青い草 第7話【後編】

投稿者: usericonkanpyoさん

投稿日:2012/02/29 15:01:53 | 文字数:4,207文字 | 閲覧数:119 | カテゴリ:小説

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今回、長いっすW(前後1万文字……

ここまで読んだあなたは素敵です。

時間を置いて文章を修正します。


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【前編のつづき】

校舎の脇にある自転車置き場で
カイトとレンは部活動に勤しんでいた。

自転車に後の荷台にゴテゴテしたミシンのような機械を載せ
後のタイヤの変わりに丸められた鉄の管がはめられていた。

鉄の管はペダルを漕ぐとタイヤのようにグルグルと回る
仕組みになっており、カイトの話だとこの中で生まれる
物質が重要な役割を持つのだという。

「―――、つまり超高速回転させたライフリングチャンバー内から
わずかに抽出されるタキオン粒子が超光速通信を可能に……」

「カイト先輩、何だかさっぱりだわん。とりあえず
この自転車のペダルを物凄くがんばって漕げば
タイムとラベルできるのかわん?」

「ん、まあそんなとこだ。このヘッドセットを頭にしてくれ」

「わお、かっこいいわん!」
なにやら自転車の仰々しい装置と配線が繋がってる
ヘッドフォンのようなものをレンに渡した。

「電極が繋がってる。抽出したタキオンが作用し
脳内で時間を遡る現象が起きるはず」

「わお、タイムトラベルだわん!
過去に戻れるわん?」

「う~ん……、まだ実験だからね。どの時代にいけるかは
この自転車を漕ぐ人の『想い』次第かな」

「僕は、過去に戻って逢いたい子がいるわん」

「そうか、じゃ、その子の事をいっぱい考えて
このペダルを漕いでごらん」

そうして、レンはヘッドセットを着け、自転車に跨り
ペダルをゆっくりと漕ぎ出した。

車輪は重たく、レンは歯を食いしばり全開で
ペダルを回すと自転車の荷台の装置が発光をはじめる。

作ったカイトでさえ、時間旅行はまだ半信半疑なのだが
今日はまだ出来たてのこの機械の試し運転。
不具合をチェックしようとしていた。

しかし、レンはかなりムキになっていた。

自転車のペダルを猛烈に漕ぎ、台の上で車輪が空転する。

「わおわおわおわお!」

「あはは、あんまり頑張らなくていいぞ。今日は試運転……」

「わあああおおおおん!!!」

「あ……、ごめん。過去に行くなら、ペダルを逆に漕がなきゃ」

「え~~~~!」

レンが叫んだ瞬間
自転車は台からはずれ猛スピードで校舎に向かった。

「わお~~~~ん!」

「わ!レン!あぶな……」

時、既に遅し。自転車はレンを乗せたまま猛烈なスピードで
校舎に突き進み衝突。

レンは衝突の衝撃後、駆け寄るカイトを目の端に見つけたが
そのまま意識を失ってしまった。



『わお……、草の匂いだわん』

レンは瞼を開けると青空と雲と、レンを覗く女の人の顔が映った。


「お、目覚めたね、少年!」

「う~ん……、お姉さんは誰だわん?」

ロングヘヤーでゆったりとした花柄のワンピースに肩からは
少し大きめの男モノのカーディガンがかけられていた。

「うふふ、びっくりしたよ。こんな野原で男の子が
倒れているんだもん」

がばっとレンは身を起こした。

レンはずっとこの女性の膝枕で気を失っていたのだ。

「わお、ゴメンナサイだわん。でもココどこだわん?」

「へんな子ね、ココはただの草原よ。私は旦那さんと
散歩に来たの。そしたら君がココに倒れてるワケ。
今、旦那さんが君のために飲み物買いに走って行ったわ」

