畳の縁を杖にして
街の景色が持ち上がる
電信柱を鉄棒にして
鳥や飛行機がぐるぐる回る
瓦屋根の勾配はしだいに緩くなり
洗濯物から太陽が昇る

天の川の銀河の想像図を描いて
ぼくは夕暮れの交差点に立つ
お腹を空かせたウミヘビたちを誘ふのは
うなぎの蒲焼の匂ひだ
煙突は夏の雲を黒く焦がし
クジラが泳ぐ空の中山道へ連れて行く

きみは小さなライトのスイッチをオンにして
電池が切れてゐないか確かめてる
駅ビルの上の方にあるレストラン街を一周し終へて
「いただきます」の手を空に向けて合はせてる
洋食屋のガラス棚のオムライスの光は
誰かの時計の文字盤の灯りだつたのかもしれない

街を見下ろす公園の休憩所で壁にもたれて
ぼくは非常食のたまごスープを作つて飲んでゐる
夜景のどこかに隠れてる電球の切れたネオンサインを
寒さに震へながら探してる
琵琶湖の水を目指してはるか昔に飛び立つた
ひしやくの形の探査機を待つてる

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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北極星

閲覧数:112

投稿日:2018/05/12 20:50:19

文字数:404文字

カテゴリ:歌詞

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