”笛吹きと少女”《1》(童話コラボSS)
投稿日:2008/09/10 00:41:20 | 文字数:1,106文字 | 閲覧数:129 | カテゴリ:その他
童話コラボに投稿させていただいた歌詞の、SSバージョンを書いてみました。
そのうち歌詞としてまとめたいけど、いまいち作詞がうまくいかない(´・ω・`)
《ハーメルンの笛吹き》のアナザーバージョンです。
”笛吹きと少女”《1》
夕暮れになると、空気が変わる。
ゆっくりと冷えていく空気に黒い森から吹き寄せる風の香りが混じり、頬をなでる光が甘い蜜のなめらかさを含む。
石畳をがたがたと音を立てて進む荷馬車のわだちの音や、ロバや馬の足音、はみの金具が立てる音。人々の足音。硬い革の靴が立てる音や、金持ちの娘や奥方たちの履くコトルノス(底高靴)特有の音。そして木靴のたてるカタコトという音。
少女は、五段の高さがある石段のいちばん上に腰掛けて、じっと往来のひとびとの立てる様々な音に、耳を傾けていた。やがて聞こえてくるのは古い鐘の音だ。数百年も昔からこの街に立っている鐘楼が、夕刻、街を囲む塀の門を閉めるとき、それはうつくしく荘厳な音色を鳴らすのだ。
ふと、そのとき、足音が聞こえてくる。少女はハッと顔を上げた。薄汚れて痩せた頬に、喜びの色がさす。
「メイコさん?」
「ああ、ミク。遅くなってごめんね。今日はさ、大口があったもんだから」
「お仕事……?」
「うん。でも、あんたの分は、ほら、ここに」
五段の階段、とん、とん、とん、とん。隣に誰かが座った。少女はその肩におずおずと身を寄せて、香ばしいパンの香り、ハーブの苦く芳しい香り、そして、干草のように香る髪の匂いを嗅いだ。あたたかい香りだった。
「誰かに悪いことされなかった? 今日は雨も降らなかったし… 平気だと思うけど」
「うん。だいじょうぶ」
「ほら、食べて」
「うん!」
手渡されたものは、粗い麻布のつつみ、それと素焼きの瓶に入った酸っぱいワインだ。少女はつつみを開けると中に入っていたパンにかぶりつく。
ふすまの多い粗いパン、中に挟まれているチーズの皮や脂身の多い腸詰。けっして、美味いとも滋養があるとも言いがたい。だが、今日になってはじめて口に入れたものだから、詰め込むように急いでしまう。
「ああ、ほら、こぼしてる。あと今日は林檎もあるからね。そんな急ぎなさんな」
女の手が少女の髪を抱き、ぽん、ぽん、と背中を叩いてくれた。痩せた背中にはうっすらと骨が浮いていた。少女本人はいちども見たことはないそのうなじは透き通るように白く、きつく編んで服の中に入れている髪は海のような碧色だ。
少女は、自分のふるさとを知らない。一度も見たことが無かったからだ。
そのころ、戦禍の続くその国の中央、ハーメルンの街に、身寄りの無いひとりの少女がいた……
海のような碧色の髪と、美しいが硝子玉のようなひとみ。
パン屋の軒下にいつの間にか住み着いた少女は、戦禍で身寄りを失い、生まれながらに光を持たぬ、ひとりぼっちの孤児であった。
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【ネバーランドから帰ったウェンディが気づいたこと】
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メンヘラじゃないもん!/歌詞
「メンヘラじゃないもん!」
音楽:勇魚 歌:初音ミク/音街ウナ
BPM=180
誰にも愛されてない
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メンヘラじゃないもん!/歌詞
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オズと恋するミュータント(前篇)
ピノキオPの『恋するミュータント』を聞いて僕が思った事を、物語にしてみました。
同じくピノキオPの『 oz 』、『恋するミュータント』、そして童話『オズの魔法使い』との三つ巴ミックスです。
あろうことか前・後篇あわせて12ページもあるので、どうぞお時間のある時に読んで頂ければ幸いです。
素晴らしき作品に、敬意を表して。
↓ 前のバージョンでページ送りです。
オズと恋するミュータント(前篇)
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STELLA 歌詞
あの日から目覚めた僕達はまだ
光り方を知らず夜に眠る
プレアデスで踊る彼女達の様に
いつか僕達も輝けるかな
行方知らずの彼は
STELLA 歌詞
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君の神様になりたい。
君の神様になりたい
「僕の命の歌で君が命を大事にすればいいのに」
「僕の家族の歌で君が愛を大事にすればいいのに」
そんなことを言って本心は欲しかったのは共感だけ。
欲にまみれた常人のなりそこないが、僕だった。
君の神様になりたい。
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I'm princess
憧れてるだけじゃダメなんだ
夢見てるだけじゃダメなんだ
お姫様になるためには
私よ 戦え!!!
絵本の中のお姫様は
I'm princess
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廃墟の国のアリス
廃墟の国のアリス
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BPM=156
作詞作編曲:まふまふ
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廃墟の国のアリス
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オズと恋するミュータント(後篇)
6.
出来損ない。落ちこぼれ。無能。
無遠慮に向けられる失望の目。遠くから聞こえてくる嘲笑。それらに対して何の抵抗もできない自分自身の無力感。
小さい頃の思い出は、真っ暗で冷たいばかりだ。
大道芸人や手品師たちが集まる街の広場で、私は毎日歌っていた。
オズと恋するミュータント(後篇)
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エイリアンエイリアン(歌詞)
ゆれる街灯 篠突く雨
振れる感情 感覚のテレパス
迷子のふたりはコンタクト
ココロは 恋を知りました
タイトロープ ツギハギの制服
エイリアンエイリアン(歌詞)
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海風(うみかぜ)【ミク・ルカ・リン】(歌詞提供)
(Romaji follows Japanese)
うみかぜ はるかとおく はこぶ メロディー
かいがら とじこめてた とおい くにのうた
きこえる うみのむこう かぜの リズム
しらない まちのうたを もっと きいてみたい
海風(うみかぜ)【ミク・ルカ・リン】(歌詞提供)
(プロフィールはありません)