せいしょくしゃ・2

投稿日:2013/05/23 01:37:59 | 文字数:4,140文字 | 閲覧数:460 | カテゴリ:小説 | 全2バージョン

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※全2Pです。前のバージョンで進みます※

DIVAfモジュ「ジーニアス」と「ホイッスル」で脳内妄想よろしくお願いしますということカイメイと言い張って見る第二弾。第一弾はこちら→【http://piapro.jp/t/RQ-l】どちらも単に聖職者2人がベッドでもだもだしてるだけの話ですので読まなくても大丈夫な気がします。

自分でもなぜこんなことになったのかわからない展開です。アレ…ワリキッタ…カンケイ…
薄々気づいてはいましたが私の書くカイトに草食系は存在しないようです。例え理系白衣もやし男でも惚れたと気付いた女の前では完全に獲物を狩る肉食系です。どうしようもない。どうしようもないんだ…!!

書いてる最中にいきなりジニホイモジュAC入りとか吐血しましたゴフッッ

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TEXT
 

 あぁ、またやってしまった  
私ってホントにダメ教師
最低だ  

あの時もただ逃げただけで
だけど私に何ができたっていうの
ごめんなさいもういいわ
私がいなくなるから

あなたに迷惑はかけない








「…んせ。…せんせ」
頬を何度か軽く叩かれて、ふっと意識が上昇した。
眩しい。飛び込んでくる白色。保健室の古びた蛍光灯の光と、くたびれた白衣。
「…………めいこせんせ」
そして青。
反射的に状況を把握し、私は眩暈を覚えて再び目を閉じた。手の甲で目を隠す。あぁ、そうだ。私たち、また。
「…大丈夫ですか」
ちっとも心配の窺えない平坦な声音が尋ねてくるから、顔を隠したまま小さく頷いた。だけど裸にシーツをまとったままで起き上がろうとしない私を、彼はじっと見つめているようだった。
…そうね。今日の私おかしかったわよね。いつも基本的にきっかけはコイツなのに、今日は私からあからさまに誘ったし。そのくせ最中はずっと上の空だったし、なのにちょっと無茶されたら簡単に泣いてたし。いくらコイツでも、何も気付いてないはずない。
「……ごめん」
零れ落ちた謝罪は、ほとんど惰性。
「…何が」
「あんなので気持ちよくなかったでしょ」
「別に」
顔を隠したままの私の前髪を、大きな掌がサラリと梳く。最近たまにこういうことするようになった。嫌いじゃないけど。
バサリと頭の上に何かがかぶさる。見なくてもわかる。ベッドが軋み、彼が立ち上がる音がする。
私は自分の腕と、彼の白衣に覆われた不鮮明な視界の中で、ぼんやりと目を開けた。
最近は化学室まで取りに戻るのが面倒だからと、保健室に魔法瓶とコーヒーメーカー一式を常備してしまった。カチャカチャと道具を用意する音がして、コポコポと心地よい水音、やがて漂ってきた香ばしい香りに、気付かないうちに入っていた肩の力が抜けた。
素っ裸の身体に白衣を抱きしめ、だらりと腕をシーツに落として、私はかいとせんせいの背中を見る。
ひょろりと細長い体躯。よれよれの緑のシャツ。ベストは着てない。そのシャツ趣味悪いからやめればって何度も言ったけど、うんうんって頷くばかりで一向に聞こうとしなかった。
意外に広い背中。
嫌いじゃないけど。
だけど。
「…無理させましたか」
大きめのマグカップにコーヒーを注ぎながら、さして興味もなさそうに先生が尋ねる。
あぁ、気にしてたんだ。
「ううん。全然」
ふふ、と笑いがこみあげた。他人に無関心な素振りばっか見せるけど、実際のとこそこまで無神経でもないのよね。
ま、こーゆー関係になっちゃってる私への、多少の後ろめたさがあるのかもしれないけど。
うん、嫌いじゃない。
嫌いじゃないんだ。
でもね。
渡されたカップを受け取って起き上がり、ほくほくと上がる湯気をしばらくぼんやり見つめていた。
ベッドの隅に腰掛けて背を丸め、ズルズルとコーヒーを啜る彼のその様子も、もうすっかり見慣れてる。
このどうしようもなく怠惰な、2人だけの時間が、個人的にはすごく気に入っていた。
してる最中はあんなに夢中なのに。甘い睦言なんか交わす間もなく、お互い絡み合うのに必死なのに。
終わると、これよ。この気の抜けた感じ。丁度いい具合の疲労感に身を委ねて、頭の中空っぽになれる感じ。
なんの責任も負わない関係。諸々のことは個人で処理し、面倒なとこにまで関わってこないで済む関係。
大人、だから。
割り切って。
時にはそういう関係もアリで、必要で。

