「ツキノカケラ」小説/エピローグ

投稿者: usericonルナリーさん

投稿日:2020/07/27 16:31:09 | 文字数:2,488文字 | 閲覧数:69 | カテゴリ:小説

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今月のテーマ「夜空」への投稿作品です。

全十話、完結いたしました。

あえて、オチは伏せました。

全体的に、麟ちゃんの人生の話でしたね。

麟ちゃんは、最期に誰の夢を見たのか?

は、想像にお任せします。

ここまでお付き合いありがとうございました。

この物語はフィクションです。

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TEXT
 

「起きて。起きて、ミーク。時間だよ」
 空中に浮いてるみたいな夢を見ていた私は、姉の声で目を覚ました。
 そして、自分の状態に絶望した。映画の途中で眠り込んでしまったのだ。
 見逃した映画は、建国ミレニアムの記念上演の、「宙の人―引き裂いた船―」編だ。気になる伏線の回収を、後半丸ごと見逃してしまった。
「ハク姉。あのあの…主人公の女の子、どうなったの?!」と、私は映画館であることを忘れて、大声で言ってしまった。
「声でかい」と、妹のネルに言われ、周りのお客さんからは失笑を買った。
「後でレーザーディスクで観れば?」と、ハク姉は言って、自分のコートを着ると、さっさとシアターを去った。
 私も、置いて行かれないように帰る準備を始めた。コートを羽織り、バッグを肩にかける。空っぽにしたドリンクのカップを手に取って、忘れ物は無し。
 コーラじゃなくてコーヒーを買えばよかった。

 私は帰る途中、「宙の人」シリーズをレンタルディスク屋で借りた。シアターの大画面と爆音で観れると思って楽しみにしていた、「メイ・カシスの反撃シーン」を枕元のノートパソコンで観ていた。
 音が漏れるヘッドフォンを使っているので、音量は聞き取れる最小限にしてある。音が小さいと、ハードな銃撃戦もつまらない。
 メイ・カシス役の女性は、美人って言うより、中性的な「クールな女性」だ。筋肉質なナイスバディで、むき出しのお腹が縦に割れている。
「分かったか。これが『人間』だ」と、メイ・カシスがアンドロイド達に吐き捨てる台詞は、良い意味でも悪い意味でも使われる流行語になっている。
「宙の人ー3万5千年前の少女ー」編の時から、主人公を務めている金髪と碧い目の女の子は、15歳の当時にして主演女優賞を取っていた。
 古い映画だから、バブルボムもループアングルも出てこない。ガスロールの原型になった、「ロール」って言う乗り物だけは出てきた。

 先住民の少女「ウータ」と、主人公の少女「麟・加賀見」の秘密の約束の件になった。
 10年後の自分達に向けての手紙を入れた、タイムカプセルと言うものを、移住当時住んでいた島に埋めて、10年後に掘り出そうと約束をするシーンだ。
 これは歴史の教科書にも載ってない。
 たぶん、脚色か、もしくは実際の「麟・加賀見」さんから聞いた話を基にしているんだろう。
「引き裂いた船」編で、そのタイムカプセルの謎が解き明かされるのだが、其処はきっちりレーザーディスク用にカットされていた。
 あの時、シアターで瞼をガン開きにしてなかった自分を呪った。

 翌日の月曜日、講義前の教室の話題は、映画「宙の人」で持ち切りだ。
「私、シアターのチケット手に入れたんだ」なんて、先週自慢しなきゃよかった。
 同期のゆかりんが、「映画どうだった?」と聞いてきた。
 私は「ああ、面白かったよ」と答えた。「メイ・カシス役の人、すごくカッコよくてさー」と、とりあえず話を合わせる。
 なるべく、タイムカプセルの事には触れないように話していたが、ゆかりんは「結局、あのタイムカプセルってやつ、何が入ってたの?」と聞いてきた。
「10年後の自分達への手紙」と、私はレーザーディスク内で分かる情報を提供した。
「それは知ってる」とゆかりんは言う。「中身に何が書いてあったのか知りたいんだよ。それ『観たら教えるね』って言ってたじゃん」
「あー、実はさー、そのシーンで寝落ちしちゃっててさー」と、言うと、「何しにわざわざシアターに行ったの?」と聞かれた。
 実際は後半が終わるまで丸ごと眠ってたなんて言えない。

 家に帰った私は、歴史の教科書の最初のほうを読みながら、かつて小さな島から「地上文明」を築き上げた人々の話に思いを巡らせた。
 「錬・加賀見」は、地上の警察の基礎になった、「自警団」って言う組織を作って、そこの団長を務めていた。なので、身分証に使われていた写真が教科書にも載ってる。
 若かりし頃の「錬・加賀見」の写真は、透き通った金髪と碧眼の、それはそれはイケメンなお兄さんだった。
 何処となく、スチーム街の「蓮」君に似てる気がしなくないが、髪の色と目の色が同じだからかもしれない。
 私と蓮君は、「よく食べる常連のお客さん」と、「いつもおまけをくれる気前の良いお店の人」として、健全なお付き合いをしている。
 一緒に遊びに行ったり、お茶しながら人生を語り合うような仲ではないが、蓮君は、いつもおまけをくれる時に、「新しいメニュー」の情報や、「来月のおすすめ料理」を教えてくれたりする。
 蓮君も、私と話したくないわけではないらしいが、まだ私達の間には、客席と調理場と言う隔たりがある。
 笹に包んだおまけのおにぎりやお饅頭をもらう30秒間だけが、私達が一番「接点」を持てる時間だ。
 うーん。私も、仕事で幾つもラブソングを歌う身になったが、ガチの恋文を書く時期が近づいているのだろうか。
 愛猫トラゴローが、いつものように足にすり寄ってきたので、私はトラゴローを抱き上げて、膝に乗せた。
 そろそろ20歳が迫っているトラゴローは、すっかりジャンプ力が無くなってしまったのだ。
「ゴローよ。私に恋のパワーをくれ」なんて言ってみたけど、トラゴローは舌をしまい忘れたままゴロゴロ言っている。年を取りすぎて赤ちゃん化している。
「第二期移住民」は、映画内でもそんなに良い所は無かった。だけど、彼等が「貨物」として家畜やペットを連れて来なかったら、今ここにトラゴローだっていないのだ。
 世界って言うものは複雑だ。そんなことを考えながら、私は次の曲の構想を練り始めた。

 麟・加賀見の日記の最後には、こう書かれている。
「不思議な夢を見たのよ。私の物語が、千年後の未来まで語り継がれてるって言う、とっても幸せな夢。
 髪の長い女の子が、私の物語を観ながら、赤ちゃんみたいな顔で眠っていたわ。
 夢の中で、その子のお姉さんが、その子の名前を呼んだの。ええ、しっかり覚えてる。
 その子の名前は…」

作り続ける事を目的としているコラボになります故、月一でアイデアの元としてテーマを掲げております。
テーマから投稿された作品が色々な方々の目に留まり、そこから最終目標のコラボへと通づることが出来れば尚良しです!

楽曲でもよし、動画でもよし、小説、作詞でもよし、イラストでもよし。何でもよし!
とにかく作り続ける事!
身体に無理のないように!

完全思いつきなんで、上手くいくかわからないですが楽しく、そして素敵なオリジナル作品がどんどん増えていければいいなあと思います。

ルールは追々追加していくと思われます。

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