サイハテ
投稿日:2008/11/21 08:37:24 | 文字数:942文字 | 閲覧数:538 | カテゴリ:小説
小林オニキスPの「サイハテ」を聞いて。
ほんと泣ける。
青い空には、雲ひとつなくて清々しいほど晴れ渡っていた。
雲に遮られることの無い強い陽射しが、燦々と私を照りつけるけれど、その熱は風に飛ばされていく。
冷たいうえに強い冬の風が徐々に体温を奪っていき、手の先から冷えていくのがよく分かった。
凍える手を強く握りしめてみたけれど、手のひらに爪が食い込むばかりでそこに温もりは見いだせない。
もし、この場にあなたがいれば、と思う。
あなたがいれば、私の手のひらはあなたの手のひらと重なり合って、爪が食い込むようなことはない。
あなたの大きな手が私の手を包み込んでくれるから、私はそれに応えるように握り返す。
そうすればあなたがこっちを見て笑ってくれて、私は恥ずかしいけれどそれに笑顔を返すのだ。
だけれど、ありありと鮮明に思い描くことのできる情景を、叶えることはもうできない。
あなたは死んだ。
声をかけても、名前を呼んでも返事をしなくて。
笑いかけても、静かに目を閉じたままで。
ごはんの時間になっても、起きてこなくて。
私が泣いたって、抱きしめてくれない。
立ち上る煙を見上げながら、私は空に手を伸ばす。
あなたはそうやってどんどん上に昇っていって、私には届かないところへ行く。
私に残るのは白いお骨と、思い出と、今でもあなたを愛してるという心。
すきだよ、だいすきだよ、あいしてる、いとしいよ。
あなたが死んだって変わらない。
私はあなたの死を受け止めたけれど、だけど今でもあいしてる。
もし私が歩み出して、新しい彼を作って、結婚して子供を産む日が来ても。
あなたをあいしてるよ。
恋愛感情ではかれないほど、あいしてます。
あなたが本当に大切でした、私の人生を染めあげるほどに大きな存在でした。
ありがちな言葉だけれど私の中であなたが生きているって、よく分かる。
この煙もいつか雲になって、雨を降らす。
あなたの煙が私を生かす恵みになって、世界を巡っていくそうです。
そう思えたら、これからもなんとか生きていけると思う。
もし遠い空から、この想いが聞こえるなら。
どうか返事を下さい。
ありがとう。
さよなら。
「サイハテ」 feat.初音ミク
作品へのコメント2
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【到着】二人三脚-1- 【えっと、お前誰?】
この物語は、一人の少年と手違い(?)で届いたVOCALOIDの物語である。
*
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【到着】二人三脚-1- 【えっと、お前誰?】
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Cafe・我侭姫と無愛想王子・1~WIM~
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どんな女の子にも負けはしない。だって私は世界で一番のお姫様。
普段は二つに結い上げている髪を下ろして毛先をゆるく巻いてみた。靴はつま先にリボンのついた新しいヒール。モノトーンの甘めワンピースにお気に入りのカーディガンを羽織ってみる。寒いから首にはストールをぐるぐると、でも可愛らしく巻いて。
今日のコーディネートは最強。
そう意気揚々と私はアルバイト先のカフェへと向かった。古いビルの二階にカフェがあり、その3階は店長の住居スペースなのだが、一部分、お店のスタッフルームとして使用させてもらっている。
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メイコの日【カイメイ】
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Cafe・ロータス・イーター 1
開店時間のほんの少し前に森はコックコートに着替えて髪をひとつにまとめて、厨房に立っていた。
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【ボカロ】めーちゃんが羊【愛の劇場】
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冬の朝陽を浴び、私はゆっくりと目を開いた。
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うたものがたり ~西の森の城①~
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― 出会いそして・・ ―
とある昔のお話
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三角草の花が咲く
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カイトがもし人柱アリスの夢ならば。メイコ編
これは、人柱アリスの「夢」がもしカイトなら。
と思ってかいた小説です。
1.メイコ。2.ミク。3.リンレン。4.カイト
の順でかいていこうと思います。
それでは、どうぞ。。。
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初音ミク誕生日記念 番外編
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