小説【とある科学者の陰謀】第十話~波乱と男心~その4
投稿日:2011/09/12 12:56:47 | 文字数:2,188文字 | 閲覧数:282 | カテゴリ:小説
続けざまにうpです。長くなったので分散化しました。
お借りした亜種は変わらないので省略いたします。
さて、続きを早く作らねば……
「本当に……ありがとうございました!!」
チンピラ達が連れて行かれ、色々と混乱が収まった路地裏には
、今、ペコペコと頭を下げるハクさんと、照れる鈴音コンビの姿があった。
「いえいえ、当然の事をしたまでですよ……それよりハクさんにデルさんですよね!サイン下さい!!」
すると、ララの周りに《HoneyBee》達が集まって来た。ハチ達の威嚇のような動きを見てララが肩を落とす。
「うう……仕事中はダメですよね……わかってますよぅリリィ隊長……」
「なあ、さっきから誰に呼びかけてるんだ?」
俺は質問をぶつけてみた。実はこれは戦闘中から気になっていた事だった。
「ああ、VDF隊長のLilyさんだよ。ハクさんは共演した事もある筈だけど……」
「なるほど……って、えっ!?」
ルルの言葉を聞き、俺は心底驚いた。とりあえず脳内の情報を検索してみる。
(ええと……Lily、インターネット社出身、VDFに所属しており、めざましい戦績を残している……ってうわ、本当だ)
まさかこんな有名所まで所属していたとは思わなかった。しかも話によれば隊長……オリジナルに違わぬ実力のようだ。
今度はデルが質問を提示する。
「そいつはつまり……リリィがコイツを操作してるって事か?」
「ああ、そうだよ。この《HoneyBee》っていうのは、クリプトン社が技術の粋を結集し作り上げた超ハイテク機器なんだ。見た目こそ同じだけど、カメラ搭載機、録音機能搭載機、戦闘用機みたいにそれぞれに役割があって……」
「こら、ルル!!極秘だよ!?」
語り出したルルをララが諫めるが、ルルは気にした様子はない。
「別にいいだろ?もうハクさん達はこれがあるって知ってるんだし、ハクさん達が変なことする訳ないし」
「あ、あははは……」
こちら側に微妙な空気が流れる。どうやら向こうはこちらを全く疑っていないようで、その変化に気づく事はなかったが、それはそれでなんだか騙しているようで落ち着かない。
「で、この無数の《HoneyBee》達を《玉座》と呼ばれる制御システムから一手に操ってるのがリリィ隊長って訳さ」
「なるほど……じゃあもしかして、リリィちゃんがこの祭りの間の仕事を全部キャンセルしたのも……」
それを聞き、思案したハクさんが呟くと、それにルルは頷く。
「うん、あれはリリィ隊長にしか制御できないからね。数万の機械を一糸乱さず動かすなんて、とんでもない情報処理能力だよ……ま、これがピアプロの切り札、《HoneyBee》の全貌ってところかな」
まあもっとも、《玉座》の電波が届く範囲でしか使えないし、《玉座》そのものも大掛かりすぎる機械だからピアプロ内でしか使えないんだけど、とルルはおまけのように呟く。
しかし、俺は彼のセリフに疑問を抱いた。
「なるほど……しかし、リリィのアイドル活動による利益とピアプロの治安維持を天秤に掛けたら、前者が勝つもんじゃないのか?」
「それには理由があるんですよ」
すると、今度はララがその口を開いた。
「実はですね……つい数日前、セントラルビルに侵入者があったばかりなんです。その侵入者たちに対する警戒、という意味で現在の監視体制が張られているんです」
「な、なるほど……」
それを聞いたハクさんがひそひそ声で俺に話し掛ける。
「(ね、ねぇ、それってまさか……)」
「(はい、多分……)」
そんな俺たちの動きには相変わらず気付かず、ルルが妙に熱のこもった声で告げた。
「《BINZOKO》って組織に聞き覚えがあったらすぐ知らせてくれ。ララを傷つけたあいつらを、僕は絶対に許さない」
(やっぱりー!!)
