鷺よどこまでも飛んでいけ
おまえは自由なのだから

高い建物をよけながら
鉄塔をいくつもくぐって
ダムの谷を渡り
みなかみを越え
景色のあるほうへ

たまには田舎の沼なんかで羽を休めてさ
ちょっとしたら飛んでいけよ
おまえは自由なのだから

鷺よ 鷺よ
どこまでも飛んでいけ 飛んでいけ
おれのかわりに あいつのところまで

わかっているさ 誰の一生にも
どこにもないことくらい
本当の自由など

だけど鷺よ
おまえは飛んでいけ
羽が風をつかめる限り
おれにはもうみえない
地平の先まで

鷺よ おまえは
自由なのだから

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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鷺へ

さぎへ。

閲覧数:689

投稿日:2012/07/03 21:28:45

文字数:260文字

カテゴリ:歌詞

  • コメント3

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  • 歌詞設定作品1

  • ypselon

    ypselon

    使わせてもらいました

    I love this poem very much, and have decided to make the song. However I postponed it again and again and until now.
    I tried to make it to be a baritone piece with a little despair. (Something out of my ability.)
    Still hope you can enjoy it!

    2013/06/28 23:03:50

    • 漆烏

      漆烏

      メッセージありがとうございます!
      鷺へ-Sagie-聴かせていただきました。低音の際立つ声と弦楽器が素敵ですね。翼を持つ鷺に"自由"を託す男の悲哀・切情がひしひしと感じられました。主人公の淡々とした口調の裏にある、淡い絶望や閉塞感などを汲み取っていただき、嬉しい限りです。ありがとうございました!


      …余談ですが、オペラ調ということなので、僕が思い描いていたこの詩のストーリーを紹介します。良かったら読んでください。

       どこかの湖畔に囚われた男がいた。男はある朝、霧中に佇む白鷺を見た。白鷺はしばらくじっとしていたが、やがて飛び去った。男は想像した。あの白鷺はどこへ飛んだのだろう。あの白鷺はなぜ飛ぶのだろう。
       男は知っていた。翼を持つ者であったとしても、結局は何かに囚われ、束縛されているのだと。人間も白鷺も、この世界の誰も、本当の自由など持っていないことを。だからあの白鷺も、どこへ飛んだとしても、自由にはなれないだろう。この世界は牢獄と同じだ。
       しかし男は思い出した。かつては彼も翼を持っていた。今はもう翼を奪われ、狭い牢獄から出ることは二度と叶わないが、彼も確かに、自らの翼で飛んでいたのだ。輝ける翼で風を切る感触を、彼は久しく夢に見た。
       男は詩を綴った。それは鷺へ向けた詩であった。彼は自分が失った"翼"を、あの鷺に託したいと思った。自分の夢を、届かなかった場所を、見れなかった景色を、鷺へ託そう。男は詩を歌にして、霧のかかる湖畔へ歌った。
       男はやはり、知っていた。こんな歌が鷺に届くことはない。願いを鷺が負ってくれるわけもない。それでも男は、歌によって、自分の"翼"と決別することができた。いつか奪われ、忘れ去られ、心の深淵に堕ちたままだった"翼"を、空に解き放つことができた。男は鷺と、翼と、自由に別れを告げ、諦めを受け入れた。牢獄の中、大空をどこまでも飛んでゆく鷺を幾度の夢に見ながら、男は穏やかに死んでいった。

      2013/06/30 00:48:03

  • wanita

    wanita

    ご意見・ご感想

    メッセージのお返しありがとうございます。
    「青鷺」のURLをありがとうございます。初めて知りました。力強い詩ですね。
    青鷺は私の住んでいる関東でもよく見る鳥ですが、大きいので飛んでいても降りていても、ブルーグレーの羽が目立って格好いいと思います。

    水辺にすっくと立つ白い鷺も、綺麗な情景ですね。
    冬枯れの田などを眼下に置き、青空を背景に飛びぬける白い鷺も「自由」のイメージにぴったりな気がします。

    では、詩とメッセージで、楽しませていただきありがとうございます。
    また遊びにきたいと思います。

    2012/08/25 22:54:10

  • wanita

    wanita

    ご意見・ご感想

    サギへ、という歌に出てくるにはちょっと珍しい鳥のタイトルに惹かれてやってきました。
    私の頭の中の映像は、まっしろなからだに、ふわりとした冠羽、黒い足に黄色いスリッパを履いたコサギ(夏羽)で再生されています☆
    漆鳥さまのイメージしたサギはどんな鷺ですか?

    2012/07/11 00:47:38

    • 漆烏

      漆烏

      メッセージありがとうございます!
      鷺の形に特に明確なモチーフはありません。イメージとしては、水辺、霧の中に佇む白い鷺って感じでしょうか…。質問にお答えできず申し訳ありません。

      ちなみに鷺については更科源蔵の「青鷺」という詩があって、合唱曲になっています(ご存じでしたらごめんなさい)「鷺へ」はこれに感動してフラッと書いたもの…です。
      ↓「青鷺」の詩のURLです。
      http://www.grey-heron.net/forum/58-chorus/
      私は鳥に詳しくないのでようわからんですが、知ってる人が見るとまた違うのかもしれません。

      2012/08/19 16:24:59

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