東京テディベア【自己解釈】
投稿日:2011/12/24 13:29:39 | 文字数:1,343文字 | 閲覧数:41,448 | カテゴリ:小説
12/24 ひっそりと訂正。
「死亡届」をいい加減な理解のまま扱うのも
よろしくないので、変更を加えました。
私は何のために生きているんだろう?
父さんも母さんも私を愛してはくれない。
いつも兄さんや姉さんのことばっかり。私のことは邪魔者扱い。
きっと、二人目の娘になんか興味がないんだ。
私がもっと早く生まれてたら、姉さんみたいに愛してもらえたのかな。
そして、ある日…
「ねぇ、母さん… 何してるの…?」
「あなたを隠す準備よ。」
「…え?ど、どういう…意味?」
「さようなら。」
…人生なんて、椅子取りゲーム。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
「父さん、母さん、生まれてきてごめんなさい。
兄さん、姉さん、それじゃあ、またね。」
私はそう呟き、兄さんや姉さんのものとは
比べ物にならないような、冴えない靴の踵を踏み潰した。
見栄張ったサイズで、型紙を取る。
どうせ、姉さんのお下がりだけどね。
何だっていいんだ、代わりにさえなれば。
「愛されたい…」
私は、うわ言のように呟いた。
手には、両親からの唯一のプレゼントであるテディベアを握りしめている。
でも、もういいんだ。こんな物、ズタズタにして捨ててやる。
…私みたいにね。
こんな私を救ってくれる、全知全能の言葉を、ほら、聞かせてよ。
その言葉が聞けるなら、もう、体なんかいらない。
ねぇ、私の何がいけないの?
私の心のつぎはぎの隙間を、埋めておくれ…
「皆さん、さようなら。先生、お元気で。」
一度言ってみたかった言葉だ。でも、私は学校になんか行けなかったから、
そんな別れも経験していない。
別れのときって、どんな気持ちになるんだろう。考えていたら、
胸が高鳴ってきた。高鳴った胸に、涎が垂れる。
…バカバカしい。
正直者は馬鹿を見るんだ。こんなふうに想像したって、
誰も私を助けてはくれないんだ。
…もういっそ、殺してよ。
こんな傷じゃまだ足りないよ。この人形もろとも、串刺しになって死んでやるんだ。
こんな私を納得させる、全知全能の言葉を、ほら、聞かせてよ。
その言葉が聞けるなら、もう、体なんかいらない。
ねぇ、私の何が気に入らないの?
私の心のつぎはぎの隙間を、埋めておくれ…
もう何も残ってないよ。存在も、理性も、全部引きはがされて。
この人形を引き裂いて、糸屑の海へと消えていきたいよ。
もう、私はどこにもいないことになってるんだ。
帰る場所すらどこにも無いんだよ!
「私の存在を証明してよ!」
私は叫ぶ。
この嘘だらけの体を、完成させたいよ。そのためなら、何でもしてやる。
さあ、どうしたらいいの? 今、回答を!
このままのたうち回って生きるの?
奴隷みたいに飼われたいの?
何もない、嘘の存在?
違う、そんなの私じゃない!
人形の縫い目とともに、私の心のつぎはぎも、ほどけて、引きちぎれた。
まるで布でも裁つかのように、
煮え立った日々で、この命を少しずつ削っていく。
どうせ私なんかどうだっていいんだ。
私なんかいなくたって、
誰だっていいのさ、代わりになれば。
作品へのコメント2
ピアプロにログインして作品にコメントをしましょう!
新規登録|ログインオススメ作品10/29
-
悪ノ娘
むかしむかしあるところに
悪逆非道の王国の
頂点に君臨するは
齢十四の王女様
絢爛豪華な調度品
悪ノ娘
-
星華(ほしばな) 一番のみ
【1A】
屋根の上で 見ていました
空に浮かぶ 星がありました
指を差した 君が言いました
「あれは華火(はなび)だよ」と
星華(ほしばな) 一番のみ
-
繋鐘 一番のみ
【1A】
今鳴り始めた 鐘の音(ね)が
当てもなくただ街に 鳴り響いた
隣同士 手を繋ぎ合って
笑い合っていた 心具合
繋鐘 一番のみ
-
【カイメイ中心合同誌】36枚目の楽譜に階名を【サンプル】
*3/27 名古屋ボカストにて頒布する小説合同誌のサンプルです
*前のバージョン(ver.) クリックで続きます
1. 陽葵ちず 幸せだけが在る夜に
2.ゆるりー 君に捧ぐワンシーンを
3.茶猫 秘密のおやつは蜜の味
【カイメイ中心合同誌】36枚目の楽譜に階名を【サンプル】
-
イカサマ⇔カジノ【自己解釈】
「彼らに勝てるはずがない」
そのカジノには、双子の天才ギャンブラーがいた。
彼らは、絶対に負けることがない。
だから、彼らは天才と言われていた。
そして、天才の彼らとの勝負で賭けるモノ。
イカサマ⇔カジノ【自己解釈】
-
ハローディストピア
ハローディストピア
----------------------------
BPM=200→152→200
作詞作編曲:まふまふ
----------------------------
ハローディストピア
-
「ありのまんまで恋したいッ」
(Aメロ)
また今日も 気持ちウラハラ
帰りに 反省
その顔 前にしたなら
気持ちの逆 くちにしてる
「ありのまんまで恋したいッ」
-
幼なじみ
A1
幼馴染みの彼女が最近綺麗になってきたから
恋してるのと聞いたら
恥ずかしそうに笑いながら
うんと答えた
幼なじみ
-
運命の人へ
まだ見ぬ運命の人よ
聞こえていますか?
今から迎えに行くよ
空でも眺めながら待っていて
「運命の人へ」
運命の人へ
-
小説版 South North Story ①
小説版 South North Story
プロローグ
それは、表現しがたい感覚だった。
あの時、重く、そして深海よりも凍りついた金属が首筋に触れた記憶を最後に、僕はその記憶を失った。だが、暫くの後に、天空から魂の片割れの姿を見つめている自身の姿に気が付いたのである。彼女は信頼すべき魔術師と共にただひたすら西へと走り続けた。やがて、北風が強くなり、それは雲を呼び、そして初雪が深く暗い雲から零れ始めた。彼女の苦難を象徴するようにそれはいつしか吹雪となり、彼女の弱り切った心を容赦なく痛めつけた。体調を崩している。そう判断して彼女の元に駆けつけても、僕は彼女に触れることすら叶わない。桃色の髪を持つ魔術師は騎乗に夢中でまだ気付く様子も見えない。この吹雪の中、焦りを感じているのは誰もが同じか、と考えながら僕は無駄だと分かっていながら彼女の背中に触れようとした。触れても、僕の体温を彼女に伝えることは叶わないけれど。そう考えながら彼女の背中に僕の手を載せた時、彼女が一つ、咳をした。
『どうしたの?』
小説版 South North Story ①
(プロフィールはありません)