原罪物語第一幕 自己解釈小説 序章&第一章

投稿日:2013/09/14 15:31:17 | 文字数:4,544文字 | 閲覧数:5,960 | カテゴリ:小説 | 全4バージョン

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mothy 悪ノPさんの「原罪物語第一幕」の自己解釈小説です。
『Ma』計画を小説化してみました。

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序章~預言―Prophecy―~
ある日、一人の預言者が紫色の夢を見る。
「(ガタッ)・・・・・・ハァ、ハァ・・・・・・」
「どうなさいましたか!?メリーゴーランド様」
預言者メリーゴーランド――マリア・ムーンリット、レヴィアンタ魔道王国女王――は青ざめた顔で近くにいた召使にこう告げた。
「闇の遺産・・・・・・罪がすべてを滅ぼす・・・・・・そんな悪夢をみたわ」
 声が届く範囲にいたすべての人間が表情を驚きへと変えた。彼女の予知夢はその一切が的中していたからである。その中の一人がメリーゴーランドにすがる様にこう聞いた。
「防ぐ手立ては・・・・・・・・・・・・あるのですか・・・・・・?!」
 メリーゴーランドも激しく狼狽した様子でこう返す。
「二柱の神竜・・・レヴィアビヒモが人間になって罪を浄化する夢も見たわ」
「急げ!!!早急に議会を開け!!!」
 その中の一人が大声でこう叫んだ。

 これがすべての始まりになり、後に大罪を生じさせ、千年にわたり人々を苦しめることになる。色欲、傲慢、怠惰、強欲、嫉妬、憤怒、暴食・・・・・・この七つの母になる大いなる罪、原罪の物語は、このレヴィアンタ魔道王国から始まる。

第一章~「Ma」計画―Project「Ma」―~
1. Encounter
「神を人間に・・・だと・・・?そんなことできるのか!?」
大声で怒鳴る議員。それに静かに、しかし明瞭に返す者がいた。
「できますよ」
 議事堂内に突如響き渡る声。
「本当なのですか?」
全議員の視線の先にいる人物、彼の名はアダム=ムーンリット。メリーゴーランドの息子である。
「もちろん。科学者の間で最近サルを人工的に創り出すことに僕が成功したことが噂になってるはずなんだけど、聞いてなかったかな?これを応用すればいけると思うんだけど」
「しかし、そんな神を侮辱するようなことがあっていいとお思いですか!アダム様!!」
「いいよ。母上が退かれてからこの国の国王は僕なのだから。それとも、国王の言葉に逆らうつもりか?」
「くっ・・・」
「じゃあ、始めよっか、第一次『Ma』計画を。」
 その後に、補佐官としてセト=トワイライトが、最高責任者としてアダム自身が選ばれ
た。
「よろしくな、セト」
「任命されたからには、全力でやらせていただきます。」
「Ma」計画の実行に必要不可欠なものがある。それは子供が受精卵から一体の個体になるまでに適切な栄養と温度を与え続けられるもの、つまり母体が必要になるのだ。だが、女なら誰でもいいという訳ではない。性的に成熟し、なおかつ強大な魔力を有する者でなければ、神の子供を誕生させることはできない。そのため、なかなか母親候補が決まらなかった。そこでアダムや元老院が考え出したのが、「神の子供を無事出産した女性を『母なる者・Ma(メム・アレフ)』として崇め、この国の女王として国の頂点に君臨する権利を与える」といったことを決定し、公表したのである。その後、アダムがなかなかのイケメンであったこともあって、王立研究所に希望者が殺到した。だが、その女性の大半が魔力など無に等しい、もしくはあっても足りないという、いわゆる「アダム目当て」で来た者ばかりであった。これが研究員やアダムのストレスになっていった。
「魔力の足りねえ奴をなんで俺らが審査しなきゃならねぇんだよ」
「あ~~~、かったりい」
「あのことを公表する前は全く来なくて、公表したらグズばかり。どうしてこんなにも極端なんだよ!もう!」
「あっ、アダム様!!お気をお鎮め下さい!!」
その夜、アダムは酒を滝のように口の中に流し込み、暴れたという。
翌日、気分転換に一日全員研究所に来ないで好きなところに行って来いという命をアダムは出し、部下を労った。
アダムはネムの村を訪れた。
「あ!アダム様だ~~~!」
 アダムは経済的に厳しい人々にやさしい政策を次々に実施させてきたため、民衆から慕われているのだ。さっきの子供が叫んだのがきっかけで家の中から続々とこの村民が出てきた。
「ああ、アダム様。お助け下さい、私の妻が、私の妻が・・・・・・!」
「どこだ、場所を教えろ」
「こちらでございます」
 二十分後、
「ありがとうございました。すっかり元気になりました」
「それはよかった」
 イケメンで、知識が豊富。なおかつやさしいという完璧系男子であるから、アダムは老若男女に好かれるのだ。
 そんなアダムが町の市場をブラブラと歩いていたとき、アダムは背筋に氷柱を刺されたような、ある感覚に襲われた。
「(強力な魔力の反応だ・・・・・・!)」
「アダム様、これは・・・・・・!」
「行くぞ、『Ma』の最有力候補がこの辺りにいるぞ・・・!」
「はっ!!!!!!」
 アダムは生来、高い魔力感知能力がある。そのため幼少のころ、メリーゴーランドは魔力が強い者をアダムの世話係から外したのだった。あまりにも魔力の強い者がアダムの近くにいると、アダムが泣き止まなかったのだ。
 そんなアダムは背筋のあたりのざわめきが強くなってゆく方に歩みを進める。そして太腿まで氷柱で刺されたような感覚が回ったとき、ある女性に出会う。
「お前、名はなんという」
「えっ、私ですか?」
「ああ、お前だ」
「イヴ、イヴ=ズヴェズダと申します」