俺の心に抱いた予想は的中していた。恐らくハクさんとデルも同じなんじゃなかろうか。
なんかもういろんな意味で固まった俺たちに、じゃあな、と告げかけたルルが、思い出したように言った。
「あ、そうだ、そういえばアンタ達をつけてた怪しい奴を確保したんだけど……」
「え?」
そう言いルルが引っ張って来たのは……
「ちょっと、離しなさいよ!!知り合いだって言ってるでしょ!?」
(あ……)
腕を体の後ろで縛られながらルルに反論している、我が親愛なる同居人、雑音ミクの姿だった。
(そういえば、ついて来てたんだっけ……)
俺は頭を抱えたくなった。
「あれ、雑音さん……」
ハクさんが呟きかけたのを遮って俺は言った。
「ああはい!俺たちそんな奴微塵も知らないんでどうぞお気にせずに!存分に取り調べちゃって下さい!!」
「ちょっ、なに言ってんのアンタ!?」
慌てる雑音の腕を、鈴音二人組ががっちりと掴んだ。
「じゃあ、連れて行きますね。それじゃこれで」
「ああ、治安維持頑張ってなー」
この、裏切り者おおおおおおおおおおおお!!という叫び声を残し、雑音は二人に連行されていった。
「ふぅ、やれやれ……あ、そうだハクさん、どこか行く予定だったみたいですが、時間大丈夫ですか?」
俺の問いに、ハクさんは漸く正気に帰ったように反応し、言葉を返す。
「え?あ、うん……そうだね、そろそろ向かった方がいいかも」
「そうか。なら、さっさと行くぞ」
デルの言葉を受け、俺たちはその場を後にした。
作品へのコメント5
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ご意見・感想
お久です!
一日見逃しただけで、ここまで進んでいるとは…。
雑音が連行されてるよ!!((0□0))
いいのかシグ!!!
そして3人ともスルー!まさかのスルー!!
雑音の無事を祈りましょう byディヤブル★2011/09/12 20:57:42 From アンジュ×ディヤブル
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メッセージのお返し
はい!本当自分が勝手に更新さぼってお久しぶりになってすみませんでしたあああああ!!←
今までさぼってた分……とはいきませんが、6000文字に収まらなかったもので……
雑音は問題なく取り調べ室まで運ばれたようです←
シグは全く気にしてませんね!←
デルも特に気にしてませんが、ハク姉さんは少し気にしてるようですね。スルーしたのは多分雰囲気に合わせたんです、きっと←
雑音、アーメン←2011/09/12 23:39:07
瓶底眼鏡
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ご意見・感想
ktkr!
待ってました――!
HoneyBee…強力ですね! すごいです! 一体買いまs((
あのチンピラのほざく事がイタすぎて笑えましたwwwwざまぁwwボカロを侮辱するから痛い目に遭うんだよww←
雑音があっさり連れてかれてますねwwバカですね((お前もな
ハク姉さんがこれからどこに行こうとしてるのか楽しみです!!
瓶底眼鏡さんのハク姉が好き過ぎます!2011/09/12 20:37:08 From 絢那@受験ですのであんまいない
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メッセージのお返し
本当ちょまたせいたしましたマジすみませんちょっと切腹しますんで許してくだs(ry
一家に一台《HoneyBee》!いいですね!……とはいえアレは複数体を同時に行使する事に意味のある代物なんですが←
あれこそが、いわゆる『体は大人でも心が子供』っていう人種ですよ。大抵犯罪起こしたり問題発生させたりするのってこういう奴ですからね、これからの未来を担う子供達はしっかり心を育てていって貰いたいものです。最も俺もまだ18ですが←
雑音オチ、皆さんに好評(?)のようで嬉しいです。知ってるかい?人の恋路に首を突っ込むと馬に蹴られて死んでしまうんだよ?←
楽しみにしておいて下さい←
ありがとうございます!!自分は世界中の全ハク姉さんを愛しています!!!!←2011/09/12 23:31:37
瓶底眼鏡
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ご意見・感想
びんさん今晩は!
陰謀シリーズ新作お待ちしてました!!
豪華二本立てにはびっくりしましたw
前回その2から早1ヵ月が経ったんですね。察するにびんさんはかなりお忙しいのですよね…このオセロットとか言う暇人とはまさしく雲泥の差ですね←
ま、まさかこのチンピラがあの「あーくのーれっじ事件」で騒動を起こした張本人と同一人物だったとは…!しかもまさかNLI社の長男だったとは!
こいつェ…こんなクソッタレだったのかww
流石VDF、心も体も精鋭そのものだった!
ララ・ルルタッグと最新鋭の装備にはチンピラ長男が手も足も出ない訳ですね。これではトリプルエー勢も適わない気が…(汗)
今回のストーリーでNLI社、VDFの構成と引いて隊長リリィetc...の設定が大幅に固まりました!
いつも随所にあらゆるコラボをして頂いてありがとうございます!!
