【カイメイ】鈍色空に花吹雪

投稿日:2011/05/26 01:42:25 | 文字数:2,158文字 | 閲覧数:2,965 | カテゴリ:小説 | 全7バージョン

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長っ!!自分でびっくりした!
大好きな仕事してPの「鈍色空に花吹雪」【http://www.nicovideo.jp/watch/sm12474254】がイメージ元になっています。

!ご注意!
◆黄泉桜【novel/102401】の続編です(当初大正時代だったのから昭和初期設定に変えました)
◆名前が漢字です(しかも苗字付き)
◆転生ものです
◆双子が70代です
◆あくまで私解釈です 石は投げなry

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TEXT
 

[三]

『おにいちゃん?今どこにいるの?』
「…ああ、えーっと、ちょっと散歩に」
『…もう、どうせまたあそこにいるんでしょ』
「……」
『お母さん、もうすぐ帰ってくるよ』
「ああ」
『早く戻ってきて。…あんまり心配かけないであげてね』

ごめん、と受話器の向こうの妹に告げて電話を切った。
白く息を吐いて、俺は風に枝を揺らす『黄泉桜』を見上げる。
鈍い色の空に映える色彩はない。冬なのだから当たり前なのだが、1年中枯れることのない薄紅なんて、まるで御伽噺だ。



初めてこの桜の元にやってきたあの日から、1週間。
あの日、ふと目が覚めた時、俺は自分の部屋のベッドの中にいた。今のは夢だったのだろうかとぼんやり天井を見上げていると、やがて美久が薬と白湯を持ってくる。
美久曰く「おにいちゃん、夕方頃真っ青な顔で帰ってきたのよ」。
無茶な運動をしたせいで発作を起こし、この木の下で蹲っていたところを通りかかった親切な人に見つけてもらって、その人に付き添われて家まで戻ってきたという。まったく覚えていないが、そうだと俺自身が説明したらしい。美久が俺を出迎えた時はもう俺の姿しかなく、その人は帰ってしまったあとだった。
発作も落ち着いていたので病院には行かなかったが、両親と美久にはこっぴどく叱られた。「散歩に行けとは言ったけど発作を起こせとは言ってない」と無茶なことを言われたが、確かに勝手にふらついて発作を起こしたのは俺なのでぐうの音も出ず、ひたすら謝り倒した。それ以降監視が厳しくなり気ままに出歩くことは難しくなったものの、両親の目を盗んでは俺はしょっちゅうここへ来ている。美久は俺のアリバイ作りを手伝ってくれたり、今みたいに母親が帰ってくる時間を教えてくれたりして、文句を言いながらも協力してくれている。理由を尋ねたら「おにいちゃんがなにかに執着するのなんて珍しいから」と真面目な顔で返されて、苦笑いが漏れた。

執着。
確かにそうかもしれない。
『おまけ』の時間を生きてきた俺にとって、この感覚は初めてのものだった
知りたかった。『黄泉桜』のことを。自分自身の体から溢れる、あの感覚と記憶を。




≪『黄泉桜』。下平地区にある樹齢二百年以上の桜の木。長年ソメイヨシノの一種と言われてきたが、近年の研究でソメイヨシノには見られない特徴が確認されたため、未確認の新種ではないかと今なお研究が重ねられている。≫
≪『黄泉桜』の名の由来は、明治から大正にかけて葬送の儀に用いられてきたことから。地区に住む者は『黄泉桜』に死に顔を見せることが現世での最後の勤めとされ、死者が出た場合神職に従事する者が儀式を執り行い、その後墓地での土葬を行っていた。土葬の風習は次第に廃れ火葬に移行していったが、『黄泉桜』に死に顔を見せるという儀式は受け継がれた。≫
≪『黄泉桜』は年間を通して枯れることがなかった。詳細の理由は分かってはいないが、気候や土壌、水質、また木自体の特性が関係していると思われる。人々は神の宿る木として『黄泉桜』を崇め、尊敬または畏怖の対象として保護してきた。≫

ある日思いつきで赴いた図書館で見つけた1冊の本。
賑わう児童書の隣、人の姿のない郷土史のコーナーで恐る恐る手に取った『黄泉桜伝承』という本には、俺が知りたかった『黄泉桜』の歴史が書かれていた。

≪しかし、枯れない『黄泉桜』が一度だけ枯れたことがある≫
≪一九五一年の二月。『黄泉桜』は咲き誇らせていたその花弁をすべて散らせた。研究者の談に寄れば例年より冷え込みが厳しく、木自体に寿命が来ていたのではないかということ。(文献を紐解いても死者も急増した年だったことが確認できる。)≫
≪地区の人々は神の罰を恐れ、『黄泉桜』の根元に祠を建立。その年の春、『黄泉桜』は再び花をつけた。しかしそれは通常の桜と同様一春だけのものであり、二週間程度で花は散り、その後の年も同様であった。≫