2.第一次「Ma」計画
「凄いですよ、アダム様。こんなに魔力が強い女性を見つけてくるなんて」
 翌日の研究所では、今までにない強い魔力の数値に職員一同はため息をついた。しかし、あまりにも数値が大きかったので、歓喜を通り越して驚愕していた。
「これくらい当然だ。最高責任者なのだから」
 と、アダムは言うが「昨日強引に連れてきた」とは言わなかった。昨日アダムとイヴの間ではこんなやり取りがあった。
「えっ、『Ma』!?私が!?」
「ああ、君だったら必ず成功するさ」
「い、嫌です!!!ここのみんなともお別れしなきゃいけないし、何より家が」
「じゃあ、少しお茶でもしようよ」
「それくらいならいいですけど」
 イヴが飲んだお茶には洗脳薬――強制惚れ薬のvenom――が入っていて、イヴは洗脳されてしまったのである。
「(昨日思い出したが、これで僕の母親を奪ったセトや元老院どもに復讐できる・・・・・・!)」
 昨日の夜、就寝したアダムの夢に忘れていた記憶が映されていた。その夢とは、アダムと、アダムの母メリーゴーランドが引き離されるものだった。そこではアダムは
「母さん!、母さん!」
 と泣きながら叫び、メリーゴーランドは
「泣いてはだめ。強い男の子になりなさい」
 とだけ言って去っていった。その後の母からの手紙で、アダムはあの行動が本心からの行動ではないことを知り、母と自分を引き離した時にいた男たち――セトと元老院――を激しく憎むようになった。
「それじゃあ第一次『Ma』計画、実行に移そうか、みんな」
「はっ!!!!!!!!!」
 研究所の一同が一斉に返す。
「セト、準備を」
「御意」
 そうして、イヴの体内に「神の種」が埋め込まれた。
「(アダム様との子供を身ごもれた・・・・・・幸せ・・・・・・)」
 イヴはただ、幸せな気持ちになっていた。それがアダムとの子供ではないとは知らずに。

