王女様と召使のお話 *10(最終話)

投稿日:2010/01/31 17:22:11 | 文字数:1,326文字 | 閲覧数:1,451 | カテゴリ:小説

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昔、この国はある王女が治めていた。
可愛く可憐な金の髪の王女様。
しかし、王女の執り行う政治は「悪政」。
今まで我慢していた怒りが爆発した国民達は、
武器を手に取り王女への復讐を図った。

それから数年後―




町外れの、誰も居ない小さな港。
青くどこまでも続く広い海は、浜辺に立つ少女の気持ちを晴らしていくようだった。
後ろに教会の有る、あまり人が近寄らない港。
そこに一人佇む少女。少女の澄んだ青く大きな瞳は、今は曇っていた。
パサリ。
海風が少女に吹きつけ、フードが微かな音を立てて後ろへ倒れる。
少女の髪は綺麗な金糸のような髪だった。夕焼けの日が、少女の髪を照らす。その姿はあまりにも幻想的だった。
透けるような白い肌。人形の様に整った顔立ち。小柄な身長。形のいい薄いピンクの唇。……その容姿は王女そのものだった。
「この海に昔から有る密かな言い伝え」
少女―いやリンは、それを試しに来ていた。
脳裏に蘇る、母親の優しい声で紡ぎだされるこの海の密かな言い伝え。
「願いを書いた羊皮紙を、小瓶に入れて、海に流せばいつの日か想いは実るでしょう―」
リンの唇が紡ぐ歌。
それはこの言い伝えだった。
少女は、その広い海を見据える。
「レンは……元気?」
リンは今は亡き双子の弟の名を呼ぶ。
顔には、柔らかい笑みが浮かんでいた。

瞳を閉じれば、全ての記憶がその瞼の裏に映った。
「あら、おやつの時間だわ」
いつもリンのお決まりの口癖で始まるおやつの時間。
リンの瞼の裏に浮かぶ記憶の殆どは、その幸せなティータイムの風景ばかり。
……そしてその口癖は、終わりの時にもレンが言った言葉。
『あら、おやつの時間だわ』
断頭台で処刑されるというのに、微笑んで自分の口癖を言うレンの姿が数年経った今でもリンは頭から焼きついて離れなかった。
リンは、ポケットをゴソゴソと探ると、小瓶を取り出した。
その中には一枚の羊皮紙と…ペンダントが入っていた。
その中には、戴冠式の時のリンとレンが写っている。
リンは質素なドレスの裾をふくらはぎで結び、海に足を入れた。
そして少し屈むと、小瓶を持っていた手を離した。

ポチャン。

微かな音が、小瓶が海に落ちた事を知らせた。
落ちた小瓶は、頼りがないまま波に揉まれ向こうへと流れていく。
リンは顔の前で指を組み、目を瞑った。
どうかこの願い、貴方の元へ――

「―っ!」

リンの心を孤独感が襲った。
リンは小瓶へと手を伸ばす。
「あっ……」
リンは足を滑らせ、浅瀬に倒れた。
服が少し濡れる。リンの瞳から水が零れた。
「これっ……は、涙…?」
リンの瞳からは、大粒の涙が零れて、その白い頬を濡らした。
それは海の水に小さな波紋を作る。
「うっ……」
リンは嗚咽を上げた。
「うあああああああああああああああああああああ!」
リンは空に向かい泣き叫んだ。
「ごめんなさい」
リンの口は自然に謝罪の言葉を紡ぎ出していた。
「ごめんな……さいっ」
リンの手は両方拳を作った。

「もしも……生まれ変われるならば……」

その先の言葉は、波に掻き消され聞こえなかった。
しかし、リンの口は微笑んでいた。

「有難う」

まだまだ未熟な文才だけれど、頑張って小説書いてます。

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