アナザー:ロミオとシンデレラ 第二話【ミクの興奮】
投稿日:2011/08/05 23:36:05 | 文字数:4,535文字 | 閲覧数:1,148 | カテゴリ:小説
やっぱりハイテンションなミクは書いていて楽しい。
その日の朝、登校したわたしの目に入ったのは、信じられないような光景だった。何かって? リンちゃんが、同じクラスの鏡音君と話をしていたのっ! これが驚かずにいられますか!
……と言うと、大抵の人は「それのどこが信じられないわけ? 同じクラスなんだから話ぐらいするでしょ?」って思うかもしれない。けれど、リンちゃんに関してはそれはありえないのだ。何しろリンちゃんは、がちがちにガードが固い。リンちゃんの育った家庭を考えると仕方がないんだけど、とにかくもう固い。相手が男の子だとそれはもっと顕著で。わたしはリンちゃんと幼稚園の頃からのつきあいだけど、小学校高学年になった頃から、リンちゃんは自分からは、全く男の子と話さなくなってしまった。じゃあ、話しかけられた時はどうかって? 大抵は口ごもっちゃってまともに返事ができない。わたしの家には現在、わたしと同い年の従弟のクオ――これはあだ名で、本名はミクオ――が同居していて、リンちゃんが遊びに来た時にクオと顔をあわせることもあるんだけど、やっぱり話せずにいる。
わたしがリンちゃんにおはようと声をかけると、鏡音君は自分の席に戻って行ってしまった。
「ねえねえリンちゃんっ! 今話してたの鏡音君でしょ?」
「そうだけど」
リンちゃんはちょっとわたしの勢いに困ってるみたい。でもこれだけは譲らないもんね。絶対に鏡音君と話してた経緯を聞きださなくちゃ。
「いつ仲良くなったの?」
わたしがそう尋ねると、リンちゃんが昨日起きたことを話してくれた。リンちゃんが劇場――リンちゃんの趣味は観劇だ――で転んで足をくじいてしまい、困っているところに鏡音君が通りがかって助けてくれたのだそうだ。さっき話していたのも、足のことを心配していてくれたらしい。
「そんなすごいことがあったんだ……」
それはさておき、これってなかなかいい状況じゃない? そういう「困った状況」だったから、リンちゃんのガードが一時的に外れたんだわ。思ってもみないチャンスかも。
「別にすごくないわ。ただの捻挫よ」
「怪我の話じゃないんだけどな……というか、鏡音君は意外といい人だったのね」
鏡音君はクオの友達だけど、クオは家に友達連れてこないから――わたしもお父さんもお母さんも、遠慮しないで連れて来いって言ってるんだけどね――わたしは鏡音君のことはよく知らないの。
「ミクちゃんは、鏡音君のことよく知ってるの?」
「わたしはそうでもないけど、クオが仲いいのよ。一年の時同じクラスだったし、部活も一緒だから」
クオは、似合わないことに演劇部に入っている。今年の学祭では、結構目立つ役を舞台で楽しそうにやっていた。……何て役名だったかしら。人間じゃなかったことは憶えてるんだけど。「人間を滅ぼせ!」って舞台で叫んでたっけ。
もっと話していたかったけれど、始業のベルが鳴ってしまったので、わたしは席に戻った。先生が入ってきて、あれこれと話を始める。でも、わたしの頭の中は、思いついた計画のことでいっぱいだった。
リンちゃんのガードが外れるなんて、数年に一度あればいい方だ。しばらくは継続しているだろうし、これはチャンスっ! この機会に二人をくっつけるのよっ! それがわたしの使命だわっ! でも、わたし一人じゃ難しいわね。クオにも手伝ってもらわなくちゃ。
昼休みに、わたしはクオにメールを打った。相談したいことがあるので、学校が終わったらいつもの喫茶店に来てくれって。え? 家で話せばいいじゃないかって? だって、できるだけ早くこの話したかったんだもの。家に帰るまでなんて待てないわよ。
