晴れた青い空に、うっすら月が見える。その月を見上げながら女性が佇んでいる。茶色の髪を肩より少し短めに切り揃え、顔立ちは美しく、その瞳は琥珀色に赤い色を宿した温かみのある色。すっと伸びた身長に、出る所は出ている、女性らしい魅力的な体つき。背中を木造立ての壁にあずけ、月を見上げる姿は寂しそうに見える。
「ひっく。ひっく。お母さん〜〜」
四〜五歳くらいの白に近い薄いピンクの髪を長めに伸ばした可愛い少女が泣きながら、女性の横を通り過ぎようとした、女性が泣いている少女の前にしゃがみながら聞いた。
「泣いて、どうしたの?」
少女がびくりと体を縮め女性を見る。女性は怯えた顔の少女に優しく微笑み、もう一度、問い掛ける。
「どうしたの?」
少女は女性の微笑みを見て安心したのか、本格的に泣き出しながら、一生懸命に喋る。
「あのね。お母さんが居なくって」
それを聞いた女性が周りを見渡して見るが、この少女の母親らしい人物は見つからない。泣き止まない少女の頭を撫でながら優しく言い聞かせる。
「大丈夫よ。お母さんがすぐにあなたを見つけてくれるわよ」
それでも、少女は自分が迷子なのとお母さんが見当たらない不安からか、泣き止まない。女性は少し困った様子だったが、不意に優しい声で小さく歌い出した。
(月の子供 月の泉に落ちる 落ちた先は乱世の世 武士も忍者も戦の最中 忍者の子供が夜の城
たかい高い屋根の上 ま〜るい大きなお月様 月から雫が落ちて来た 月から子供が落ちて来た)
女性の優しい歌声に引き込まれる様に夢中になり、いつの間にか涙が止まっていた少女。
「お姉さん。その歌、すてきだね」
少女が笑顔で言う。少女の笑顔とその言葉を聞いて、女性は嬉しそうに笑いながら答える。
「これはね、お姉さんの知り合いが見つけた物語の歌なの」
「物語なの?」
少女がきらきらした瞳で聞いて来る。
「お母さんが迎えに来るまで続きを聞く?」
「うん」
少女が嬉しそうに頷く。
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