だけど、やっぱり。


「かいと、せんせ」
「はい」

やっぱり、私たちは、教師だ。

ベッドの背にもたれ、受け取ったコーヒーにふぅ、と息を吹きかけた。湯気がふわふわと霧散した。
なんだろう。なんか頭真っ白だ。ふと、このシチュエーションにぴったりの、冗談みたいなセリフが浮かぶ。

「―――もう終わりにしましょう」

うわぁ安っぽい。言ってから自分で吹き出した。青い目が苦虫を噛み潰したように眉を顰めてこちらを振り向いたから、もう一度吹き出しかけて、自重した。
心底理解できないものを見る目で、不愉快そうに。こういうジョークの通じないところも嫌いじゃない。
「ごめん」
笑いながら謝ると、呆れたという体で軽く頭を振って、再びコーヒーを啜る作業に戻る。
うん、ごめん。でも。
「―――嘘じゃないの」
冗談じゃないの。
「……」
言ってから、沈黙。彼がこっちを向くまでに軽く10秒はかかった。いつものことだ。私はその様子をどこか虚ろに見ていた。
両手の平で持ったカップを膝に置いて、彼は相変わらずの無表情で言った。
「何かありましたか」
「ええ」
もう、どうでもいい気がした。
やめればいいんだ。同じ轍を踏む前に。
「もうアンタとはしない」
「……」
眼鏡の奥の青灰色の瞳が、白衣に包まれた私の裸の奥まで見透かそうとするように、じっと据えられる。いやきっと、実際に見透かされているのだろう。彼は意外と、私を見ている。
「……今朝問題になっていた生徒は、あなたの受け持ちでしたか」

ほら。

他人に興味なんかないフリをして、彼は意外と私を見ているのだ。
「受け持ちではないです。ただ、ここでよく話を聞いてやっていました」
私は淡々と答えた。
2年生の女の子。外見も素行も言動も非常に派手、学校に来てもスマホをいじって時間を潰し、眠いと言っては保健室に転がり込んでくるような子だった。
問題児ではあるけれどとても元気で面白い子で、不器用だけれど友達を思いやれる優しい子だった。家庭事情が複雑だから親は親のやりたいように、私は私のやりたいようにやるのだと言うその子に、私は「自分を傷付けることだけはしてはいけない」と、それだけを何度も何度も言い聞かせた。
その子が、妊娠したのだという話が、今朝の職員室に転がり込んできたのだ。ずいぶん学校に来ていないのもそのせいだと。