学校が終わると、わたしは鞄をつかみ、喫茶店へと向かった。……クオはまだ来ていない。でも、もうじき来るだろう。わたしは奥の席に座った。
しばらく待つと、クオが入ってきた。
「あっ、クオ!」
手を振ると、クオはわたしに気づいてこっちにやってきた。向かいの席に座って、メニューを見る。しばらくするとウェイトレスさんが注文を取りに来たので、クオはアイスコーヒー、わたしはアイスココアを注文した。このお店のココアは、クリームがたっぷり入っていて美味しいの。
「で、なんだ? 相談したいことって」
「あ、うん。あのさあクオ、鏡音君と仲いいよね?」
「なんだよいきなり」
クオはちょっとむっとしてるみたい。どうしたんだろう。とはいえ、この目的のためには、クオの機嫌なんかに構ってられない。わたしは質問を続ける。
「調査よ調査。クオ、鏡音君って、今つきあっている人はいる?」
まずは彼女の有無を確認しないとね。お膳立てしといて実は彼女がいました、じゃ、リンちゃんが傷ついちゃう。あ、でも、つきあってる人がいたらどうしよう。さすがに別れさせるのはちょっと、ね……いませんように。
一方、クオはますますむっとしてるみたい。
「今はいないはずだけど。去年の今頃に彼女と別れたって聞いてから、新しいのができたという話は聞いてないし」
前はいたけど、今はいないのね。なかなか悪くない話。クオの口ぶりだと、深刻な失恋って雰囲気でもなさそうだし。今頃淋しさが身にしみてるかも。
「じゃあ今フリーなんだ。ね、前の彼女と別れた理由って何?」
「なんでそんなこと訊くんだよ」
「だって知りたいんだもん。浮気性だったりすると困るし」
浮気症だとか、彼女に暴力振るうとか、金銭関係のトラブル抱えてるとか、そういう性質の悪い男をリンちゃんに近づけるわけにはいかないもんね。
クオは、不機嫌と困惑が入り混じったような表情で、わたしの質問に答えてくれた。
「なんか……相手の子に別に好きな人ができたらしい。学校が違うからつきあいの継続が難しかったんじゃないのか。詳しいことは聞いてないから俺も知らない」
割とオーソドックス、というかものすごく普通の理由ね……。まあでもそんなもんか。それに、下手に失恋の傷引きずられても困るわ。
「じゃ、浮気とか暴力とかじゃないのね。まあ、真面目そうだし大丈夫だと思ったけど。これならOKだわ」
リンちゃんの彼氏として。鏡音君は外見もいい方だし、成績も良いし、リンちゃんと並んでも見劣りしないわ。よし合格。
「何がだよ。おいミク、自分一人で納得してないで、俺にちゃんと説明しろ」
おっとっと。クオにもちゃんと話をしなくちゃね。これから協力してもらうんだから。この計画には、クオの協力が必要不可欠なんだし。
と、クオが不意に深刻な表情になった。どうしたのよ。
「なあ、ミク……。お前、もしかして、レンのことが好きなのか?」
は? やだなあクオったら、どうしてそうなるのよ。思ってもみなかったことを訊かれたせいで、わたしは笑い出してしまった。ありえな~い。そりゃ、確かに鏡音君は見た目いいけど、わたしの好みとは外れている。
「え? 嫌だ違うわよ」
あれ、クオ、怒るかと思ったらほっとした顔してる。どうしたんだろう。
「じゃあ何が『これならOK』なんだ」
あ、いけない。ちゃんと説明しないと。
「鏡音君とリンちゃんの仲を取り持ってもOKってこと」
わたしがそう言うと、クオは今度は唖然とした顔になった。何もそんなに驚かなくてもいいじゃない。
「どこからそういう話が出てくるんだ」
クオはわたしたちとはクラスが違うので、あの朝の風景は見ていない。というわけで、わたしは力を込めて説明することにする。
「今日ね、リンちゃんと鏡音君が話をしてたの。それを見てわたしはぴんと来たのよ」
「……何が」
クオ、どうしてそう興味なさそうな反応なの? わたしにとってこれは一大事なのよ!?
