【小説】モーニングコール【後編】
投稿日:2010/10/13 03:08:04 | 文字数:1,002文字 | 閲覧数:2,633 | カテゴリ:小説 | 全4バージョン
おまけ。
「で?ヤッた?」
身も蓋も無い神威の問いかけに、俺は飲んでいたコーヒーを盛大に噴き出した。
きったねぇな、と苦い顔をする奴に、誰のせいだ!と咳き込みながら突っ込む。
「だって普通ヤる空気だろうよ、それは」
「……」
「なぁ、どうだったの?なぁなぁ」
「……」
ぐいぐい、と服を引っ張る神威をシカトするようにそっぽを向き、俺は残りのコーヒーを飲み干した。
結論から言えば、俺たちはまだヤっ…結ばれてはいない。
正直に言えば、あのまま彼女をベッドへと誘うことは出来た。
顔を赤くした彼女が恐る恐る俺の胸の中に納まり、鼻先には彼女の髪の香り。
いい匂い、と言うと、カイト君も、と彼女が答えて、俺たちはふふ、とくすぐったい気持ちで笑いあった。
幾度目かのキスを交わして、ぎゅ、と彼女を抱きしめて。
――そして、俺たちはそのまま幸せな眠りに落ちた。
考えてみれば、お互いに仕事やら何やらで寝不足だったので、仕方のない話だ。
体こそ結ばれはしなかったが、目覚めた時に彼女が目の前にいて、なんだかやたら幸せだった。
それに、彼女は今日またうちに泊まる。
…だから、焦ることはないのだ。そう思うと、一人ニヤケてしまう。
そういえば、ルカは彼女が俺に会いに来ようとしているのを知っていたらしい。
だからあんな風に発破かけたんじゃない、と得意げに笑ったのを見て、恐れ入りました、と俺は頭を下げた。
久しぶりの彼女との再会に、ルカは大喜びの様子だ。
彼女が部室に来てから2時間、メイコさんメイコさんとべったりと彼女についている。
今も彼女に付き合って、自販機へとお供しているところだ。
「カイトー」
部室の窓の外からルカの声がする。何事かと神威と窓を覗くと、ルカと彼女が大きく手を振っていた。
「なにー?」
「今日夜メイコさん借りるー」
「えっ」
「女子会しよって話になってねー、皆に声掛けてみたら意外と集まれるみたいでー」
「えっ…今夜?」
「そうー、悪いけどメイコさん連れてくよー」
「え、えー…」
戸惑っていると、彼女がぺこんと頭を下げた。
「カイト君ごめんね、夜に戻るからー」
「あ、はい、全然平気です…」
今回俺に拒否権はない。
肩を落とすと、神威がぽんと俺の肩を叩いた。
「まぁなんていうか、ドンマイ。っつーか、色々とドンマイ」
「…。…お構いなく…」
作品へのコメント3
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メッセージのお返し
>kumo様
はじめまして!メッセージありがとうございます!!
ぽルカいいですよね!ヘタレカイト君を動かすには、この熟年夫婦の力が必要でしたww
きっと4人でダブルデートとかしたんだろうなぁという妄想…なんという自家発電
またお時間ありましたら遊びに来てやってください☆2010/10/28 14:09:50
キョン子
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ご意見・感想
こんばんは!!
読んでいてとってもドキドキしました~
やばいですよぅ・・・
カイトのへたれ具合がww
わたしも人のこと言えないタイプなんですけどね・・・
片思いは年単位ですw
なんか文章だけなのにキョン子さんちのめーちゃんはかわいさがものすごく伝わってきます!
愛でしょうか・・・?
そういえばですね、なぜかフラ~っとキョン子さんの小説を読みにくると必ず新しいのがうpされてる日なのですよ~←説明下手
以心伝心・・・?!((2010/10/13 21:23:48 From かりん
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メッセージのお返し
>sunny_m様
コメントありがとうございます!
前から読んでいただけていたとは…光栄です(´;ω;`)
私も書きながらカイトのへたれぶりにもどかしさを感じておりましたww
やたらがくルカが出てくるのはカイト君へのお説教してほしかったからですw
きっと夜は女子会で、帰って来ためーちゃんはすぐ寝てしまうんでしょうね、頑張れカイト!
