突然の出来事が起こってから何時間か経った時のこと。
雪が降る中、ある所で貨物列車と二台の貨物自動車が衝突したという大騒動が起きた。
いつ炎火して爆発してもおかしくない中多くの通行人や報道陣がそれを一目見ようと撮ろうと集るが、それを、危険ですので、と警備員たちが身体を張って遠ざける。
また衝突した際に四方八方へ飛び散った荷物達が付近の通行人に当たってしまい複数もの怪我人が出てしまったため救急車が慌ててやってきたり、念のため消防車もきたり、そして何故こうなってしまったのかでパトカーなどもサイレンを鳴らしながらそろって現場に集まった。
おかげで色んな音がごちゃまぜで一体何がどうなっているのかが分からない状況だ。
そんな中、偶然にもその場にいた万屋の少年がある大きめの荷物がガタゴトと動いていることに気付き、訳の分からない大騒動の中その中を確認した。
見た瞬間、驚きから急いで閉じた。
少しどうしようかと考えてから、少年はそれをまるで自分の荷物ですよというように済ました顔で持ち上げると、たまたま近くにいたタクシーに乗り家に戻った。
荷物を家に運び入れるとそれをまた開けた。
中に入っていたのは新聞に載っていたあの少女だった。
少女は一刻も早く何とか狭い荷物入れから出ようとしてその結果、少年目掛けて頭突きしてしまった。
「いってぇ~!!」
少年は両手でじんじんと痛む額をおさえたが、少女の方は痛くても身動きが取れない状態なのでただ痛そうな顔をした。
「~~~~!!」
「ちょっと、じっとしてろって!!」
「ビリビリッ!!」
「いったぁああい!」
「わ、悪い・・;;」
急かされてつい勢いよくはがしてしまい、貼っていた口の部分が真っ赤になってしまっていた。
数分後、縄も解いた所で色々と興奮してしまっていた少女も次第に落ち着いてきた。
「あ~もう訳分かんない!最悪!!」
そういうと出してくれたココアをぐぃ~!と一気飲みしようとしたのだが、
「あっつっっ!!」
猫舌だったらしく、一口飲んだだけで終わってしまった。
涙目になりながら、ベーっと少し舌を出して冷ました。
「落ち着きなって。」
「落ち着いてます!!」
「空回りしてるじゃん。」
「してません!!」
「何があったのさ?」
「知りません!!」
しかし何故あの荷物入れの中にいたのかと聞けば、クリスマスの日にケーキを買って家に帰ろうとしていたのだが、その買った店の人から貰った黒い小箱の黒い雪玉を捨てた途端に煙が出て包まれてしまい、そんでもって誰かにハンカチで顔をおさえられた後眠ってしまった。そして、気がついたらあの荷物入れの中にいたんだという。
黒い小箱に黒い雪玉というのが気になったが、それに関してはまたあとで聞こうっと。
「ちなみにいつ起きたの?」
「さっきの大騒ぎになる少し前よ。大きく揺れたなぁって時があって、ちょうどその時に起きた。」
「それまでほとんど寝てたんだ。」
「そうですよー。」
「それだと、帰ろうにも難しいかもねぇ。」
言うと自分の分のココアを飲んだ。
「あっ、そうだ。それなんだけど、ここってどこ?あなたの家の感じを見ると、私が住んでるところとはちょっと違う気がするんだけど・・。」
そういうとレンは立ちあがって地図を持ってきた。
結構細かくかかれていた。
「今いるのはここ。で、さっき事故が起きたのはもっと下のこっち。」
「えっ!?めちゃくちゃ離れてる!!」
驚いて言い、レンが指す場所と全く違うところを指差した。
すると、レンは険しい顔をした。
「待って、こっちに来るには途中検査があったはずだ。なんで人がこうも簡単に通れて・・・。」
その時、突然ノックの音が聞こえた。
二人はそれに少し驚いた。
少年はコトン、とコップを置くと、
「・・・俺が出る。そこに隠れてて。」
言われて色々と置かれている所へ潜り込むように身を隠した。
大きめの段ボールもあったのでそれを周りと同化するように上手く被った。
キィ、と木で出来たドアを開けた。
そこには一人黒い服を着た背の高い人が一人立っていた。
「やあ、こんにちは、万屋の少年。突然だが、ここに金髪の女の子はきてないかな?」
「いえ、来てません。」
即答に黒い服の人は少し顎をかいて他に思い出そうとする素振りをした。
「・・・・ちなみにその子は君にそっくりな顔立ちをした子なんだが。」
「すいませんが、ここにいるのは俺だけですよ。それにそんな人会ったことありません。」
「本当かい?」
近づいてジッとフードの中から見える鋭い眼に一歩下がってしまったが、顔を横に振った。
「そうか。じゃあ、失礼。」
そういうとその人はサッサと行ってしまった。
その人が行く先を少し追いかけて下を見ると、どこにでもある普通の車に乗り込んで走って行った。
ドアを閉めて中に戻ると、隠れていたリンは不安そうな顔で聞いてきた。
「何だったの?」
「どうやら君を探しているみたいだよ。」
「えぇ!?」
「黒い服を着てたから、外にいる時とかは気をつけた方が良いかもな。」
「・・・・・・どうしよう。」
本当にどうしよう、どうなってしまうんだろう、と悩む彼女を見て、レンはそれを自分と重ねて見てしまった。
それで、つい・・。
「・・・あのさ、良かったらここで働くか?」
「え?」
突然の言葉にリンは驚いた。
「ここ一応会社みたいなものでもあるんだ。知ってるかな?万屋って言う仕事。」
「・・・・・・ああ!!!」
万屋という言葉で思い出した。
そうだ、最近巷で噂になっていたのを耳にしたんだ。
すっかり忘れていた。
「え、もしかしてあなたが最近噂になってる万屋の少年って人!?」
「うん、まぁ、そう呼ばれているみたいだけど。」
「それじゃあお願い!!家に戻る方法が見つかるまでしばらくここに居させて!!」
「う、うん。働いてくれるならいくら居たっていいよ?」
「ホント?!」
リンの勢いに少し押されてしまい、ただコクコクと頷かせた。
「やったぁ~!!♪」
こうしてリンも新たな働き手として入り、二人の万屋の生活は始まった。
コメント1
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ご意見・ご感想
パインロンリー
その他
なんかまだレンの名前が出てくる形じゃないのに出しちゃったみたいです。
気にせず読んで下さるとうれしいです。
・・って、細かいかな?w
気にしてなかったら流して結構ですw(慌
2010/01/01 15:59:28