【カイメイ】鈍色空に花吹雪

投稿日:2011/05/26 01:42:51 | 文字数:2,028文字 | 閲覧数:2,969 | カテゴリ:小説 | 全7バージョン

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長っ!!自分でびっくりした!
大好きな仕事してPの「鈍色空に花吹雪」【http://www.nicovideo.jp/watch/sm12474254】がイメージ元になっています。

!ご注意!
◆黄泉桜【novel/102401】の続編です(当初大正時代だったのから昭和初期設定に変えました)
◆名前が漢字です(しかも苗字付き)
◆転生ものです
◆双子が70代です
◆あくまで私解釈です 石は投げなry

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TEXT
 

[二]

俺の心臓は、人より弱めに出来ている。
先天性心室なんたらとかいう長ったらしい名前の付いた病気で、赤ん坊の頃は5歳まで生きられないと診断されていたらしいが、その期待を見事に裏切って俺はまもなく17歳の誕生日を迎えようとしていた。
優しい家族は俺のためにより良い病院を求めて引っ越しを繰り返し、ここが5つ目の新天地。経済的にも精神的にも大変なはずなのに、なんてことはない俺のためだと笑う父や母や妹の顔を見る度に、感謝よりも申し訳なさが先に立って、それ以上何も言えなくなってしまう。

時折思い出したように襲う発作に苦しんでいる時、思う。本当なら5歳でなくなっていたはずの命。今は単に神様が気まぐれで延長しているだけの、「おまけ」の時間。「おまけ」だと思えばどんなに苦しい発作も他人事のように思うことが出来た。しかし、「おまけ」の時間のために家族に迷惑をかけているのだと思うと、居たたまれない気持ちになって。
一体俺は、なんのために生きているんだろう。残された時間を、発作に怯えながら生きていくだけの人生なのだろうか。
そう思っては見るものの、悲観して流す涙など、もうとうに枯れている。

生きたいのか、死にたいのか。
最早どちらなのか自分でも分からなくなっていた。





「っ、はぁ、…っはぁ」

ぜぇぜぇと切れる息に、フル回転で回る心臓。
小高い丘を上りきった時、俺の胸に去来したのは爽快感でも達成感でもなく、後悔ばかりだった。
まずった。調子乗った。せっかく来たし丘の上まで行ってみようなんてチャレンジ精神出すんじゃなかった。
ちくしょう、と声に出してみても息切れに紛れてそれは言葉にならず、大体上ると決めたのは自分なのでちくしょうもへったくれもないんだが。
ようやく呼吸が収まって丘の下を見晴らせば、そこには可愛らしく立ち並ぶ住宅。その向こうには山の稜線が見えて、当たり前のように緑が見える。東京とはちがうところに来たんだと今更のように実感した。
小春日和の風を頬に受けざわりとなにかが頭上で揺れて、俺はふと視線を上げる。


すると。
そこには、たった一本だけ、老木が静かに佇んでいた。


「……」
ぽん、と幹に手をつく。太陽の熱を吸収しているのか、長年風雪に晒されたであろう木肌からは暖かい感触がした。
立派な桜の木だ。何故丘を登る途中で気付かなかったのだろう。2度目の転校先の小学校にも樹齢100年の桜があったけれど、これはそれ以上だ。

「…桜?」
(どうして俺は今、この木を桜だと思った?)
特に植物に詳しいわけではない。専門的知識もないのに、枯れた状態での樹木を見たところでそれがなんの木なのか分かるわけもないのに。思わず首を傾げる。
幹に手を置いたまま、ぐるりと周囲を歩く。つま先に硬い感触がして足元を見下ろすと、灰色の石が地面に埋め込まれていた。
10センチほどの高さのあるそれは自然物にしては大きくて、どうやら石碑のようだ。蹲って覗き込むと、うっすら文字が彫ってある。

『黄泉桜』。

「黄泉…桜…?」
言葉にした瞬間、どくん、と心臓が不穏な動きを見せた。

『黄泉桜』。
瞬間、俺を支配する既視感。
知っている。俺は、この名前を知っている。気のせいではない。俺は、『黄泉桜』を知っている。
どこで?どこで俺はその名を聞いた?
一度認識した言葉は質感と温度を手に入れて、目に映る風景すらを変えていく。

言葉だけではない。俺は、この場所を知っている。
そうだ。ここだ。物心ついた時から、瞼に焼き付いている場所。
小高い丘に、一本の桜の木。灰色の雲に覆われた世界で、咲き誇る薄紅。山々の稜線。丘の下に広がる田園風景。
あの場所は、ここだ。桜は枯れているし、丘の下に広がるのは田園風景ではなく住宅街だけれど、間違いなくこの場所だ。
目の前にあふれ出す色彩。薄紅、新緑、空色、灰色。風の匂い。夏の蒸し暑さ、冬の刺すような寒さ。身に纏った木綿の肌触り。幼い子供の泣き声。そして、ふわりと微笑んだ笑顔に、指先に触れた頬の暖かさ。締め付けられるような感情。

