【第一回 始まりはエビフライ③】

投稿日:2012/03/09 23:13:41 | 文字数:3,805文字 | 閲覧数:50 | カテゴリ:小説

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緊那羅に追いかけられて逃げる京助達。逃げる先に待っていたものは

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4時間目開始のチャイムが鳴り響く中階段を駆け上り教室を走りぬけ生徒を薙倒し先生のヅラを飛ばしながら4人は逃げていた(悠助は京助に抱きかかえられている)
その後を緊那羅が二本の棒の様な物で更に被害を広めながら追いかけていく
「京助?僕一人でも走れるよ?? 足とかもう痛くないもん一年生だもん体育のとき先生に早いねって褒められたし」
「今はだぁっとれーッ!!;」
降りて自分も一緒に走ると言い出した悠助に怒鳴ると悠助は『ぷー』と膨れてそっぽを向いた
「待つっちゃー!!」
周りのもの(人間含)を破壊しながら緊那羅は尚もしつこく追いかけてくる
「やはり馬鹿 逃げてる相手に 待てという」
「お、上手いこと作ったな」
坂田が一句詠むと中島が『ナイス!』と親指を立てた
「いや?…照れますな」
そして照れるしぐさをする坂田
「しっかししつこいなぁ…」
むくれたままの悠助を抱きかかえて走る京助が息を切らせながら呟いた
「このまま校外にバックレてもいいんだけどさぁそうなると地域住民の方々にご迷惑がかかるしなぁ…」
「校内の皆様にはいいんかい(片手突っ込み)」
地域住民の安全優先を主張する中島に南が突っ込む
「つうかさ?…この先って確か…」
坂田が何かを思い出して爽やかに笑いながら3人を見ると3人も頷いて笑った
角を曲がって階段を上るとそこは…
「屋上ダァ?…;」
       
       屋上=てっぺん=行き止まり=逃げ道ナシ

青い空と風が気持ちよく正月町内がよく見える
「逃げ道ナシだっちゃね」
4人が振り向くと緊那羅が微笑みながら屋上に入ってきた
「…覚悟、するっちゃ」
二本の棒のようなものを構えた
4人はフェンスを背中に感じながら緊那羅と距離を置く
「ねぇねぇ京助?」
さっきまでむくれて静かだった悠助が口を開いた
「…なんだよ」
京助は緊那羅から目を逸らさず返事だけした

「トイレ」
辺りの空気が一瞬にして緩んだ
「トイレ?!!」
「だーッ!; もう我慢しろんなもんッ!!;」
「ヤダー! できないー!!『しぜんげんしょう』だもん!! トイレー!!」
「だったらその辺でしろッ!!;」
「ヤダー!! トイレー!! トイレいくー!!!」
しょうもない兄弟喧嘩のゴングが鳴った
「どうして来る前に家でしてこなかったんだよ馬鹿ッ!!」
「馬鹿じゃないもん!! 京助がお弁当忘れるから京助の方が馬鹿だもん!!」
「お、悠それは正論だな」
「やかましい坂田ッ!!;」
ぎゃーぎゃー喧嘩する栄野兄弟に坂田がハッハと笑いながら口を挟む
「京助馬鹿説に賛同のものー挙手!」
南の声に中島、坂田、悠助、そしてコマとイヌまでもが手を挙げた
「おのれらはーッ!!;」

ゴスッ

ほぼ同時だった
京助が声を張り上げたそのとき悠助の持っていた弁当箱が空中分解し中身が舞った
カランカランと空しい音を立てて空の弁当箱が屋上の床に落ちた
「人を無視するなっちゃ」
弁当箱の後に続いて中身が床に落ちてゆく
ミニトマト、白米、玉子焼き…
「俺のエビフライ-----ッ!!!;」
京助の叫び声が青く晴れた空に響いた

屋上の床に無残にも落ちたエビフライ(とその他)
散々腹の叫び声と格闘して待っていたエビフライ(とその他)
変な服装のラムちゃんに追いかけられながら守っていたエビフライ(とその他)…
「俺のエビフライ----!!!!!!!!!」
「京助!! 3秒ルールだ!! 3秒ルールッ!!」
「駄目だ!! 無理だ南! もう3秒以上経ってる!! ルールは無効だ!」


【解説しよう。3秒ルールとは床に食べ物が落ちても3秒以内なら拾って口にすることが出来るという素敵的ルールであり、きちんとした同盟もあるのである】

半狂乱でエビフライと叫ぶ京助を南と中島が落ち着かせようとする
「弁当と自分の命と…どっちが大事だっちゃ…」
これから殺される(かもしれない)状況にあるのになおも床に落ちた(元)弁当に対して喚く京助を緊那羅は呆れたように見ていた
「とにかく…栄野京助、及びその取り巻き…覚悟するっちゃ」
二本の棒を回し緊那羅が近づいて…
「何さらしとんじゃきさ----んッ!!!」
…来たかと思ったら何処からかとんできた未確認亜光速飛行物体が緊那羅を直撃し、緊那羅は白目で倒れた
倒れた緊那羅の頭の上には目を回しているコマがいた
「ハルミさんが折角馬鹿息子の為に朝早くから作った弁当様を…ッ」
コマは屋上の入り口に立っていた坂田がぶん投げたらしい
片手にはコマを外した時用に予備(イヌ)が捕まっていた
「あ?食べ物粗末にしちゃあ駄目なんだぞー」
坂田の後ろから現れた悠助が白目むいて倒れている緊那羅に向かって怒っている
「人が悠を便所に連れて行ってる間になにしくさってんじゃワレ…アァン?」
ぐりぐりと気を失っている緊那羅を足蹴にする坂田を見て
「なんというか…やっぱり組長の血筋だよな」
「つうかハルミさん絡むと本当性格変わるよな」
「ウチの母さんのどこがいいんだか…;」

