ピンポーンという音が玄関の方から聞こえて、僕は目を覚ました。
マスターかなって、思ったけどそんなことないかって思い直して、僕は玄関へ。
ガチャ、という音がして、ドアは開いた。
「・・・よぉ」
「・・・アカイトくん」
ドアの向こうには、あの時の懐かしい顔。
「・・・・いまだに髪赤いね」
僕が真っ先に言ったことはそれだった。相変わらず優先順位が違うなって思ったけど、それは元からだから気にしないことにした。
「とりあえず、上がってってよ」
そう言って、ドアを更に大きく開ける僕。
「お邪魔するぜ」
そう言うアカイトくんの目は、やっぱり優しいままだった。
「それで、何でここに来たの?」
アカイトくんにミルクティーが入ったカップを渡してから、僕はたずねた。
「・・・ん、何でって、来ちゃだめなのかよ」
アカイトくんはミルクティーを一口飲んでから、言った。
「え、別に・・・今はマスターいないから、いいけど」
僕は僅かに目を逸らして呟く。
「でさ、」
そう言いながら近づいて来るアカイトくん。
「・・・何?」
僕は逃げる準備をしながら後ろに少しずつ下がる。
「お前、マスターのこと待ってるのか?」
「・・・・・・・」
ほら、やっぱり。この間ミクちゃんに思わず言ってしまったことだから、絶対アカイトくん知ってると思ったんだ。
「・・・だって、・・・・」
その後に続ける言葉が無い。僕は俯いた。
「あのなぁ、マスターはお前には、それ以上の感情は無いと思うぜ?多分マスターが言ってた、あの人が好きなんだと思うけどな?」
「・・・・・でも」
「でも、なんだよ?っていうか、俺ぶっちゃけお前のこと好きだぜ?」
「・・・」
なんか、スルーしちゃだめなような気がするけど、多分意味合いが違うんだと思うことにする。
「だからさ、お前には・・・・」
そこで何故かアカイトくんは黙る。
「・・・・・?」
僕は顔を上げて、アカイトくんを見た。
アカイトくんは携帯を開いて、何か打っているみたいだった。僕はその間、声をかけれなくてただ見守っていることにした。
「・・・これ」
しばらくして、アカイトくんは携帯の液晶画面を僕の方に向けてきたので見てみた。
「・・・・・・幸せは、探せばきっと見つかるよ」
「その文は、マスターがいつも持ってるシャーペンに書いてあってさ。それ見せてくれた時に、マスターが言ってたんだ。幸せは探せばきっと見つかるよってな」
「・・・マスター」
「だからさ、カイト。お前、いつまでもマスターに、こだわらないで誰か別の女の子見つけたらどうだ?俺、協力するぜ」
「・・・・・・・」
僕は、何も言えなくて、ただ黙ってることしか出来なかった。
「ま、返事はまた後ででもいいからさ。お前なりの答えを聞かせてほしいからな。・・・俺、いっつもここにいるからさ、もし良かったら来てくれ。・・・じゃあな」
僕に一枚の紙切れを渡して、ミルクティーを全部飲んでから、帰っていった。
「・・・?」
僕はアカイトくんを背中を見送った後、紙切れをよく眺めてみた。
すると、そこには『科音 バンの研究所にいるから』という文が書かれているだけだった。
「・・・アカイトくんの友達かな」
僕はその紙切れが、まさかあんな展開を生むとは、この時の僕には全く予想出来てなかった。
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