天使の果実 第八話/小説

投稿者: usericonルナリーさん

投稿日:2020/04/09 19:46:52 | 文字数:4,247文字 | 閲覧数:80 | カテゴリ:小説

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メイコさんカッケー。
メイコ△。

頑張れ大人達。

お酒は二十歳になってから。

この物語はフィクションです。

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TEXT
 

 通報を受けてきた2名の警察官が、イアの住んでいるマンションのオーナーに問い合わせ、イアの家の住人全員と共に、管理人室で防犯カメラの記録を見せてもらうことになった。
「もっと早く教えてもらえるとよかったんですけどね」と、対応に着た警察官は言う。「まだ記録に残ってるかな…あ。これですか?」
 早送りをしていた映像を一時停止し、警察官は画面を指さす。
 リンとイアが確認すると、間違いなく先日の夜、この部屋のインターフォンを押した男達だった。
「間違いないです」と、イアは答える。
 警察官は、映像の前後を見て、二人の男がドアを乱暴に叩いたり蹴ったりしているのを確認した。
「確かに、ドア叩いてますね。でも、ドアが壊れてないから、器物破損にも成らないしなぁ…」
 警察官達は顔を見合わせ、ため息をついて頷く。
「一応、この辺りの見回りは強化します」
「私達は、実際犯罪が起こってからじゃないと、動けないんですよ」
「このマンション、防犯設備が良いですから、出入りの時に気を付ければ問題ないと思います」
 警察官たちは口々にそう言い、管理人室から撤退して行った。

「警察って、案外頼りにならないね」と、リンが言う。
「犯罪の前兆があることは知らせられたから、なんにも言わないよりましかな」と、イア。「神威さんのほうは、『ストーカーとして訴える方法もあるかもしれないから、細かく記録を付けて』だって」
「ミク姉、あの映像見て何かわかった?」と、レン。
「あの人達、私達が此処に居るってことは知らない」ミクは言う。「イアさんが私達の家に居たことくらいは知ってるみたい。脅しをかけて『あぶり出そう』としてるのかも」
「なんにせよ、此処から離れないほうが良いわ。外出するときは、十分気を付けましょう」
 イアがそう言って、少年少女達は同意した。

 この日から、ミクの護衛にはリンがついて行くことになった。
 レンは顔の洗い過ぎで、逆に顔面が皮脂を過剰に分泌し、額に一ヶ所ニキビが出来てしまった。その一ヶ所の腫れものは前髪で隠し、家の中で悶々と何か考えているらしい。
 手を膝に置いて、人差し指でトントンと膝を叩いたり、座っていたソファから突然立ち上がって、リビングをノイローゼの熊のように歩き回ったり。
 仕事から帰ってきたイアは、「何か落ち着かないことがあるんだろうな」くらいに思いながら、物憂げな少年に声をかける。
「レン君。夕食何か食べる?」
「要らない。ミク姉が持って来た食料、まだあるから」と、レン。
「育ち盛りなのに、カップ麺やパンじゃ、力尽かないわよ?」
 イアはそう言って、冷蔵庫から卵を取り出す。
「私に遠慮してるんだったら、交換って事でどう?」
「交換?」と、レンは言葉の意味が分からず聞き返す。
「そう。今からオムレツ作るから、レン君はオムレツを食べて、私はレン君が食べようと思ってた食料をもらうの」
 イアは明るくそう言い、卵をボウルに割って溶き始める。
 レンは、どうにもイアにとっては不公平な交換じゃないかと思ったが、交換を言い出した本人がそれで良いなら、言葉に甘えることにした。
 ミクのエコバッグの中から、なるべく大きめのカップ麺をとり出し、「こんなもんで良い?」と聞く。
「十分十分。じゃぁ、少し待っててね」と言って、イアは温めておいた大きなフライパンに、3個の卵を溶いた液を流し込んだ。