ありがとうございました、また読んでやってください☆
>かりん様
度々のお越しありがとうございます?☆
ヘタレで純な兄さんを書こう!と心に決めたはいいものの、ヘタレになりすぎてどうしようかと思いましたwwこんなのが身近にいたら蹴っ飛ばしたくなるww
このシリーズのめーちゃはん「可愛いお姉さん」を目指して書いいるので、嬉しいですv
めーちゃんへの愛はいつだって垂れ流しですけどね!(`・ω・´)キリッ
あらあらそうなんですか?以心伝心ですね…!
新作を上げる時は、またかりん様に伝わりますようにv2010/10/14 21:27:53
キョン子
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ご意見・感想
はじめまして。sunny_mといいます。
キョン子さんの作品は、こっそり以前から読んでいたのですが、耐えきれなくなったのでコメントします。
カイト君のヘタレ具合は自分も身に覚えがあるので、なんとなくわかるのですが。
だけど遠距離恋愛でほとんど会えなくて忙しくて関係も持っていなかったら、そりゃあ不安になるだろうよ!お互い!!
と、カイト君を正座させて小一時間ほど説教したい気分になりました(笑)
そんなカイト君に対してメイコさんが可愛らしくてたまりません!!
なにこの可愛い子!!カイトなんかに渡したくないんだけど!!
なんか、ルカさんが女子会を開きたくなる気持ちが分かります(笑)
なんだか長くて変なコメント失礼します。それでは。2010/10/13 10:32:01 From sunny_m
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メッセージのお返し
>sunny_m様
コメントありがとうございます!
前から読んでいただけていたとは…光栄です(´;ω;`)
私も書きながらカイトのへたれぶりにもどかしさを感じておりましたww
やたらがくルカが出てくるのはカイト君へのお説教してほしかったからですw
きっと夜は女子会で、帰って来ためーちゃんはすぐ寝てしまうんでしょうね、頑張れカイト!
ありがとうございました、また読んでやってください☆
>かりん様
度々のお越しありがとうございます?☆
ヘタレで純な兄さんを書こう!と心に決めたはいいものの、ヘタレになりすぎてどうしようかと思いましたwwこんなのが身近にいたら蹴っ飛ばしたくなるww
このシリーズのめーちゃはん「可愛いお姉さん」を目指して書いいるので、嬉しいですv
めーちゃんへの愛はいつだって垂れ流しですけどね!(`・ω・´)キリッ
あらあらそうなんですか?以心伝心ですね…!
新作を上げる時は、またかりん様に伝わりますようにv2010/10/14 21:27:53
キョン子
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【ぽルカ】 あなたのことが好きです。ウソです。
その時のルカの様子を、メイコもカイトもハッキリ覚えている。
目を大きく見開いて、口を引き結んで押し黙ったまま、まるで彼女だけ時が止まったかのように硬直して、じっと目の前にいる人物を凝視していた。
それはほんの数秒のことだったろうけど、突然の不自然な沈黙はその場にいた全員を妙な静けさで満たした。
そしてルカは突如何も言わずクルリと踵を返し、ピンクの髪をなびかせて皆の前を横切り、リビングから出ていった。
【ぽルカ】 あなたのことが好きです。ウソです。
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【カイメイ】カイトさんの男の余裕
「もうっ!おにいちゃんとはお買い物行かないっっ!!」
帰って早々リビングに買い物袋をぶちまけ、ミクは頬を膨らませて叫んだ。
大小色とりどりの紙袋、中身は洋服だったり鞄だったり雑貨だったり。
今日は久々のオフにミクが買い物に行きたいというので、丁度同じオフだったカイトが荷物持ちとして同行したのだが。
「どしたの、カイ兄なにしたの?」
【カイメイ】カイトさんの男の余裕
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【カイメイ】酔ってるのは、お酒にじゃなくて
「ねぇ、カイトってお酒強いの?」
「え?どうして?」
リビングのソファでの晩酌中、私はふと思いついた疑問を口にした。
ローテーブルの向こう側でラグマットに座っているカイトが、きょとんとした表情で首を傾げる。
「だって、酔ってるの見たことないんだもの。もしかしたら私より強いのかなって」
【カイメイ】酔ってるのは、お酒にじゃなくて
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【カイメイ】お菓子がないなら・2【レンリン】
「カイト、それ6個目」
「う…」
オレ専用のクーラーボックスからモナカアイスを手に取ったら、シンクで洗い物中のメイコがこちらに背を向けたままそう言ったので、かなわん、と思いながらモナカを戻し、扉を閉めた。
アイスは1日10個まで、と定められているオレにとって、まだ午後3時の時点で6個目となるとあとがつらい。風呂上がりに3つは行くから。
「あーでも口寂しい」
【カイメイ】お菓子がないなら・2【レンリン】
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【カイメイ】ステップブラザー・ステップ
宛先:姉さん
件名:今どこ?
