『二人の後悔』

投稿日:2010/09/06 01:52:48 | 文字数:998文字 | 閲覧数:863 | カテゴリ:小説 | 全2バージョン

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やっぱり、リグレットメッセージも書いちゃいました。
リンは数年経って、久しぶりに国に戻ってきた設定です。
ちなみに、前のはショートバージョンです。

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TEXT
 

「…街外れの小さな港に、昔からある密かな言い伝え。
“願いを書いた羊皮紙を小瓶に入れて海に流せば、いつの日か想いは実るでしょう。”」

「…へぇぇ。
じゃあ、お嬢ちゃんはわざわざその為に、この国に来たってのかい?」

「そう。…どうしても、来たかった場所だから。」

「ふぅん、お嬢ちゃんは随分と乙女なんだなぁ…。
海に願いを託す…か。
ちょっと人魚姫みたいだな。
ま、その願い、ちゃんと叶うといいな。」

「えぇ、ありがとう。
…それじゃ。」

「あぁ、気をつけてな~かわいい旅人さん!」

パタンっ

軽い音をたて、街の中心の広場近くにある喫茶店の扉が閉まる。
そこから出てきたのは、簡素な外套を纏った少女。
フードからは、胸あたりまで伸びた綺麗な金髪が覗いている。
少女は、賑やかな声が溢れる広場を見回した。
広場の中心には綺麗な噴水があり、大勢の人が憩いを求めて集まっている。
今や多くの家族や恋人が楽しげに笑うこの場所。
誰が数年前、ここで行われたことを思い出せるだろうか。

…数年前、ここは処刑広場だった。
暴君王女のせいで、多くの命が散っていった場所。
その中に、少女の大切な人はいた。
唯一自分を最後まで護ってくれた、かけがえのない大切な人だった。

「……レン……。」

少女は小さな声で呟いて、目を閉じた。
目を閉じれば、鮮明に思い出されるあの時の光景。

数々の暴挙を重ねた自分の身代わりになり、断頭台に立つ姿。
ふと目が合い、レンは優しく微笑んだ。
そして、私そっくりの笑みを浮かべ、私の口癖を言って、死んだ。

涙が一筋、少女の頬を伝って落ちる。
少女はそれを拭うと、賑わう広場を後にした。

「ここは…無くなっちゃったんだ…。」

次に少女が訪れたのは、かつて自分が住んでいた所だった。
見知った荘厳な王宮は跡形もなく消え、そこにはただ石碑だけが立っている。

“王宮跡―かつて悪逆非道の齢十四の王女が、ここで民衆の困窮には目もくれず、豪勢な生活を送っていた。
ある日、国民達は王女の数々の悪行についに立ち上がり、革命軍によって王女は捕らえられ斬首刑になった。
そして、革命軍は二度と同じ事が起きぬように王宮を壊し、石碑を建てた。”

「…こんにちは、旅人さん?
ここ…どう思う?」

「………?!」

感傷に浸る少女は、突如後ろからかけられた声に驚いて振り向いた。

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