今のは、なんだ。
今のイメージはなんだ。
どうして俺は、あの風景を知っている。


鼓動が早くなる。全身から反響するようなその音は、やがて発作と似た苦しさを伴い、俺は木の幹を背にして天を仰ぐ。
「…っ…」
収まったはずの呼吸が再び荒くなり、耐え切れずに地面に膝をついた。
心臓が破けてしまいそうだった。枯れ枝の隙間から見える空の青さと陽光が目に飛び込んで、思わず目を細める。

(俺は死ぬのかな)
(ああでも、ここで死ぬなら、悪くないかもしれない)

苦しさと、諦めと、麻痺したような幸福感。
自分でも理解できない相反する感情を味わいながらそのまま意識を手離しかけた時、視界の隅で何かが揺れた気がした。
反射的に手を伸ばすと、細い指先が俺の手を握り返してくれた気がした。

駄文を書いては自己満足しています。
一応小説。たまになりそこないのポエム。
全くの自己流ですので、読みにくいところも多々あるかと…


年長組が好きです。全力でカイメイ支援。
っていうかカイメイ小説しか書いてませんのでご注意ください。


めーちゃん可愛いよめーちゃん。
めーちゃんが皆から愛されてれば幸せ。
めーちゃん中心に家族は回っていると信じてやみません。
めーちゃんハァハァ

美麗イラストを見てぴぎゃぁぁぁぁすると勝手に小話を作ることがあります。
ご注意ください。


タグやブクマ、メッセージありがとうございます…!(`;ω;´)ブワッ
カイメイ好きさんの優しさは世界一や


プロフ画像の可愛すぎるめーちゃんは青菜しゃーぷ様よりお借りしました!


[ブログサイト]
http://saltcabbage0919.blog.fc2.com/

[pixiv]カイメイ以外もあり。ピアプロの方がカイメイ作品多いです
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[twitter]たいしたこと呟きません
http://twitter.com/kyonturbo



※11/19発行の小説本3点、おかげさまで完売しました…!お買い上げくださった方々に最大の敬愛を!!

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作品へのコメント3

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    ご意見・感想

    黄泉桜を初めて読んで、号泣。
    これを初めて読んで、超号泣。
    弟にも読ませました笑

    本当に素晴らしい作品をありがとうございました!!
    カイメイ万歳!

    2013/02/25 18:36:21 From  カメフィ

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    メッセージのお返し

    >カメフィ様
    わわわわ黄泉桜も読んでくださったのですね…!ありがとうございます////
    しかも弟さんにも…ですって…ww弟さんすみませんごめんなさい…www
    少しでも気に入って下さったのなら嬉しいです…!
    鈍色と黄泉桜は書いた作品の中でも特別なものなので、感想頂けて嬉しいです!////
    またお待ちしてますー!///

    2013/03/27 01:41:40 キョン子

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    ご意見・感想

    はじめまして。
    キョン子さんのカイメイが大好きでどの作品も何度も読ませて頂いています。
    読み終わった今、涙が止まりません…。
    声が出るくらい泣いてしまいました。
    素敵なお話を有難うございました。
    カイメイばんざぁぁぁぁいっ!

    2011/05/27 00:43:36 From  くまごろー

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    メッセージのお返し

    >くまごろー様
    ふぉぉぉぉぉぉぉ…!!!なんて嬉しいお言葉の数々…!!!;ω;
    ありがとうございますありがとうございます、すっごい嬉しいです!!
    読んでくださる方の涙を頂戴出来るなんて本当に書き手冥利につきるというか、なんていうかこんな私の作品でそう言っていただけるなんて本当に幸せです、ありがとうございます!
    もしよろしければまた呼んでやってください、頑張ります!!!
    カイメイばんざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!

    2011/05/28 22:22:13 キョン子

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    ご意見・感想

    黄泉桜の続きが読めるなんて…!
    兄さんとめーちゃんが再び出会えてほんとうに良かったです。カイメイは永遠ですね(*^^*)
    あと、リンレンがご年配というのがなんだかツボです。
    素敵なお話をありがとうございました!

    2011/05/25 05:37:13 From  マーブリング

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    メッセージのお返し

    >マーブリング様
    その通りですともカイメイは永遠です!!
    過去でも現世でもパソコンの中でもカイメイは結ばれる運命なのだと信じてやみません!
    70代のリンレンなんて受け入れてもらえるのかとすごく不安でしたが、嬉しいお言葉…!
    ミクも出せて満足でしたが、実は転生めーちゃんの妹にルカがいるという設定が生かしきれませんでしたw
    こちらこそメッセージありがとうございました!

    2011/05/26 20:37:56 キョン子

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