3.双子の死
 アダムとの(正確にはそう勘違いしている)子がイヴの体の中ですくすくと育っていく事
にイヴは陶酔していた。一か月後の検診で双子だという事も判明した。
 二か月後のある日、イヴは研究所内の女性職員の会話を聞いてしまう。
「イヴっていう、あの女、おなかの子供はアダム様との子だってまだ信じてるらしいよ」
「あら可哀そう。国に利用されてるだけなのに」
「おい!何やってんだ、こっち手伝えよ」
「はーい」
「(どうゆうことなの?この子がアダム様との子供じゃない・・・?嘘だ嘘だ嘘だ!でも、もしそれが本当ならアダム様との本当の子供が欲しい!)」
 イヴが秘密裏に調べると、自分の腹の中にいる双子――カインとアベル――はアダムと
イヴの本当の子供ではなかった。
 一方、アダムの方にも心境の変化があった。自分の野望のために利用しているイヴは嫌
な顔も見せずに自分に尽くしてくれた。それはとても有難く、また、イヴのあどけない笑
顔や一挙手一投足はとてもかわいらしく、それは長い間共に生活してきたから、なおさら
アダムを夢中にさせた。
「(もういっそあんな計画を中止にして、あの双子を堕ろさせて本当の僕たちの子供が欲しい!!)」
 しかし、アダムは最高責任者だ。そんなことはできない。そんな空しさもあって、この
日からほぼ毎晩、アダムとイヴはその逢瀬を重ねた。その後、二人はこんな話をした。
「なんで私が『Ma』に・・・?」
「大丈夫だ」
 このことを言うべきか分からず、少し言葉を詰まらせて、しかし感情にまかせてこう続
けた。
「すべてが終わったら、あのエルドの森で結婚式を挙げよう」
 妊娠五か月を過ぎたころから、イヴは自分の身の回りのことをすることが難しくなった。
そんな状態でも、イヴは「神の双子」の母親だ。王宮の人たちはイヴがして欲しいと言う
事は何でもやってくれた。貧しい農村で長く暮らしていたイヴにとっては、無理を言って
もやってくれる給仕の様子はとても快いものであった。彼女はいつしか「自分が言った事
はすべて実現する」と錯覚し始めた。
 その後の検診で研究員からある事実が告げられる。
「少し胎盤の接合が弱いですね。これからはあまり激しく動かないでください」
 それでも、アダムとイヴは逢瀬を重ねあった。やさしく、しかし激しく互いを求めあっ
た。その結果、六か月目に激しい腹痛にイヴは襲われた。
「残念ながら、双子は・・・・・・・・・・・・・」
 目の前の研究員は黙って首を横に振った。それとイヴの精神が崩壊したのはほぼ同じ時
だった。
 それからというと、自分が住んでいる町の家族が楽しそうにしているとき、イヴはブツ
ブツと「ナンデワタシダケ、ナンデワタシダケ・・・・・・」と憎悪のこもった声で呟い
ていた。家の中でも怒りにまかせて物にあたった。時には子供を誘拐したり、町の人に暴
力をふるったりした。ついに人殺しまでするようになった。そんな血まみれになったイヴ
を高台から見下ろす者が一人。
「(無様なものね)」
 彼女の名前はメータ=ザルムホーファー。「メリゴドの魔女」と呼ばれ、犯罪組織「アポ
カリプス」の主要メンバーの一人である。
 彼女がイヴを見下ろしていると、後ろから近付いてきた男たちが鎖で彼女を捕縛した。
「メータ=ザルムホーファー、貴様を殺人ほう助の罪で逮捕する!!!」
 罪はいつか裁かれるもの。そう納得したメータは抵抗しなかった。
 その翌日、アダムはイヴに対してこう言い聞かせて、レヴィアンタ魔道王国からイヴを
連れて脱走した。
「さあ、あの森で結婚式を挙げよう。愛しているよ」
 それにイヴが返す。
「アイシテイルワ」
二人は、エルドの森へと駆けていった。

作・編曲・作画:ayoui44、作詞・歌・小説:五十嵐悠二人のサークル。現在準備中なり。

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