タイトル通りの波乱だらけの1日でしたね…雑音さんマジ乙ですw
このお話もボカロハーツの参考にさせて頂きます。
次回話のうpいつまでもお待ちしてますよ~!2011/09/12 19:40:29 From オレアリア
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メッセージのお返し
こんばんはです!
時間かかってしまい申し訳ありません!
二本立てなのは無意味に長くなったからですすみません!!
忙しくなかったんです!!本当はさぼってただけなんです!!自動車の免許とりに行ったりサークルの合宿行ってただけなんですううううううう!!←
今になって、シグが同一人物だと気づいてなかった設定にする意味はあったのか、とか思い悩んでおります←
NLI社の名を無断で汚してしまい申し訳ありません。会社を継いだ次男が無事に会社を再び軌道に乗せられたようですね←
無能な兄は歪み易いんですよ……
やはり警察の代行機関ですからね、皆さんかなり気合いが入ってるようです←
まあそのあたりは色々ごにょごにょと←
はい、漸くリリィ隊長が"クイーン"と呼ばれた由縁たる代物を出せて良かったです、本当に……
自分的に小さな所での絡みって結構好きなんですよね!今後もちらちらやると思います。
一番波乱だったのは、実は彼女だったのかもしれない……←
参考になればいいんですが……
はい!永遠に待たせるような事だけは無いようにしたいです!!2011/09/12 23:06:02
瓶底眼鏡
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ご意見・感想
ララとルルを使っていただき有難うございます!
雑音さんwwwww
毎回殆どメッセージ送れてないですがちゃんと見てます!
面白いです^^
それにしても…此処から色々複雑になっていきますね…。
頑張ってください!2011/09/12 17:58:39 From sinne-キョノリ@戻ってくる努力中
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メッセージのお返し
はい、かなり活躍させていただきました!!キャラの口調とか違和感あったと思います。すみません。
まあ、雑音の自業自得ですね、まあ書いたの俺ですが←
いえいえ、たまにでもわざわざメッセージ下さる事がありがたいです!
今回は結構説明の多い話でもありました……陰ながら《BINZOKO》が注目されている事をアピールしたかったんですが、伝わったでしょうか?
ありがとうございます!頑張ります!!2011/09/12 20:19:52
瓶底眼鏡
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小説【とある科学者の陰謀】第十話~波乱と男心~その3
「え?な、何?」
「ハクさん、後ろに」
俺はすぐさま、オドオドしているハクさんを庇うように前に出た。とりあえず、なにがどうあれハクさんにだけは指一本触れさせないようにせねば。
チンピラは俺たちの顔をニタニタと見つめ、挑発するような声色で言った。
「まさか、こんな所で会えるとはなぁ……」
小説【とある科学者の陰謀】第十話~波乱と男心~その3
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小説【とある科学者の陰謀】第関話~スポットライトの外で~迎え撃つ者たち
クリプトン社の私有地であるピアプロは、警察に頼らない独自の警備体制を敷いている。
人間の警備員の数が圧倒的に少なく、代わりに独自技術で作り上げた警備ロボや日頃アイドルとして働くボカロ達を使っているのだ。
何故彼らを使ったかと言えば、ボカロの中には制作者のこだわりからか無意味に戦闘能力の高いものも珍しくはなく、しかも彼ら自身がピアプロの住人であるが故に防衛意識も高い、などといった理由が挙げられ、実際彼らは期待以上の成果を上げ続ける事になった。
だから故に、彼らにとって今回の事件の結果ーー則ち、突如起こった暴動を鎮圧出来ず、更にセントラルビルへの侵入者に保管物資の盗難を許してしまった事は、初の大きな『敗北』として語り継がれることとなる……最も、この背景には、今までボーカロイドが犯罪を起こした前例がなく、故に実質初のボーカロイドによる能動的な犯罪行為であった今回の事件にうまく対応出来なかったのだが。
因みに、余談ではあるが実行犯が完全に外見を隠していた為に現時点で誰もこの事件をボーカロイドが起こした事と気づく事はなく、結果多くの人々は初のボーカロイド犯罪は後の《初音ミク誘拐事件》であると認識する事となる。
小説【とある科学者の陰謀】第関話~スポットライトの外で~迎え撃つ者たち
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相柳音レイキ 設定
相柳音レイキ 設定
名前:相柳音(そうりゅうね)レイキ
漢字にするとレイキは「霊鬼」
名前の由来は「相柳」と「霊鬼」と言う中国の妖怪から
番号:背中に711
相柳音レイキ 設定
