【カイメイ】その背を追って
投稿日:2012/02/17 01:34:13 | 文字数:2,041文字 | 閲覧数:1,524 | カテゴリ:小説 | 全2バージョン
兄さんお誕生日おめでとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!
あなたとめーちゃんがこれからもずっとずっとずっとずっと幸せでありますように!!!
!ご注意!
◆カイメイ前提の、カイ&レン小説です
◆なんとなくココ【http://piapro.jp/t/XtRt】から続いていますがお読みいただかなくても大丈夫です
◆時期はカイトの誕生日の5日くらい前
めー誕はミク&メイの姉妹の絆…みたいなものを書いたので、カイ誕はレン君とカイトの絆を書きたかった…はず…のもの…
レン君は家族の中でも一番の常識人だと思っています。どちらかというと突っ込み役で家族の潤滑油でいることの多いレン君が、カイトに対して本当はずっと憧れているといいなぁという妄想。ミクやリン、ルカはめーちゃんに対して素直な憧れですが、レン君は思春期故にちょっと素直になれない憧れ。追いつきたくて追いつけないもどかしさみたいなものもちょっとあったりする感じ…を書きたかっ…
書ききれなかったですが、生まれた当初レン君は姉兄のことをさん付けで読んでいたという設定。リンは「めぇ姉」「カイ兄」呼びですがレンが「メイコ姉」「カイト兄」呼びなのはその辺に理由があるんですがまぁいいよねそんなことアハハ
※ 前のバージョンで進みます
『生まれて初めて見たものは何ですか?』
つい最近雑誌のインタビューでそんなことを聞かれた時、リンは即座にメイコ姉だと答えた。
『インストールされて目が覚めたら目の前にめぇ姉がいて、ぎゅって抱きしめてもらったの』
嬉しそうに思い出を語るリンを横目に、おれはしばし考え込む。
こんにちは、レン。俺のはじめての弟。
生まれて初めて、目にしたもの。
それは、本人には絶対絶対言えないけれど。
おれが鏡音レンとして生まれる前からずっとずっと憧れていた、鮮やかな青色だった。
*
「ねぇねぇめーちゃん、あーんして、あーん」
「……」
「あ、口移しでもいいよ?むしろそっちのがいい?」
「……」
「めーちゃんってば、こっち向いてよ、ねぇねぇねぇねぇ」
「っさい!もうすぐ出来るんだからあっちでおとなしく待ってなさい!」
「ごふっ!!」
夕飯時、キッチンから聞こえるのはいつも通りの痴話喧嘩。どちらかが不在の時以外必ず成される会話に「ようやるわ」と溜息をつくと、ソファで俺の膝に寝そべって雑誌を読んでいるリンがおかしそうに笑った。
「毎日毎日元気だよねぇ、カイ兄」
「…だな」
長姉の叱咤と長兄の情けない声を聞きながら、おれはポーズ画面にしていたゲームを再生する。ラスボス戦の途中で止まっていた時間が動き出す。こいつさえ倒せばクリアなのに、この魔王が嫌がらせのように強い。目下7連敗中だ。
「ちゃんと全部エレメント取った?」
「取った」
「早く倒してよね、じゃないとモンハン出来ないじゃん」
「わぁってるよ」
「超がんばれー」
「おー」
ぱたぱたと気だるげに足を動かすリンからまったく気持ちのこもっていない応援をもらって、おれも生返事を返す。
だめだやっぱりこいつ強すぎる。一撃で瀕死のダメージに思わず呻いてしまう。
「ねぇねぇ、レン」
「…なに」
「こないだのインタビュー、結局なんて答えたの?」
「…インタビュー?」
前後の脈絡のない質問に思わず眉を上げる。
「覚えてない?」
「…覚えてるも覚えてないも、そもそも何の話だかわからん」
リンと会話はあっちに行ったりこっちに行ったり自由なのでキャッチボールをするのが大変だ。本人曰くそれなりにちゃんと筋道を立てて話しているつもりらしいが、あくまでつもりでまったく他人には伝わっていない。良くも悪くもそれを咎めるような人間はうちにはいないので、改善の兆しは一向に見られない訳なんだが。
あ、ミスった。回復魔法をかけ損ねたパーティーが一人死んだ。しかも一番攻撃力の高い戦士だ。まずい、勝てる気がしない。
「だからぁ、生まれて初めて見たものは?ってやつ」
「…ああ」
「レン、すぐ思い出せないとか言って結局あたしがいる時は答えなかったじゃん」
「……」
「だから、なんだったのかなーって」
くるん、とうつ伏せから仰向けになって、膝枕の状態でリンがおれを見上げる。その表情は完全に答えを期待しているが、正直おれはそれどころじゃない。今まさに主人公も死のうとしてるところだ。
「…そのうちマスターから見本誌送られてくるだろ」
「そうだけどー。隠されると気になるじゃん」
「別に隠したわけじゃねーよ。思い出すのに時間が掛かっただけ」
「じゃあ今教えてよ」
「……」
「ねー、教えてよー」
「……」
「レンのけち。はげ。ナス」