騒然とする職員室で、私はふと、目を閉じた。
―――あぁ、また失敗した
そんな気がして意識が暗く遠のいた。



                    *



以前勤めていた学校を辞めたのは、私と私の受け持っていた生徒がある事件を起こしたからだ。

高校1年の男の子だった。成績は優秀、線が細くて少し内向的な、でも優しい子だった。
人間関係が面倒で、過保護な親とも上手くいっていなくて、生きてても楽しいことがないんです、なんて真顔で言うから、私は少しでもこの子が学校に来たくなってほしいという一心で、空いた時間があればいつでも彼の話を聞いてあげていた。
今となっては、それがよかったのか悪かったのかわからない。ただの独りよがりだったのか、どこかで歯車が狂ってしまっただけなのか。
いつものように放課後の保健室で2人、とりとめもない会話をしていたら、突然襲われて、ベッドに押し倒された。
16歳の男の子の力は信じられないくらいに強くて、私は驚きの余り、抵抗の加減ができなくて。
無理やり足掻いたけどどうにもならず、力の限りに腕を振りかぶり、彼の頬を殴った。バランスを崩した彼がベッド脇の備え付けの引き出し、その上に置いてあった用具類の上に倒れ込んだ。その中に運悪く包帯を切るための鋏があって、少し開いた刃先に強く押し付けた頬が、鋭い切傷を負った。
ポタポタと垂れる血に驚いて大丈夫かと声を掛けたが、動転していた彼は手当もせずに逃げるように保健室を出て行った。

翌日、学校に彼の両親からの激しい抗議が行われた。
親に問い質されたあの子は私のことは何も言わず、「保健室の鋏で切った」、とだけ零してしまったらしい。
それでも非難は当然私に集中する。不注意ではないのか、器具の管理はどうなっているのか、手当も行われなかったのはどういうことか、生徒が保健室を利用しているのに担当医がいなかったとは何事か。
違う。私はいたのだ、その場に。でも、なんにもしてあげられなかった。
だけどそれを声に出すことは、許されなかった。


―――その頃、私は同僚の一人と付き合っていた。
もちろん誰にも秘密にして、こっそりと。優しくて、包容力があって、教師として尊敬できる人だった。
だけど生徒というのは見ているもので、私たちの関係は目敏い生徒たちに勘付かれ、ひそかに噂されていたらしい。どちらかといえば好意的に、まるで芸能人の追っかけをするみたいにだが。…もしかするとあの子も、そんな噂を聞いてしまったのかもしれなかった。
私と彼は生徒たちの追及をのらりくらりと躱して、2人きりの時には危なかったわね、なんて笑いあっていたものだ。

今回のことで、どこからかそのことまで取り沙汰された。あらゆる品のない尾ひれを付けられて、私たちの関係は悪意を持った口伝のもと、あっという間に全校に広まった。
教師同士で不道徳な。生徒の見本となるべき教師がなんてふしだらな。まるで彼までもが不品行をしでかしたかのような、そんな空気が当時の私たちの周りには渦巻いていた。
私が責任を取るのは当然のことだ。だけど、どうして彼にまで非難がいかねばならないのか。
捌け口と攻撃対象を見つけた人々の中傷は見えない刃となって恐ろしい勢いで私たちに襲い掛かり、私も彼も、日に日に学校に居づらくなっていった。
気にしないでいいと彼は言った。彼には全ての事情を話していた。だけどあの時の私に、自分を責めるなと言う方が無理な話だった。

やめてお願いだから
私が悪かったのだからもうやめてください
あの子も彼も責めないで

思い詰めた私は責任を取って、その学校を辞めた。
それで残された彼の立場が回復するわけでもなかったろうけど、私にはそれしかできなかった。
あの子は自分を責めたりしていないだろうか。登校を拒否したりしていないだろうか。
気にはなったけれど、もうそれらに気を回す心の余裕はなかった。

数ヶ月の休職。その後、運よく今の学校を紹介してもらって。
はじめて訪れた早朝の職員室で、入ってきた私に目もくれず、ぼーっと一人新聞を読みながらコーヒーを啜っていたのが、かいと先生だったのだ。

MEIKOさんを筆頭に、年長組、大人組、ボーカロイドが大好きです。

液晶の向こうに行くことは諦めたので悔しいけどめーちゃんはカイトさんに任せることにしました。幸せになれ。幸せになれ。

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