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小説【とある科学者の陰謀】第四話~天国と地獄~その二
「……」
(……どうする……)
俺に許された選択は2つ。
一つは普通に一言残す事。俺の面子は保たれるが、どんなリスクがあるかわからない。最悪もう一度死ぬ。
一つは組織の宣伝をする事。俺の命は助かるが、無数のギャラリー、そしてハクさんに狂言を吐く変人と認識されかねない。最悪死ぬ。社会的に。
小説【とある科学者の陰謀】第四話~天国と地獄~その二
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小説【とある科学者の陰謀】オープニング~一人の男の物語の終わり~
……空が狭い。
いや、狭まっているのは俺の視界だ。
……空が暗い。
いや、光を失っているのは俺の視界だ。
手のひらにねっとりとした感触がある。
小説【とある科学者の陰謀】オープニング~一人の男の物語の終わり~
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小説【とある科学者の陰謀】第九話~祭りの始まり~その二
量産化祭中には、様々なイベントや出し物がそこら中で行われている。
その大多数は、初音ミク人気に惹かれやってきた客に自分たちを知って貰おうと考えた亜種達が開いたものだ。そしてそういった中に混じり、また、《男の娘☆ボカロ同盟》も
活動をしていた。
「リッちゃーん!こっち向いてー!!」
「サイン下さいサイン!!」
小説【とある科学者の陰謀】第九話~祭りの始まり~その二
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小説【とある科学者の陰謀】第十話~波乱と男心~その一
はちゅね像とは、ピアプロで一番大きな広場の真ん中に鎮座する、巨大なはちゅねミクの銅像のことだ。
何かの記念に配置されたらしいのだが、とにかく目立つのでピアプロで生活する人々やボカロ達からは渋谷のハチ公みたいにわかりやすい待ち合わせ場所という認識で定着している。
その例に漏れず、俺もまたここでハクさんを待ち続けていた。
「9時58分か……」
そわそわと、右手にした腕時計に目をやる。この仕草をするのは何度目だろうか……既に数千回は超えていそうだ。何せ秒単位で確認してるし。
小説【とある科学者の陰謀】第十話~波乱と男心~その一
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小説【とある科学者の陰謀】第八話~悪の組織、始動~その一
近未来的な装飾の成された薄暗い部屋の中に、円卓を囲む十数人の人影があった。
ケータイをいじったり、隣と話し込んだりと、皆一見思い思いに過ごしているように見えるが、その中には確かに緊張した空気が漂っていた。
「……さて」
俺の右隣の黒髪ツインテールの少女、雑音ミクが発した一声に敏感に反応し、皆が静まり返る。注目が集まったのを確認し、雑音はゆっくりとその口を開いた。
「今日は忙しい中、みんな集まってくれてありがとう……なんて、長ったらしい前口上は面倒だし飛ばすわね。ではこれから、我らが悪の組織《BINZOKO》の第1回作戦会議を行うわ。シグ宜しく」
小説【とある科学者の陰謀】第八話~悪の組織、始動~その一
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小説【とある科学者の陰謀】第九話~祭りの始まり~その三
「……」
街のざわめきが遠い。
パフォーマンスを行っていた商店街を離れ、住宅街まで戻った俺が第一に思ったのは何故かそんな事だった。
夜の帳が降り始める中、俺が立つのは一つの宿舎の前。
普段俺が日常生活を送っているものより数段綺麗なそれは、亜種の中でも凄まじい人気を誇る者のみが生活を許されている、言わばVIPマンションだ。
小説【とある科学者の陰謀】第九話~祭りの始まり~その三
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小説【とある化学者の陰謀】第十話~波乱と男心~その2
「……」
「……」
始まってしまった三人デート。
ハクさんを真ん中に、俺が左、デルが右に並び道を歩く。にこにこと笑うハクさんを挟み睨みを効かせあう俺とデルという、なんとも修羅場な光景が繰り広げられていた。
「ところで……」
小説【とある化学者の陰謀】第十話~波乱と男心~その2
最近漠然とし過ぎた不安に襲われてます。まあそれは置いといてプロジェクトミライ楽しみですね。
余談だが弟が精神病になった。\やべぇ/
性別・平均寿命が短い方
年齢・結婚が出来るようになる年齢
彼女いない歴・年齢と同じ
精神年齢・永遠の中二の夏
知能・ゴールデンレトリーバー以下
好きなもの・スルメ、バナナ、神話、どこか切ないけど楽しい物語
嫌いなもの・セロリ、昔の自分
好きな楽曲・Dear ユラギ
好きなボカロ・弱音ハク Lily
最近一番嬉しいこと・ピアプロで新着メッセージのお知らせがあった時