【カイメイ】ゆきのひ
投稿日:2012/03/07 01:50:32 | 文字数:2,366文字 | 閲覧数:753 | カテゴリ:小説
体調が芳しくなく、数日間カイメイから遠ざかっていましたが、精神衛生上良くないことが発覚したので通常運転に戻そうと思いました。
短いですが、ある雪の日の、家族…というかカイメイのお話です。
現パロじゃないカイメイ久しぶり!
めーちゃんは初代なのでボーカロイドとしての感性が一番剥き出し…というか敏感だといいなぁという妄想。
カイトはそんなめーちゃんのことを分かっていてもいいし、同じ00として自分も実はちょっと雪が怖かったりとかしてもいいとか思っています
なにはともあれカイメイ無限大
「はい、めーちゃん」
「ありがと」
彼から手渡された赤いマグカップからは甘い香りが漂っていた。
息を吹きかけ、一口啜ると舌先にほのかな暖かさが広がる。彼が淹れてくれるココアは甘さも温度も丁度良くて、申し訳ないとは思いつつも作業中はついついリクエストをしてしまうことが常だった。
「終わりそう?それ」
「うーん、夕飯までにはってところかしら」
「そっか」
マスターも無茶言うよねぇ、と彼は呑気に呟いて、寒い寒いと言いながらこたつに潜り込む。中で触れた足が驚く程ひんやりしていて思わず悲鳴を上げてしまい、今日の寒さに今更ながら思い至った。
無茶、と彼が評した仕事はあともう一山といったところだ。マスターから依頼されたアルバムの歌詞チェックは思ったよりも手強く難航していた。先に出来上がっているメロディにほとんどキーワードしか並んでいない歌詞を結びつけていく作業はほとんど作詞に近い。出来たら明日まで、なんて気軽にこんなこと頼んでくれちゃって。思う所がない訳でもないが、それでもこれがマスターからの信頼の証だと思えば途中で放り出す訳にもいかず、今朝からずっと机に齧りついている。
「ミクたちは?」
「外で遊んでる」
「…元気ねぇ、寒いのに」
昨夜降り始めた雨はいつしか雪に変わったらしく、朝起きてカーテンを開けると別世界だった。リビングに面したガラス窓の向こうは真っ白。どこからか妹達の嬉しそうなはしゃぎ声が聞こえてきて、くすくすと彼が笑う。
「さっき、レンがおんなじこと言ってた」
「そのレンは?」
「勿論」
その指は外を指し示しており、可哀想に、と思わず本音が漏れてしまった。雪を見て張り切った下の妹二人に連行される姿が容易に想像がつく。
今は一旦降り止んでいるが今日の夜はまた雪の予報だ。明日もまたミクとリンの喜んだ顔と、レンのげんなりした顔が見られるだろう。ついでに言えば、クールな顔をして意外とルカも雪にはしゃぐ性質だ。
息を吐いて、もう一口ココアを啜る。どさ、と音を立てて屋根の雪が落ちた。
「――めぇ姉!カイ兄!」
瞬間、元気よくガラス窓が開いたかと思うと途端に冷たい風が吹き込んだ。思わず「さむっ!」と二人で身を縮こまらせる。
見遣ると開け放された窓の向こうでリンが呆れた顔で立っていて、もー、とため息をつかれた。
「二人ともお年寄りみたい!せっかく雪なのにー!」
せっかくと形容するものかどうかは分からないが、こんな日に外に出ないなんて理解出来ないと妹の顔にはハッキリ書かれている。そう言うリンは服も髪も雪だらけ、マフラーすら巻いていない首元は見ているこっちが寒くなりそうだ。
「ねぇねぇ、雪合戦しようよ!」
「…雪合戦?」
「あれ、さっきもしてなかった?」
「さっきのは白兵戦!二人が入ってくれたら銃撃戦になります!」
違いは分からないがどっちにしろ不吉な単語だ。
顔を見合わせて、同時にやんわりと首を横に振る。すると、リンが不満そうに呻いた。
「えーつまんないよぅ!大人数の方が楽しいのに!」
「お隣さんでも呼んできなさいよ、ユキちゃんとかリュウト君とか喜ぶでしょ」
「呼びに行ったよー、でもあたしたち以外は今日マスターのとこで合同合宿なんだってー」
そう言えばマスターがそんなことを言ってたっけ。退路を早急に断たれてしまった。
「ねー、やろうよー!レン、やる気ないからネギトロ組に負けちゃうよー!」
「……」
「ねーってばー!」
…さて困った。
可愛い妹の駄々は聞いてあげたいけれど、明日までとマスターから頼まれた大切な仕事がある。そして、もうひとつ。
――実は、外に出たくない理由があった。
「…あのね、リ」
「分かった分かった、おにいちゃんが行ってあげる」
「え?」
「ほんと!?」
私の代わりに応えた声。
穏やかに揺れる青い瞳がそこにあって、思わず目を丸くして右隣を見上げてしまった。