「わお、良くわからないけど、ありがとうだわん」
お姉さん、結婚してるのかわん?」

「うふふ、もう大丈夫みたいね。そうよ結婚してるの。」

レンは周りを見渡すと青い草に黄色いタンポポの花が
咲き乱れていた。

そういえば、小さい頃一緒に遊んだ少女はよくタンポポで
首輪を作ってくれた事をレンは思い出していた。

「私ね、ココが大好きなんだ。青い草も、タンポポも」

「……わお」

幼い頃遊んだ草原に良く似ていた場所で
レンは夢の中にいるような気分になった。

見つめる女性を良く見るとお腹がポッコリ膨らんでいる
事に気づき、レンは呟いた。

「お姉さん、お腹に……赤ちゃんいるのかわん?」

「うふふ、そうだよ、もう直ぐ生まれるの。……触ってみる?」

「わお……。いいのかわん?」

「優しくね」

レンはゆっくりと女性のお腹に触れた。
服の上からだったが少し硬いのにちょっと驚いた。

「わお!すごいわん、なんか……すごいわん!
ここに赤ちゃんがいるなんて、なんか不思議だわん!」

女性はくすくすと笑いレンを優しく見つめる。

「ごめん、我慢できないや……」

女性は突然レンの手を引き寄せて抱きしめた。

「わおぉ!?」

突然で何が何だかわからず一瞬レンは慌てたのだが
どうにも体が拒むことが出来ない。
ぽっぽと顔が赤くなってきてこの状況を
どうしたらよいかと考えた。

初めて女の人に抱きしめられるレンは
ドキドキする心臓の音が思いのほか大きくて、びっくりする。

でも、白い首筋に顔を埋めると
やわらかくて、あたたかくて、綺麗な匂いがして
強張っていた体もいつの間にかほぐれ、いつのまにか女性に身を任せていた。

「……大人になるとね、大好きって素直な気持ちを
持って行けない事もあるんだよ。でもね、それはけっして
忘れて無いから、大事に持ってるから……」

「……、お姉さん、あの、あの……」

「私、青い草とタンポポの花を見るたびに君を想い出すの。
ちょっと切なくなるけど、良かったって思ってる」

「……!、あぅあぅあぅ!」

「ふふふ、君は相変わらずお日様の匂いがするね。
ここに倒れていた時は流石にびっくりしたけど、君だってコト
すぐにわかったんだよ。……さあ、もう時間かな。
早く戻らないと、みんなが心配するね。
まぐれとは言え、ほんとにタイムマシン
作っちゃうんだもん、カイト先輩。
ちょっと怒りすぎちゃったから
私の代わりに謝っといてね……」

「ちょっと待つわん!お姉さんは一体?」

レンの視界がグルグル回り始めた。

「大好きだったよ、レン……。タンポポの花を、ありがとう」

女性は瞳にぷっくりとした硝子玉のような涙を浮かべ
絡めていた手を名残惜しそうに離すと、レンはグルグルした世界に
吸い込まれるように消えていった。


――――――――――――――――― ……


ぽたりぽたり。

顔に何か滴る感触を感じるとレンはゆっくりと
瞼を開いた。

ぼやけた視界の先には顔を赤くクシャクシャにしたリンが
必死で何かを叫んでいる。

まだ混濁した意識の中で、レンは耳を凝らすと
どうやらリンはカイト先輩を罵ってる様子。
ここは、保健室でレンはベットの上に寝かされていた。

「もう、二人ともやめるわん。僕は大丈夫……だわん。いたた」

レンは頭に軽い痛みを感じたが
何とか起き上がると
その途端、リンはレンに飛び掛るように抱きついた。

「ほら、ちょっと気絶してただけよ。みんな、大げさね」
巡音先生がレンの瞼を指でこじ開け瞳孔を見ている。

おいおい泣くリンにちょっとびっくりしたが
大好きなリンに抱きつかれ嬉しいレン。
リンが絡めた体はやわらかくて、あたたかくて、優しい匂いがした。

(あれ、この感じ、さっきの夢?)