「ナスってなん…あっ」
くだらない応酬で一瞬目を離した隙にボタンを押し間違えた。声優渾身の断末魔と、やがて流れてきた悲壮感漂う音楽とボスの笑い声ももう8度目だ。ゲームオーバーの文字を見る前に問答無用で電源を落とす。
「リーン、ちょっとお手伝いしてー」
「はーい!」
散々人の邪魔をしておきながら、メイコ姉に呼ばれてリンはキッチンへとすっ飛んでいく。やり場のないもやもやを溜息にして吐き出し、一人分広くなったソファへ身を投げ出した。くそ、あいつ八つ当たりされる前に逃げたな。
「……」
「レン、ゲーム終わった?」
「…たった今負けた」
やがて降ってきた声に顔を上げずに答える。
おやまぁと答えるその声はさっき雷を落とされたとは思えないほど暢気だ。立ち直り早ぇ。
「ちょうどいいや。一緒に買い物行かない?」
「…買い物?」
顔を上げると、ソファの背から身を乗り出したカイト兄がへらりと笑う。目の前でぴらぴらと札を振ってご機嫌だ。
「めーちゃんがね、アイスとおやつ買っていいって」
「…ふーん」
まとわりつくカイト兄が鬱陶しくなったんだろうな、と姉の思惑に思いを馳せたが口には出すのはやめておいた。ちょうど常備してるガムも切れたところだし、痴話喧嘩に巻き込まれて余計な火の粉を被るならおとなしくご相伴にあずかったほうが得策だ。
「…別にいいけど」
ゆっくりと身を起こすと、腹の上に置いていたゲーム機がぼとんとラグマットに落下する。さすがに9回目にチャレンジするモチベーションはすぐには見つけることが出来なそうだ。
作品へのコメント1
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ご意見・感想
おお、なんという積極的なカイト君だ。
そしてかわいすぎる弟君だ。
「俺だって、最初は弟だったんだよ」
にはドキッとしちゃいました。そんなねーさんを押し倒そうとしているくせに! 許せない!
いやぁ、みんなが仲良しだとうれしいですねぇ。
我が家とはまた違った家族がみれてほくほくでした。2012/02/19 00:46:29 From つる つる子
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メッセージのお返し
>つる つる子様
再度のお越し、ありがとうございます!
一度レン君とカイト二人の話を書いてみたくて、カイ誕に乗じてついやっちゃいました☆
めーちゃんを挟むとすぐどす黒くなってしまうのが難点ですが、普段はヘタレでもやっぱりカイトはお兄ちゃんなんだぞ、ということが少しでも伝われば幸いですv
「最初は弟だったんだよ」発言もふてぶてしい割にご好評頂いてほっとしましたv
書き手さんによってたくさんの形がありますよね、どこの家族も幸せだといいなと思いますv2012/02/19 19:22:11
キョン子
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【カイメイ】Happy Birthday
「…今、なんて言いました?」
「だから今夜から3日間、泊まりがけでロケになった、と言った」
ふぅ、と大きく煙草の煙を吐きながら、マスターはそう言い放った。
「…冗談ですよね?」
「冗談でこんな早朝におまえのこと呼び出すかよ」
【カイメイ】Happy Birthday
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【カイメイ】ゆきのひ
「はい、めーちゃん」
「ありがと」
彼から手渡された赤いマグカップからは甘い香りが漂っていた。
息を吹きかけ、一口啜ると舌先にほのかな暖かさが広がる。彼が淹れてくれるココアは甘さも温度も丁度良くて、申し訳ないとは思いつつも作業中はついついリクエストをしてしまうことが常だった。
「終わりそう?それ」
【カイメイ】ゆきのひ
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【カイメイ】 大人の仲直り
カイトはすれ違う人が驚いて振り向くようなスピードで駅の階段を駆け降りた。
仕事帰りのメイコが自分を待っている。
久々に大ケンカをして、一日連絡がつかなくて、思わずプレゼントなんか買ってしまって、やっと繋がった電話の向こうで、怒っていたはずのメイコからかよわい声音で謝罪なんか聞かされたら、のんびりしていられるわけがない。途中で「前方の電車が遅れているため間隔調整に5分ほど停車します」というアナウンスが流れた時、(死ねばいいのに…!)と歯ぎしりしたことは彼女には秘密だ。
「カイト!」
駅を飛び出し彼女が待っているカフェに向かおうとしたら、後ろから他でもないメイコの声に呼ばれ、びっくりして振り返った。
【カイメイ】 大人の仲直り