「あの二人は絶対お似合いだって!」
こぶしを握ってわたしはそう断言した。でも、クオはしらけた表情をしている。……もう。
「なんでそこでお前が盛り上がるんだよ」
クオはそんなことを言ってきた。
「え~、だって、高校生活勉強ばかりじゃ淋しいじゃない? リンちゃんが彼氏を作るチャンスをものにしてあげるのが、親友の務めってものでしょ?」
ちょっと、クオってばどうしてそこで呆れきった表情するの? 全くもう、クオはリンちゃんの抱えてる事情知らないし、仕方がないのはわかってるけど、ちょっと面白くないわ。こうでもしないと、リンちゃんは恋愛する前にあのお父さんに結婚させられてしまう。
「お前だって彼氏いないじゃないかよ。他人の世話焼く前に、自分をどうにかしたらどうだ?」
しかも、しかもだ。クオったら、こんなことを言い出したのだ。
「しょうがないじゃない! わたしにつりあうようないい男がいないんだから!」
このわたしがつきあうんだから、わたしのことを世界で一番お姫様扱いしてくれる人じゃないと。これだけは譲れないわ。というか、クオだってわたしの好みは知ってるはずなのに、なんでこんなこと言うのよ?
クオはむすーっとした表情のままで、アイスコーヒーを一口啜った。
「それにしても……お前それだけの理由で、レンに巡音さん押しつける気か」
……ちょっと、それ、どういう意味!? 久々本気で怒ったわよ。クオったら、リンちゃんのことをなんだと思ってるの!?
「クオ……それ、どういう意味?」
わたしは冷たい口調でそう言って、クオを睨んだ。クオが椅子の上でじりっと後ずさる。さすがにわたしが本気で怒ってることがわかったみたい。
「ミ、ミク……そんな怖い顔するな」
悪いけど、返答次第によっちゃ許しちゃおかないわ。
「『レンに巡音さん押しつける』って、どういうつもりで言ってるの? リンちゃんはわたしの友達よ? クオは、リンちゃんをそういうふうに思ってるの?」
わたしがクオを睨んでいると、クオはたじたじになりながら、こんなことを言い始めた。
「い、いやだからさ……レンの気持ちはどうなるんだよ? お互いの気持ちが大事だろ。レンにせよ巡音さんにせよ、好みは逆かもしれないぞ」
賭けてもいいけど、クオ、もともとは違うこと考えてたでしょ。でもまあいいわ、勘弁してあげる。
「それは……まあそうだけど……」
クオは、見るからに安心した様子をしている。甘いわね。計画に協力はしてもらうわよ? さっきわたしを怒らせたんだから、これは当然の代償よね。
「でも、うまくいくかもしれないでしょ?」
わたしの勘は、あの二人はうまくいくと告げている。
「可能性がないとは言わないが……」
「じゃあやるわよ」
クオをさえぎり、わたしはぴしゃりとそう言った。
「何を」
「二人の仲を取り持つの!」
クオ、できることなら協力したくなさそう。でも、逃がすもんですか。
「クオ、手伝ってくれるわよね?」
声にプレッシャーをにじませてそう言う。絶対に承諾してもらいますからね。
「……わかったよ。で、俺は何すりゃいいんだ。言っとくけど、レンを巡音さんとつきあうよう説得するのは無理だぞ」
ふっふっふ、かかった。
「そんなこと頼まないわよ。あのね……」
わたしは早速、クオに作戦を説明し始めた。
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アナザー:ロミオとシンデレラ 第十二話【雪の中で咲こうとする花】
何とか電車には間に合い、遅刻もせずに済んだ。ああ良かったと思いながら教室に入る。……あ。
巡音さん、今日は来ているんだ。自分の席で、今日も本を読んでいる。もう大丈夫なんだろうか。
「おはよう、巡音さん」
声をかけると、向こうは驚いた表情でこっちを見た。弾みでぱたんと本が机の上に落ちる。……ガルシンの短編集ね。
「……おはよう、鏡音君」
アナザー:ロミオとシンデレラ 第十二話【雪の中で咲こうとする花】
