あなたがいない世界で【小説版】
投稿日:2010/02/02 19:17:39 | 文字数:1,034文字 | 閲覧数:445 | カテゴリ:小説
+ゆう+です。初の小説投稿!!
今回は、初投稿した歌詞もどき
『あなたがいない世界で』http://piapro.jp/content/rg0tl9749dtjj5ocを小説にしてみました。
追伸:レン視点できました
『君がいる世界【小説版】』→http://piapro.jp/content/y6xghaad9gr8adaw
「僕がいない明日も、君は笑っていて」
―――ねぇ、レン。
あの雪の降っていた夜を、私は決して忘れないよ。
ふと、空を見上げた。
青い空を、自分の吐いた白い息が昇ってゆく。それを見てから、リンは
そっと自分の左隣に視線を移す。そして、誰もいないことを改めて確認し、
寂しげに目を伏せた。
――去年の今頃だったら…。
いつも、左隣には『彼』がいた。自分によく似た顔、しぐさ…。どんなことがあっても、彼はいつも笑いながら隣にいてくれた。
リンは胸に鈍い痛みを感じた。軽く胸を押さえた後、リンはひとりで歩いていった。
小高い丘の上に立ち、リンは桜の幹をそっと撫でる。大樹は今は雪で白くなっているが、春になれば満開の花を咲かせた。
「また春になったら、ここで一緒に桜を見ようね」
そう、約束した。
「約束したのに、春は私ひとりで見ることになっちゃうね……。…レンの馬鹿」
ぽつりと呟く。
でも、誰かが返事をしてくれるわけではなくて。
リンはしばらく樹を見上げた後、やがて帰路につき、誰もいない家へと帰って行く。それがいつのまにか習慣となっていた。
リンは、春に咲く花が好きだった。夏の澄み渡る青空が好きだった。秋の紅葉で彩られた山が、冬の白くて綺麗な雪景色が好きだった。
そして、そんなリンを隣で微笑みながら見守っていたレンが大好きだった。
『綺麗だね~!!雪が積もって、樹が白い花を咲かせてるみたい!!』
真っ白な世界を喜んで飛び跳ねていた自分を見つめる、優しい眼差し。
『ったく。さっきまで、あんなに寒い寒いって言ってたくせに…』
呆れたように言うレンに舌を出す。
『うるさいなー。レンのバカーっ!』
そして、ふたりで顔を見合わせて笑う。それだけで幸せだった。
今でも、目を閉じればあの笑顔が鮮明に蘇ってくる。それでも、その笑顔はただの記憶であって、リンは現実でレンと笑いあうことはもうできないのだ。
年が明ける少し前の、雪が降る夜。レンは動かなくなった。
泣きじゃくるリンの頭を優しく撫でて、ふっと微笑む。
リンはレンの右手を握る。レンの右手から完全に温かさが消える少し前に言った、レンの最期の言葉。
『ねぇ、リン。たとえ僕がいない明日でも、君は笑っていて……』
リンは窓の外へ視線を移す。
外の雪は溶け、もうすぐ春が来ることを予感させた。
リンは青空で輝く太陽の光に目を細め、優しげに微笑んだ。
作品へのコメント1
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少女の願いを込めたメッセージは、悲しい歌声と共に水平線の彼方へと静かに消えていったそうです。
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存在理由ep.1
この重い空気をどうしようか…。
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はい、思い出せてません。
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『ひまわりと思い出』
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道化師と壊した人形~Lost Actor Circus~
「ふぅ、これで今日は終わりだな。」
とあるサーカスの団長は、そう言って椅子に座りました。
最近、公演が多くて大変なご様子。
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親の七光りで保っていると、そういう輩もいましたし、サーカスの演目を揶揄する者もいました。
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語り部のマヨイガ
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ようこそいらっしゃいました。このたびお聞かせするのはとても美しい魔女の物語です。
山の麓の森の置く深くに青く長い髪を持つ魔女が住んでいたそうです。魔女はとても美しく、その姿を見た者は誰しも魔女に恋してしまうそうです。麗しき魔女の歌声を耳にしたが最後、魔女の虜となった迷い人は誰一人として帰らなかったそうです。
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山の麓の森の奥深くたった一人で魔女が住んでいたそうです。時たま、人は訪ねてくるのですが、生きている人間は一人として訪ねて来ることは無かったそうです。迷い人は自身の命が尽きたことに気づかぬまま、魔女の傍に留まり続けたそうです。そんな迷い人のため、魔女は延々とたった一人で歌を歌い続けたそうです。
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桜吹雪よ、舞い上がれ【花吹雪・風花舞捏造】
※これはウタP様の「花吹雪」と「風花舞」を独自解釈で書いたものです。ウタP様ご本人、及び楽曲「花吹雪」「風花舞」とは何の関係もありません。捏造満載で、歌詞に沿って書いていない部分も多数ございます。ご本家のイメージを崩されたくない方はお戻りくださいませ。
大丈夫という方のみ、スクロールで本編へお進みください。
桜散る木の元で。
『桜吹雪よ、舞い上がれ』
レンは、桜を見上げる。樹齢百を超えると、いつの日か聞いた。風が強く、花弁がはらはらと、はらはらと止めどもなく降り、黒いアスファルトの地面は淡い桃色に染まる。これを桜吹雪というのだろうか。綺麗だと、思った。難しい言葉も具体的な感想もでてこないかわり、ただ、単純に。
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Knight museum
ある晴れた日のことでした
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なまえのない そのうたは
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頭だけキッチンから出した格好でめーちゃんが声をかけてくる。私は読み掛けの雑誌から顔を上げて返事を返した。
「あのね、もう夕飯なんだけど、まだレンが買い物から帰ってないのよ」
「え?」
なまえのない そのうたは
ボカロ(特に鏡音レン)が大好きです!!
中学2年生の頃、姉貴にMEIKOの『悪食娘コンチータ』を聴かせてもらってからボカロに興味を持ち、その後『悪ノ召使』を聴いてレンが大好きになりました!!
歌詞とかイラスト中心にやっていきます!!ぜひよろしくお願いします!!