緊那羅が目を覚ましたのは放課後だった
「…こんなことしてただで済むと思うなっちゃ」
屋上の避雷針にくくりつけられた緊那羅は京助達をにらんだ
その顔には『ダーリン命』とか『キダム参上』などという落書きが油性ペンで書かれていた
「さぁてと…お前には聞きたいことがわんさかあるんだよな」
緊那羅と目の高さをあわせるために京助がしゃがむとその上に悠助が乗っかってきた
「ねぇねぇ! 緊ちゃんはどっからきたのー?」
緊張感のカケラもない悠助が質問をした
「…ラムちゃんからキンちゃんに呼び方変更ー」
「ダーリン からなんでこうなるの!! に変更ー」
南と中島が更に緊張感を崩す発言を連発した
「ソコとソコとココッ!! 少しだぁっとれッ!!」
中島、南、悠助と順に指を刺しながら京助が怒鳴る
「ねぇ、どこからきたのー?」
「…天」
悠助の質問に緊那羅がボソっと答えた
「ふぅん?何しに来たの?」
「…栄野兄弟を護るべき者か滅する者か…確かめるためだっちゃ」
悠助の気の抜けた尋問に小声ながらも緊那羅は答えていった
「あのさ、お前…緊那羅が嘘ついてる様には見えないんだけどさぁ…天からきて俺と悠を護るか殺すか確かめるとか…なんなんだ?」
緊張感がすっかり無くなった中京助が緊那羅に聞く
「それは…私も詳しくはわからない…ただ上の命に従ってきただけだっちゃ」
緊那羅は俯き答えた
「なら上に聞けばいいじゃん? 連絡手段とかあるんだろ?」
坂田が眼鏡を拭きながら言った
「あった…にはあったんだっちゃけど…」
「ど?」
「さっきこのイヌがぶつかってきた時壊れたっちゃ」
辺りがモノクロの空気に変わった

ホラ、と耳を見せられて4人はソコについていたのだろう【連絡手段】の残骸を見た
ピアスになっていたらしいがぶら下がっていたと思われる部分がなくなっていた
「なら一旦帰ればいいじゃん? そして…」
「こっちからは帰れないんだっちゃ…こっちからじゃ扉が開けられないから…確認が終ったら連絡して開けて貰う手筈になっていたんだっちゃ」
「なんてこったい…;」
京助が溜息をついてガックリと肩を落とす
「…じゃあ緊ちゃん帰れないの?」
悠助が京助から降りて緊那羅の顔を覗き込む
「しばらく…しばらくしたら…音信不通になったということでまた誰か来ると思うっちゃ…」
緊那羅は空を見上げた
つられたのかどうなのか京助達も空を見た
ゆっくりと流れていく雲と青い空
「つか…天からきたとか言ってるけどさぁ…天って空にあるのか?」
中島が何気に呟いた
「空…といえば空だっちゃ…でも空じゃないといえば空じゃない…天は天なんだっちゃ」
「…ようわからんトコから来たからようわからん格好してるんだなお前」
南が緊那羅の格好を改めてまじまじと見ていたその時

『ピンポンパンポーン…♪2年2組中島君、南君及び2年3組栄野君、坂田君…前田先生が至急生徒相談室まで来る様にとのことです…繰り返します…』

前田先生というのは緊那羅との追いかけっこの時ヅラと吹っ飛ばした先生のことでしつこいことで有名な中年教師であった
「…バックレるか?」
中島が3人を見渡した
「今日逃げても明日、明日も逃げると明後日…」
南が両手を挙げて【お手上げサ】というように首を振った
「んっじゃま…叱られにいきますか…」
坂田があーぁといいながら屋上の出口に向かった
「しゃぁねぇなぁ…おい悠、母さんに遅くなるからって言っておいてくれ」
京助も後に続いて屋上から去った

風が吹いて緊那羅の髪飾りを弄んだ
「緊ちゃんっていい人なんだ」
「へ?」
悠助が緊那羅に顔を近づけてニコニコ笑う
「私は…」
「だってコマとイヌが懐いてるもん」
言われてふと膝を見ると二匹は気持ちよさそうに緊那羅の膝で丸くなっていた
「学校壊したり京助達いじめたりお弁当粗末にしたことは悪いことだけど…謝ったらきっと絶対みんな許してくれるよ。僕も前に玉ネギ残して隠れて捨てた時謝ったらハルミママ許してくれたもん、だから謝ったら大丈夫だよ」
しばらくきょとんとして悠助の話を聞いていた緊那羅は目を細めると
「…そう…だっちゃね…」
ふっと笑った

主に自創作の話やイラストを投稿させていただきます
チキンゆえ受身ですがよろしくお願いします

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