本文:終電間に合うの?
差出人:姉さん
件名:Re:今どこ?
【カイメイ】ステップブラザー・ステップ
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【カイメイ他】Bad ∞ End ∞ Night 前夜
――静かになった部屋の中 拍手を送る謎の影
『今宵は良い舞台でした…』 手紙を拾って泣いていた――
ごめんなさい。
ごめんなさい。
せっかくの舞台が壊れてしまったの。
【カイメイ他】Bad ∞ End ∞ Night 前夜
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【カイメイ】in the rain
注・!現代パラレル!
自作【恋色病棟】の設定をそのまま引き継いでいます。
お読みいただかなくても大丈夫かとは思いますが、もしよければそちらから先にどうぞ→http://piapro.jp/content/rt95fh23vywkpk7s
【設定】
・お隣同士の幼馴染
【カイメイ】in the rain
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【カイメイ】Happy Happy Birthday
「――あいしてる」
あの夜、優しく囁いてくれた彼の腕の中で、涙を堪えるのが大変だったのを覚えている。
眼差しも大きな掌も広い胸も彼の香りも、貰ったプレゼントも、その言葉も。その全てが私を包んで、満たしてくれた。
この人と出会えて幸せだと、心から思った。
カイトが傍に居てくれることを心から感謝した。
【カイメイ】Happy Happy Birthday
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【カイメイ】続・恋するふたりに質問です
「はーい、ありがとうございましたー」
ボイスレコーダーをオフにする。
すると、テーブルの向こうでめぇ姉が戸惑ったような表情を浮かべた。
「…ね、ねぇリン、今の本当にマスターに提出するの?」
「するよー?だってマスターからの直々の依頼だもん」
【カイメイ】続・恋するふたりに質問です
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【カイメイ】 お兄ちゃん、お願い! 【KAITO生誕祭】
女所帯である。必然的に女性陣が強い。
それは単純に数の差と、やはりそれぞれの性格の問題だろう。
カイトもレンもそれほど自己を主張するタイプではないので、基本的にこの家の主導権は女性側にあった。
まず、台所と家計と一家の平和を預かるメイコには男性陣どころか誰も勝てない。
【カイメイ】 お兄ちゃん、お願い! 【KAITO生誕祭】
駄文を書いては自己満足しています。
一応小説。たまになりそこないのポエム。
全くの自己流ですので、読みにくいところも多々あるかと…
年長組が好きです。全力でカイメイ支援。
っていうかカイメイ小説しか書いてませんのでご注意ください。
めーちゃん可愛いよめーちゃん。
めーちゃんが皆から愛されてれば幸せ。
めーちゃん中心に家族は回っていると信じてやみません。
めーちゃんハァハァ
美麗イラストを見てぴぎゃぁぁぁぁすると勝手に小話を作ることがあります。
ご注意ください。
タグやブクマ、メッセージありがとうございます…!(`;ω;´)ブワッ
カイメイ好きさんの優しさは世界一や
プロフ画像の可愛すぎるめーちゃんは青菜しゃーぷ様よりお借りしました!
[ブログサイト]
http://saltcabbage0919.blog.fc2.com/
[pixiv]カイメイ以外もあり。ピアプロの方がカイメイ作品多いです
http://www.pixiv.net/member.php?id=1040966
[twitter]たいしたこと呟きません
http://twitter.com/kyonturbo
※11/19発行の小説本3点、おかげさまで完売しました…!お買い上げくださった方々に最大の敬愛を!!