 ミクの勤めるバーに付き添って行ったリンは、自分は女の子だから大丈夫だろう、と、夜の世界を甘く見ていた。
「やだ。カワイー!」と、バックヤードに休憩に来た女性が、リンを見て黄色い歓声を上げる。
「何々? 昨日の男の子のきょうだい?」と、その女性は迫ってくる。
「はい」とだけリンは答えた。
 さっきの「カワイー!」に反応して、店の女の子達が次々にバックヤードに顔を出す。
「ほんと。人形みたい」
「ちょっと、髪つかんで良い? あ。似てる」
「うん、後ろ髪上げるとそっくり」
「いいなー。ミクって家族に恵まれて」
 飛び交ってくる言葉に、「はい」「はい」と答えていたら、「店の服着てみる?」と言われ、つい反射的に「はい」と言ってしまった。
 女の子達は、すぐさまリンを貸出し用の衣装のある部屋に連れて行き、美麗なドレスをリンにいくつか着せた。
「なんか様に成らないなー。あ。胸だ。この子、胸がない」と言われて、リンはカチンときたが、確かにリンの胸は、年齢にしては真っ平である。
「Aカップも無いのか…。しょうがない。服は諦めよう」
 何がしょうがないのか、何を諦めるのか、リンには全く分からなかったが、着せられたドレスをすぽんと脱がされ、着てきた服をわざわざ着せつけられた。
「喉乾いてない?」と、ある女性が声をかけてきて、カフェラテらしきものを持ってきた。「コーヒー牛乳。甘いやつ」と言って、リンにグラスを渡す。
「ありがとう」と言って、リンは素直に「コーヒー牛乳」を飲んだ。喉が渇いていたので、一気にグラスを空けた。
 その途端、リンの顏は一気に真っ赤になった。意識が吹っ飛び、座っていた椅子から頽れる。
 その「コーヒー牛乳」が、カクテルの一種、「カルーアミルク」だったことは、ミクがバックヤードに戻ってきてから判明した。

 24時前に早退させてもらったミクは、酔いつぶれてしまったリンを連れて、タクシーに乗った。店側も、事情が事情なので、罰金も無く早退を認めてくれた。
 おまけにタクシー代まで出してくれた。たぶん、口止め料だろう。
 さすがに、歩くことすらできないリンを引きずって、イアのマンションまで戻るほどの筋力は、ミクにはない。
 レンの時より容赦がないなぁと思ったが、バーの女の子達として見たら、歓迎したつもりなのかもしれない。
 事前にイアの家に電話を入れたら、「まだ起きてるから、すぐ帰ってきて」とのことだ。
 酔いつぶれたリンは、タクシーの中でむにゃむにゃと何か言ってる。「らめらって。シトラスをコーンフレークに入れても蜜蜂には成らないんらよ」
 一体、何の夢を見ているんだろう…そう思いながら、ミクはマンションの手前でタクシーを停めてもらった。

 ミクは一通り周りを警戒してから、レンと一緒にぐでんぐでんのリンをイアの部屋に運び込んだ。
「やっぱり、バーに連れて行くには、あの子達は目立ちすぎるみたい」ミクは仕事着から着替えながら、イアに言う。「でも、私は護身術とか知らないし…困ったなぁ」
「護身術を知ってて、バーの女の子達に玩具にされない人なら良いの?」と、イア。
「うん。誰か、心当たりある?」
「あるわ。私の友達で、合気道やってる人がいるの。ルカって言うんだけど」
「その人、夜中に起きてても大丈夫なの?」
「ええ。彼女、蝙蝠女って言われるくらい夜型だから。彼女も、あのバーの常連だし、さすがに普段のお客さんにちょっかいは出さないと思うから」
 ミクは、次の護衛はその人に頼むことにした。