「絶対だよ!早く来てよ!リベンジマッチするから!」
「はいはい、ココア飲んだら行くよ」
元気良く言い捨てて庭へ駆けて行く小さな背中を見送る。
「……」
「なぁに、めーちゃん」
微笑む顔が憎らしい。
彼はさっきまで台所で洗い物をしていて、身体は冷え切っていて、今ようやくこたつに入ったばかりだった。
…自分だって、寒いのは苦手なくせに。いつだって彼は、いとも簡単に私のことを庇ってしまう。
雪は音を吸収するんだって、と教えてくれたのは誰だっただろう。
雪の結晶の隙間が音の反射を複雑にして、本来なら伝わるはずの音を閉じ込めてしまうのだと言う。
雪とは、綺麗で冷たくて儚くて、世界から音を奪うもの。
それ以来、なんとなくそのことを思い出して、雪の日は好んで外には出なくなった。我ながら考え過ぎだとは思うけれど、ボーカロイドとして『音を奪われる』という事実をそのまま受け流す事が出来なかったのだ。
雪が怖い、なんて子供じみたことを直接告げたことはない。
けれど、彼は雪が降ると必ずこうして私の隣に居る。何をするわけでもなく、ただいつも通りの顔でそこに居て、ココアを淹れてくれたり手を繋いだり。
時には一緒に遊ぼうと誘う妹たちのおねだりを一人で叶えてくれたりする。
それが憎らしくて、それ以上に嬉しくて、愛しい。
「…カイト」
「ん?」
「…外、私も行く」
「そう?」
「…気分転換したいから」
「うん」
「…うん」
「じゃあ、ココア飲んだら一緒に行こうか」
へにゃ、と微笑む顔と、差し出された左手。
外は白に閉ざされた静寂の世界だったけれど、家族の楽しそうな声が聞こえる。
こたつの中で重なる足はもう暖かくて、湯気のたった赤と青のマグカップ共々なんだかやたら幸せな気分になれた。
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【カイメイ】 大人の仲直り
カイトはすれ違う人が驚いて振り向くようなスピードで駅の階段を駆け降りた。
仕事帰りのメイコが自分を待っている。
久々に大ケンカをして、一日連絡がつかなくて、思わずプレゼントなんか買ってしまって、やっと繋がった電話の向こうで、怒っていたはずのメイコからかよわい声音で謝罪なんか聞かされたら、のんびりしていられるわけがない。途中で「前方の電車が遅れているため間隔調整に5分ほど停車します」というアナウンスが流れた時、(死ねばいいのに…!)と歯ぎしりしたことは彼女には秘密だ。
「カイト!」
駅を飛び出し彼女が待っているカフェに向かおうとしたら、後ろから他でもないメイコの声に呼ばれ、びっくりして振り返った。
【カイメイ】 大人の仲直り
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【カイメイ】その背を追って
『生まれて初めて見たものは何ですか?』
つい最近雑誌のインタビューでそんなことを聞かれた時、リンは即座にメイコ姉だと答えた。
『インストールされて目が覚めたら目の前にめぇ姉がいて、ぎゅって抱きしめてもらったの』
嬉しそうに思い出を語るリンを横目に、おれはしばし考え込む。
こんにちは、レン。俺のはじめての弟。
【カイメイ】その背を追って
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【カイメイ】カイトさんの男の余裕
「もうっ!おにいちゃんとはお買い物行かないっっ!!」
帰って早々リビングに買い物袋をぶちまけ、ミクは頬を膨らませて叫んだ。
大小色とりどりの紙袋、中身は洋服だったり鞄だったり雑貨だったり。
今日は久々のオフにミクが買い物に行きたいというので、丁度同じオフだったカイトが荷物持ちとして同行したのだが。
「どしたの、カイ兄なにしたの?」
【カイメイ】カイトさんの男の余裕
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【カイメイ】Happy Birthday
「…今、なんて言いました?」
「だから今夜から3日間、泊まりがけでロケになった、と言った」
ふぅ、と大きく煙草の煙を吐きながら、マスターはそう言い放った。
「…冗談ですよね?」
「冗談でこんな早朝におまえのこと呼び出すかよ」
【カイメイ】Happy Birthday
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【カイメイ】ステップブラザー・ステップ
宛先:姉さん
件名:今どこ?