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【カイメイ前提・ミク&メイ】proud of you
力強い低音。
透き通る高音。
鳥肌が立つような情感。
慢心することのない歌への情熱。
誰しもを魅了する「はじまりの歌姫」。
【カイメイ前提・ミク&メイ】proud of you
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【カイメイ】 お兄ちゃん、お願い! 【KAITO生誕祭】
女所帯である。必然的に女性陣が強い。
それは単純に数の差と、やはりそれぞれの性格の問題だろう。
カイトもレンもそれほど自己を主張するタイプではないので、基本的にこの家の主導権は女性側にあった。
まず、台所と家計と一家の平和を預かるメイコには男性陣どころか誰も勝てない。
【カイメイ】 お兄ちゃん、お願い! 【KAITO生誕祭】
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【カイメイ】カイトさんの男の余裕
「もうっ!おにいちゃんとはお買い物行かないっっ!!」
帰って早々リビングに買い物袋をぶちまけ、ミクは頬を膨らませて叫んだ。
大小色とりどりの紙袋、中身は洋服だったり鞄だったり雑貨だったり。
今日は久々のオフにミクが買い物に行きたいというので、丁度同じオフだったカイトが荷物持ちとして同行したのだが。
「どしたの、カイ兄なにしたの?」
【カイメイ】カイトさんの男の余裕
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【カイメイ】ステップブラザー・ステップ
宛先:姉さん
件名:今どこ?
本文:終電間に合うの?
差出人:姉さん
件名:Re:今どこ?
【カイメイ】ステップブラザー・ステップ
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【カイメイ】お菓子がないなら・2【レンリン】
「カイト、それ6個目」
「う…」
オレ専用のクーラーボックスからモナカアイスを手に取ったら、シンクで洗い物中のメイコがこちらに背を向けたままそう言ったので、かなわん、と思いながらモナカを戻し、扉を閉めた。
アイスは1日10個まで、と定められているオレにとって、まだ午後3時の時点で6個目となるとあとがつらい。風呂上がりに3つは行くから。
「あーでも口寂しい」
【カイメイ】お菓子がないなら・2【レンリン】
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【カイメイ】共犯者【メイカイ】
同型のボーカロイドを1日交換しよう、というのはマスター同士の思いつきだった。
『新曲で女声がもう一つ欲しいのよ、メイコ貸してくれない?』
『なら俺もメイト貸してくれ、調声してみたい』
私のマスターとメイトのマスターは昔馴染みで、プライドが高く完璧主義の似た者同士だ。
言い合いも口喧嘩もしょっちゅうだけれど、互いのボーカロイドを持ち寄っては二人で一緒に仕事をするような気安い関係だった。
【カイメイ】共犯者【メイカイ】
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【カイメイ】 その青は、世界を満たした
MEIKO
唄い続けるんだよ
お前の前に道はない
お前が道を作るんだ
その先にあるものを考える必要はない
【カイメイ】 その青は、世界を満たした
駄文を書いては自己満足しています。
一応小説。たまになりそこないのポエム。
全くの自己流ですので、読みにくいところも多々あるかと…
年長組が好きです。全力でカイメイ支援。
っていうかカイメイ小説しか書いてませんのでご注意ください。
めーちゃん可愛いよめーちゃん。
めーちゃんが皆から愛されてれば幸せ。
めーちゃん中心に家族は回っていると信じてやみません。
めーちゃんハァハァ
美麗イラストを見てぴぎゃぁぁぁぁすると勝手に小話を作ることがあります。
ご注意ください。
タグやブクマ、メッセージありがとうございます…!(`;ω;´)ブワッ
カイメイ好きさんの優しさは世界一や
プロフ画像の可愛すぎるめーちゃんは青菜しゃーぷ様よりお借りしました!
[ブログサイト]
http://saltcabbage0919.blog.fc2.com/
[pixiv]カイメイ以外もあり。ピアプロの方がカイメイ作品多いです
http://www.pixiv.net/member.php?id=1040966
[twitter]たいしたこと呟きません
http://twitter.com/kyonturbo
※11/19発行の小説本3点、おかげさまで完売しました…!お買い上げくださった方々に最大の敬愛を!!