「ばかばかばか!レンのばか!お前なんか……、お前なんか―――」

その言葉の続きが気になるところだったが
威勢よく保健室の扉を開けてメイコが飛び込んできた。

「レン君!大丈夫―――!?あ~~~良かった!」

しかしそのままカイトを睨みつけメイコは見事な
ローリングソバットをカイトにキメる。

「ごふぅ!」
カイトは体をくの字にして壁に叩きつけられた。

「このばか!先生ゴメンナサイ!うちのバカたれが迷惑かけて」

メイコがぺこぺこと巡音先生に頭を何度も下げると
先生も「何事も無くて良かったね」とメイコに言った。

がばっとベットから起き上がりレンは叫んだ。

「そうだわん!カイト先輩タイムマシ……ん?」

先ほどのメイコの攻撃が凄まじく、今度はカイトが気絶していた。




「カイト先輩、大丈夫かわん?」

「生徒会長がついてるから……、とりあえずは」

レンとリンは並んで下校していた。

カイトはメイコのキックで気を失い、現在は
保健室で横になっている。

今度はメイコがポロポロ泣き出す始末で

「まあ、一度気がついたみたいだし、少し休んでから帰らせるわ。
あなた達はもう遅いから帰りなさい」

巡音先生がそう言ったのでリンとレンはメイコを残し保健室を出た。


「……くぅぅん」

「……ん、なんだ」

レンは突然リンに飛びついた。

「おわ!なんだ!お前突然―――」

「リン君!仲直りだわん!嬉しいわん!」

今回のドタバタ騒動でリンとレンはまた一緒になる事ができた。

「もう、なんだかドーデもいいや!」

「泣いてるリン君、可愛かったわん☆」

「のわ~~~~~~~~っつ!!」

「クラスのみんなに、リン君の可愛さを教えて上げるんだわん☆」

「わ~~~~、止めれ!頼むから!!」

「じゃあ、約束―――、守ってわん!」

「へ?……約束?」

レンはリンの耳元でゴニョゴニョと囁くとリンの顔は
みるみると赤くなった。

「お前!あんなの、まだ覚えていたのか!」

「わお!メンズブラ、貸してもらうだわん」

じゃれあう二人。
笑顔のレンを見てると
バカみたいなヤキモチ焼いた自分が恥ずかしかったが
また二人いっしょになれる事が
顔には出さないけどリンには嬉しかった。

そうだ、ずっとこのままで良い。

何時だって何時までも、二人は変わらないでいればいい。
リンは心の中で呟く。

夕焼けの帰り道、相変わらず子猫のようにじゃれあう
二人だったが、リンが道路に映る影をみて止まった。

「?どうしたわん?」

「い、いや、なんでもないよ」

「仲直りの記念にジュースおごるわん!」

「お前が?珍しいな?」

「アイスキャンディーソーダー茶って知ってるかわん?」

「なんだそれ?大丈夫なのか?若干不安だな」

「きゃははっ。まあ、一度は飲むわん☆」

おしゃべりしながら二人は、オレンジ色の道路を歩く。


リンはさりげなく振り向き、いつの間にか
自分より長い影を作ってるレンの影を

もう一度みていた。



【つづく】







管理人の、【かんぴょ】と申します。
創作やいろんな話ができたら楽しいですね。メンバーも募集中です。


★コラボ唯一の参加条件は「自己紹介」。必ずお願いしております。

★創作作品の投稿は、皆様のピアプロのページ・他の投稿サイト・当コラボでもOKです。
特に感想が欲しい作品があれば、掲示板『とりあえず~』『感想の間・凛』に申し出てください。

★メンバーの作品の感想を書いて下さる場合は、『感想の間・凛』のみを、お使い願います。
こちらは、相手の作品には敬意をもって接していただければありがたいです。
基本的には「ほめてのばす」方向で。
私も厳しい意見を言われると・・・泣いちゃいます(T3T)
手厳しい意見があれば作者に一度、掲示板等でかまいませんので「この部分に指摘があるのですが」等、コンタクトとってください。

★現在メンバーで行っている企画ですが、毎週、『お題』を決めて、おススメのボカロ曲を一人に一曲、掲示板で提案し話し合っております。もちろん、強制ではありませんので、参加できそうな時は是非とも書き込みお願いします。


★主な募集メンバー
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【小説読み手】*小説の感想など頂きたいです。
【絵本とかの作り手】*ポエムもイイですね!
【イラスト】*何かと頼もしい!
【その他】*何か特技があれば…
コラボ参加の条件・・・掲示板内で自己紹介をして頂きます。
それだけです。

一応、コラボの趣旨としては

・小説を書こう!
・ちやほや、しよう!
・ダメ出し、しよう!
・なんか、応援しよう!

だったりです。

ですので

これから書いてみたい!とか
イラスト書いてみたい!とか
読んで、冷やかしてみたい!など

そういうノリで、メンバーも募集します。

上手い下手は置いといて
長く楽しめたら良いなと考えております。

『うっかり長編を書いてしまった!けど、どこにもアップして無い』とか
『短編かいてみた!』とか
『童話とか、絵本っぽいのが書きたい』
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作品へのコメント1

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    ご意見・感想

    すごく切ない匂いがしますおおおお(TmT)

    2012/02/29 20:34:14 From  ya-mu

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    メッセージのお返し

    早速読んでくださり、ありがとうございます。

    学生時代の「すっぱい感」が醸し出せたらなと思ってます。



    2012/03/01 14:00:27 kanpyo

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