夜も深くなった夜半。小さな小屋に四歳〜八歳ぐらいの子供達が七人、ひとかたまりにグッスリと眠っています。その内の一人が寝返りを打つと、近くで寝ていた女の子に軽く手足がぶつかりました。

「う〜ん?痛い」

眠い目を擦りながら、女の子が体を起こします。少し周りを見渡し、今まで自分が寝ていた所に手足が有る、女の子を揺すりながら小さな声を掛けます。

「ねぇ、白(はく)邪魔だよ。私が寝れないよ〜〜」

「う〜ん」

白が少し身じろぎしますが、よほどグッスリと眠っているのか、まったく起きない様子。女の子は白をどかそうと白の体を自分の反対側に押しますが、同じ六歳でも白の方が自分よりも体格が良いので中々、上手に自分の寝る所を確保出来ません。何度か白の体をどかそうと試みますが、上手くいきません。諦めて何処か別の所に移動しようかと思い、皆を踏まない様に避けて歩き、皆の反対側に移動。

「ふぅ。寝よう」

もう一度、寝ようと体を横にした時。

「ち、ちち」

と頭の上から小さな鳴き声が聞こえて来ました。女の子がその声に反応して声を掛けます。

「ちぃ。起こしちゃった⁇ごめん」

小さな子リスが女の子の所まで来ながら鳴きます。

「ちち。ちち?(大丈夫だよ。どうしたの?巫空(みく)」

巫空は自分の傍までやって来た子リスを撫でながら小さな声で話し掛けます。

「ごめんね。起こしちゃって、白に追い出されちゃった」

少し眠たそうに答えます。その声を聞いて、ちぃが慰める様に巫空の手に頭を押し付ける。そんな優しいちぃの行動に再度、子リスの頭を撫でて上げました。そして不意にもう一度周りを見渡しぽつりと呟きました。

「ちぃ。さっきまで気が付かなかったけど、何だか夜なのに明るいね」

子リスが巫空の言葉に顔を入り口に向けた後、今度は巫空を振り返り鳴きました。

「ちいい。(行こう)」

「えっ。何処に⁇」

ちぃが出入り口に走って行きドアをカリカリと引っ搔きます。

「ちぃ。外に出るの?」

巫空が不安そうに問い掛けます。ちぃがもう一度、鳴き。

「ちぃぃ。ちっ‼︎(うん。行こうよ。ちぃが守るよ‼︎)」

巫空はちぃの言葉に勇気を貰い、不安よりも好奇心が勝ったのかおそるおそるドアを開け外に出て行きました。

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月の物語 [小説] 運命

閲覧数:244

投稿日:2016/08/30 12:33:14

文字数:954文字

カテゴリ:小説

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