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アナザー:ロミオとシンデレラ 第五話【ブレインデッド】
その日の夜、俺は晩飯の後で、姉貴に訊いてみた。
「今日、クオから映画のDVD借りてきたんだけど、姉貴も見る?」
「何借りたの?」
「『ブレインデッド』ゾンビ映画。ピーター・ジャクソン監督」
ちなみに、姉貴は変な映画が結構好きだったりする。弟の俺でも、姉貴の映画の趣味をはっきりとは把握していない。
アナザー:ロミオとシンデレラ 第五話【ブレインデッド】
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アナザー:ロミオとシンデレラ 第四話【ミクの不満】
わたしが立てた作戦は完璧だった。まず、わたしがリンちゃんを「映画でも見ない?」と言って家に呼ぶ。そして同じ日に、クオがやっぱり映画を口実にして、鏡音君を連れてくる。後はわたしとクオが喧嘩をする振りをして、二人だけ部屋に残して出て行ってしまうのだ。これで、リンちゃんと鏡音君が部屋の中で二人っきり、という、非常に美味しい状況ができあがることになる。
クオはうまくいくわけないだろう、という態度を崩さなかったけれど、鏡音君を呼ぶことは呼んでくれた。なんでも、このために鏡音君の見たがっていた映画のDVDを買ったらしい。ありがと、クオ。
わたしもリンちゃんに電話をかけて話をする。こっちは簡単だ。リンちゃんは基本的に、わたしの誘いは断らない。二つ返事でわたしの家に来ることになった。
そして当日。わたしとクオは予定どおり、ホームシアタールームで鉢合わせして喧嘩した後、「話をつける」と言って、部屋を後にした。お二人さん、ごゆっくり。
「ところで、第一段階(二人を呼び出して、二人だけにする)はうまくいったけど、この後はどうするんだ?」
アナザー:ロミオとシンデレラ 第四話【ミクの不満】
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アナザー:ロミオとシンデレラ 第三話【何故ならそれこそが恐怖だから】前編
土曜日の夕方。俺が自分の部屋で課題を片付けていると、携帯が鳴った。かけてきたのは……クオか。
「もしもし」
「よう」
「どうした?」
「ああ……えっと、お前、明日暇か?」
アナザー:ロミオとシンデレラ 第三話【何故ならそれこそが恐怖だから】前編
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アナザー:ロミオとシンデレラ 第三話【何故ならそれこそが恐怖だから】後編
「いやああああっ!」
びっくりしてそっちを見る。初音さんが悲鳴をあげていた。あれれ。巡音さんも画面を見るどころじゃなく、初音さんを見ている。
こんな反応するってことは、初音さんってホラーが全くダメなタイプ? クオ、お前、何考えてんだ。俺と巡音さんはどっちも唖然として、悲鳴をあげる初音さんを見ていた。
「クオのバカっ! 変態っ!」
初音さんはいきなり立ち上がってクオに飛びかかると、その首を勢いよく絞め始めた。うわあ……。
アナザー:ロミオとシンデレラ 第三話【何故ならそれこそが恐怖だから】後編
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アナザー:ロミオとシンデレラ 第十四話【あるのはただ、今日という日】
『RENT』が始まると、巡音さんは真剣な表情で、画面に見入っていた。実を言うとちょっとばかり、巡音さんには刺激が強すぎるんじゃないかなあと心配していたんだが――何せドラッグやエイズや同性愛が題材の作品だ――杞憂だったらしい。
『RENT』が終了した後、巡音さんは黙って画面を見ていた。集中しすぎて気が抜けたらしい。……こういう時は、そっとしておこう。俺は立ち上がって、お茶のお代わりを淹れに行くことにした。……全部最初にこっちに持ってきておけば良かったかなあ。今更そんなことを考えても仕方ないか。俺は急須にお湯を入れて、居間へと戻った。
