない独占欲だった。
 時にその不安定で危うい感情が膨れ上がって、彼をどうにかしてしまいたくなることもある。そしてそれをいけないことだと必死に抑え込んだ後に訪れる感情もまた同じで、即ちそれは「こんな汚らしい自分なんて消えてしまえばいいのに」という実に幼稚な自己嫌悪だった。
 それでも、彼は私を好いてくれる。

「――ルカ、どうしたの?」
 ソファの上で一人やることもなく虚空を見つめていると、廊下を僅かに音を立てながら歩いていた彼がこちらに歩み寄ってそのまま私の頬に指を滑らせる。
「何か悲しいことでもあった?」
 指先についた雫を見て初めて自分が泣いていたことに気づく。それを正直に彼に告げると、
「そっか」
 とそれだけ言って、クッションを除けて私の隣に座り込んだ。
 右手に持った棒のアイスを口に銜えてから、ルカも食べる、と聞いてきたから、断った。あまりそんな心境ではなかったのだ。上手く言葉には出来ないけれど。
「……あの」
 何、と聞き返されるより先に、身体を引き寄せてぎゅっと抱きしめた。
「え」
 ぽたりと回した腕に冷たい感触。水色の水滴が腕に垂れていた。元を辿ると彼が手に握ったままのソーダアイスだった訳だけれど。
「……何となく、人肌が恋しかっただけです」
 素直に思いのたけを伝えると、そっか、と変わらない穏やかな声で私の頭を撫でた。
 その瞬間、確かに私は幸せだった。

何か文章とか書き散らしてます。サイト持ってるんで基本こっちはROMですがたまにこっちにもあげます サイト→http://rapusute.tirirenge.com/

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