本文:終電間に合うの?
差出人:姉さん
件名:Re:今どこ?
【カイメイ】ステップブラザー・ステップ
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【カイメイ】酔ってるのは、お酒にじゃなくて
「ねぇ、カイトってお酒強いの?」
「え?どうして?」
リビングのソファでの晩酌中、私はふと思いついた疑問を口にした。
ローテーブルの向こう側でラグマットに座っているカイトが、きょとんとした表情で首を傾げる。
「だって、酔ってるの見たことないんだもの。もしかしたら私より強いのかなって」
【カイメイ】酔ってるのは、お酒にじゃなくて
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【カイメイ】お菓子がないなら・2【レンリン】
「カイト、それ6個目」
「う…」
オレ専用のクーラーボックスからモナカアイスを手に取ったら、シンクで洗い物中のメイコがこちらに背を向けたままそう言ったので、かなわん、と思いながらモナカを戻し、扉を閉めた。
アイスは1日10個まで、と定められているオレにとって、まだ午後3時の時点で6個目となるとあとがつらい。風呂上がりに3つは行くから。
「あーでも口寂しい」
【カイメイ】お菓子がないなら・2【レンリン】
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メイコの不幸な一日
思わず「いたっ」と声が出た。ドアを閉めるタイミングが悪く指を挟んでしまったのだ。
挟んでしまった指を確認してみると、爪の先のマニキュアが禿げてしまっていた。
次第に熱を持っていく指先に息を吹きかけて冷ましながら考える。
今日はとにかく何をするにもタイミングが悪い。
夕飯の買い物に向かう途中、音楽を聞こうと思ったら昨夜プレイヤーの電源を落としそびれていたらしく充電が切れていた。お陰で折角昨夜遅くまでインポートしていた音源は聞けず仕舞いである。
メイコの不幸な一日
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【カイメイ】恋色病棟
ある平日の、深夜。
穏やかな眠りから私を引きずり戻したのは、遠慮のない着信音だった。
「…う~…うるっさいなぁもう…」
枕もとの目覚まし時計を確認すると、午前1時。
光って存在を誇示する液晶画面を確認せず、通話ボタンを押す。こんな時間に電話をかけてくるような非常識な奴は私の知り合いにはどうせ一人しかいない。
【カイメイ】恋色病棟
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【カイメイ】Happy Happy Birthday
「――あいしてる」
あの夜、優しく囁いてくれた彼の腕の中で、涙を堪えるのが大変だったのを覚えている。
眼差しも大きな掌も広い胸も彼の香りも、貰ったプレゼントも、その言葉も。その全てが私を包んで、満たしてくれた。
この人と出会えて幸せだと、心から思った。
カイトが傍に居てくれることを心から感謝した。
【カイメイ】Happy Happy Birthday
駄文を書いては自己満足しています。
一応小説。たまになりそこないのポエム。
全くの自己流ですので、読みにくいところも多々あるかと…
年長組が好きです。全力でカイメイ支援。
っていうかカイメイ小説しか書いてませんのでご注意ください。
めーちゃん可愛いよめーちゃん。
めーちゃんが皆から愛されてれば幸せ。
めーちゃん中心に家族は回っていると信じてやみません。
めーちゃんハァハァ
美麗イラストを見てぴぎゃぁぁぁぁすると勝手に小話を作ることがあります。
ご注意ください。
タグやブクマ、メッセージありがとうございます…!(`;ω;´)ブワッ
カイメイ好きさんの優しさは世界一や
プロフ画像の可愛すぎるめーちゃんは青菜しゃーぷ様よりお借りしました!
[ブログサイト]
http://saltcabbage0919.blog.fc2.com/
[pixiv]カイメイ以外もあり。ピアプロの方がカイメイ作品多いです
http://www.pixiv.net/member.php?id=1040966
[twitter]たいしたこと呟きません
http://twitter.com/kyonturbo
※11/19発行の小説本3点、おかげさまで完売しました…!お買い上げくださった方々に最大の敬愛を!!