新しくお茶を入れた茶碗を目の前に置くと、巡音さんははっとした表情になって、こっちを見た。
「……ありがとう」
「どういたしまして。で、どうだった? 『RENT』」
アナザー:ロミオとシンデレラ 第十四話【あるのはただ、今日という日】
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アナザー:ロミオとシンデレラ 第十五話【悲劇か喜劇か】後編
「じゃあ見ましょうか」
姉貴はそう言って、DVDをプレーヤーに入れた。オペラが始まる。今回は劇場の外観は出てこず、抽象的な映像が映って、それからメニュー画面になった。
オペラが始まると、砂漠の中(例によってセットが凝ってる)で、黒ずくめの修道士たちが歌っている。そこに、主人公のアタナエルとやらが帰って来て、ヒロインのタイスが都市を堕落させている――幾らなんでも、女一人で都市そのものが堕落するわけないと思うんだが――とか、怒りをぶちまける。態度のでかい奴だな。でもって、この人は、タイスを改心させたいらしい。それは余計なお世話のような気がするんだが。
主人公は思いつめすぎているのか、眠ると夢にタイスがでてくる。主人公はそれを、「彼女を改心させよ」という、神の啓示だと受け取る。大体その辺りまで見た時だった。突然、姉貴が笑い出した。
「あ、あの……?」
アナザー:ロミオとシンデレラ 第十五話【悲劇か喜劇か】後編
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ロミオとシンデレラ 第十一話【冷たくもなく、熱くもない】
結局、日曜日は一日ぼんやりとして過ごしてしまった。そして、次の日。月曜になっても、気分は晴れない。
「リン、ちゃんと食べないと駄目よ。昨日もろくに食べてないでしょう?」
お母さんにそう言われたけれど、わたしは食が進まなかった。お父さんがいないのをいいことに、わたしは朝食を半分以上残して、席を立った。通学鞄を持って、家を出て車に乗る。
……考えちゃだめ。考えたらだめ。普通にしていないと。
しばらくすると、学校についた。校門で車から降りて、校舎へと向かう。その時、声をかけてきた人がいた。
ロミオとシンデレラ 第十一話【冷たくもなく、熱くもない】
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ロミオとシンデレラ 第二十三話【恋とはどんなものかしら】後編
いいものなのか、嫌なものなのか。作品ごとに褒めてあったりそうでなかったりで、わたしには余計にわからない。
「うーん……俺とユイは中三の時に委員会が一緒で、それで仲良くなって、秋頃にユイが『好きでした』って言ってきて、それでつきあおうかって話になったんだけど、何せ中三の秋だろ。受験に追われてろくにデートする暇もなかったんだよね」
鏡音君はそんな話を始めた。
「デートできないと恋ってできないものなの?」
よくわからなかったので、わたしは訊いてみた。
ロミオとシンデレラ 第二十三話【恋とはどんなものかしら】後編
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ロミオとシンデレラ 第十話【嵐】
日曜日がやって来た。今日は外出の予定はない。家で本でも読むか、オペラのDVDでも見てようかな……そんなことを考えながら、わたしは階下に降りて行こうとして、凍りついた。食堂から、お父さんとお母さんの話し声が聞こえてくる。ううん、これは、話しているんじゃない。
……喧嘩、しているんだ。
「朝からそんなくだらない話につきあう気はない!」
「くだらないことじゃないわ。ハクがひきこもってもう三年よ。やっぱり一度きちんとしたお医者様に見せるか、カウンセリングでも受けさせた方が」
「そんな恥ずかしい真似ができるか! 精神科に連れて行くことも、その手の医者を家に呼ぶことも許さん!」
ロミオとシンデレラ 第十話【嵐】
しがない文章書きです。よろしくお願いします。