文字を追う指先が震える。次々と目に入る事実。名の由来も、葬送の場であったことも、1年中枯れることがなかったということも。
俺は、どこかでそれを知っているような気がした。
そして、次の一文で呼吸も止まって、瞳孔が開いた。

――≪(なお『黄泉桜』が花を散らせた時、当時村長の次男である青年の葬儀の最中であったが、関係の程は不明である。)≫




思わず手に力を込めると抱えていた本がみしりと音を立てる。
図書館で見つけた『黄泉桜伝承』に、この2週間でどれほど目を通したか分からない。最初の見開きには満開の花を咲かせる『黄泉桜』の写真が載っていて、何度見ても心が波立つ。

≪なお、『黄泉桜』は一九八〇以降、花をつけたところは観測されていない。今度こそ寿命かと思われるが、一九八五年の住民投票で伐採は否決された。専門家による調査では根元や枝はまだやせ衰えておらず、危険性はないと判断された結果に基づく。老朽化した祠は取り壊されたが、伐採が否決された年に地元住民により小さな石碑が建立された。≫

俺は、もうこの木が花をつけるところを見ることが出来ない。
石碑をそっと撫でる。2月の空気に晒されたそれは痛いほど冷えていて、それでもじっと『黄泉桜』の側に立っていた。

駄文を書いては自己満足しています。
一応小説。たまになりそこないのポエム。
全くの自己流ですので、読みにくいところも多々あるかと…


年長組が好きです。全力でカイメイ支援。
っていうかカイメイ小説しか書いてませんのでご注意ください。


めーちゃん可愛いよめーちゃん。
めーちゃんが皆から愛されてれば幸せ。
めーちゃん中心に家族は回っていると信じてやみません。
めーちゃんハァハァ

美麗イラストを見てぴぎゃぁぁぁぁすると勝手に小話を作ることがあります。
ご注意ください。


タグやブクマ、メッセージありがとうございます…!(`;ω;´)ブワッ
カイメイ好きさんの優しさは世界一や


プロフ画像の可愛すぎるめーちゃんは青菜しゃーぷ様よりお借りしました!


[ブログサイト]
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[pixiv]カイメイ以外もあり。ピアプロの方がカイメイ作品多いです
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[twitter]たいしたこと呟きません
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※11/19発行の小説本3点、おかげさまで完売しました…!お買い上げくださった方々に最大の敬愛を!!

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作品へのコメント3

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    ご意見・感想

    黄泉桜を初めて読んで、号泣。
    これを初めて読んで、超号泣。
    弟にも読ませました笑

    本当に素晴らしい作品をありがとうございました!!
    カイメイ万歳!

    2013/02/25 18:36:21 From  カメフィ

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    メッセージのお返し

    >カメフィ様
    わわわわ黄泉桜も読んでくださったのですね…!ありがとうございます////
    しかも弟さんにも…ですって…ww弟さんすみませんごめんなさい…www
    少しでも気に入って下さったのなら嬉しいです…!
    鈍色と黄泉桜は書いた作品の中でも特別なものなので、感想頂けて嬉しいです!////
    またお待ちしてますー!///

    2013/03/27 01:41:40 キョン子

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    ご意見・感想

    はじめまして。
    キョン子さんのカイメイが大好きでどの作品も何度も読ませて頂いています。
    読み終わった今、涙が止まりません…。
    声が出るくらい泣いてしまいました。
    素敵なお話を有難うございました。
    カイメイばんざぁぁぁぁいっ!

    2011/05/27 00:43:36 From  くまごろー

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    メッセージのお返し

    >くまごろー様
    ふぉぉぉぉぉぉぉ…!!!なんて嬉しいお言葉の数々…!!!;ω;
    ありがとうございますありがとうございます、すっごい嬉しいです!!
    読んでくださる方の涙を頂戴出来るなんて本当に書き手冥利につきるというか、なんていうかこんな私の作品でそう言っていただけるなんて本当に幸せです、ありがとうございます!
    もしよろしければまた呼んでやってください、頑張ります!!!
    カイメイばんざぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!!!

    2011/05/28 22:22:13 キョン子

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    ご意見・感想

    黄泉桜の続きが読めるなんて…!
    兄さんとめーちゃんが再び出会えてほんとうに良かったです。カイメイは永遠ですね(*^^*)
    あと、リンレンがご年配というのがなんだかツボです。
    素敵なお話をありがとうございました!

    2011/05/25 05:37:13 From  マーブリング

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    メッセージのお返し

    >マーブリング様
    その通りですともカイメイは永遠です!!
    過去でも現世でもパソコンの中でもカイメイは結ばれる運命なのだと信じてやみません!
    70代のリンレンなんて受け入れてもらえるのかとすごく不安でしたが、嬉しいお言葉…!
    ミクも出せて満足でしたが、実は転生めーちゃんの妹にルカがいるという設定が生かしきれませんでしたw
    こちらこそメッセージありがとうございました!

    2011/05/26 20:37:56 キョン子

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