 その晩、カイトはメイコの残した情報を頼りに、ミク達の借りている平屋の家を訪れていた。
 たぶん、この時間なら眠っているかもしれない。と、ミクの仕事を知らないカイトは思った。
 下見だけのつもりだったが、なんとなく玄関の扉を開けてみた。鍵がかかってない。
 中を覗いてみると、足跡があった。血で描かれた、素足の人間の足跡。大きさからして、女性だろう。
 カイトは、まさかと思いながら家の中に入った。足跡を追って行くと、家の奥に続いている。
「何の用?」と、女性の声がした。見覚えのある茶色のボブヘアと、アンバーの目の女性が、暗い部屋のソファに座っている。足の傷の手当てをしたばかりのようだ。
「メイコ…。無事だったか」と、カイトは言った。「裸足でアスファルトを走ると、そうなるんだな」
「唯のかすり傷よ。それより、此処が分かったって事は、私の伝言は届いたのかしら?」
「ああ。子供達のことは、任せてくれ」カイトは言う。「きっと、彼等が安全に暮らして行けるような手段を探す」
「隠れて暮らしてても、安全は安全よ」メイコは痛む足の裏を床から離す。「彼等を殺したくてうずうずしてる連中の手が、届かなければね」
「僕は、出来れば、彼等を『外部』に順応できた適例として、発表したい」と、カイトは言う。「外の世界で生きることで能力をのばせるなら、研究所の頭の固い奴等も頷くさ」
「そう上手く行けば良いけど?」
 メイコは至って冷淡だ。
「慣例ってものは、そう簡単には変わらないわ。今まで、伸ばし過ぎた能力を『使わせない』事で安心を得てきた連中が、今更悔い改めると思う?」
「なんだって?」カイトは聞き返した。「『伸ばし過ぎた能力』? どう言う意味だ?」
「知らないの? ミク以外の子供達も、研究所で『制御不能』になると判断されたから、処分が決まったのよ」
 メイコは淡々と言う。
「子供達がいくら外の世界で能力をのばしても、『研究所』でコントロールできなきゃ、頭の固い連中には意味ないの」
「それじゃ…」と言って、カイトは言葉が続かなかった。
「見つかった子供達がどうなるかは、あなたも想像できる通りよ。それでも、私が一部の子供達を逃がし続けたのには、理由があるの」
 そう言って、メイコはこう続けた。
「『革命』の戦力として、育てるためにね」
「君は…。子供達を、武器にするつもりなのか?」カイトはメイコを咎めた。
「勘違いしないで。正常な子供達の眼球を抉り出したり、耳や喉の機能を奪ったりしてるって言うだけでも、起訴するには十分よ。私が欲しかったのは、証言者と、実際に危機に遭った被害者の存在」
 メイコは言う。
「だけど、あの施設で育った子供達は、目を抉り出されたり喉や耳を潰されることが、異常なことだって言う認識が無い。自分達を守る権利を知らない。
 それを学ばせるために、私は彼等を外に逃がしてたの。『普通』の世界と、『普通』の人間に、触れてほしかったの。そして、機は熟した」
 メイコは意志を灯した目で、カイトを見た。
「全面戦争を始めるわ。あの子達の『人間としての権利』を、勝ち取るのよ」
 その言葉を聞いて、カイトは、自分の中に漫然とあった「妥協策」が馬鹿馬鹿しくなった。そして言う。「手伝わせてくれ。メイコ先生?」
 メイコは、力強く頷いた。

作り続ける事を目的としているコラボになります故、月一でアイデアの元としてテーマを掲げております。
テーマから投稿された作品が色々な方々の目に留まり、そこから最終目標のコラボへと通づることが出来れば尚良しです!

楽曲でもよし、動画でもよし、小説、作詞でもよし、イラストでもよし。何でもよし!
とにかく作り続ける事!
身体に無理のないように!

完全思いつきなんで、上手くいくかわからないですが楽しく、そして素敵なオリジナル作品がどんどん増えていければいいなあと思います。

ルールは追々追加していくと思われます。

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