欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 16 『Conigilio bianco』

投稿日:2009/07/04 01:04:44 | 文字数:1,666文字 | 閲覧数:175 | カテゴリ:小説

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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章16話、『Conigilio bianco(コリーニョ・ビヤンコ)』をお送りいたしました。
副題は、『白兎』です。
凛歌の『欠片』達については、実はちょっと前に作中にヒントが出ております。
しかし、『白兎』であるパールについてのヒントだけは無しです。
さて、『白兎』とは一体、凛歌の『何』なのか。
乞うご期待、です。

それでは、ここまで読んで下さりありがとうございました。
次回も、お付き合いいただけると幸いです。

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TEXT
 

ひとしきり叫んだ誰かは、ほふっ、とため息をつく。
仰々しい演出が、自分で馬鹿らしくなったのかもしれない。

「本当につれてきたのか、アマル。」

こつん、と白いブーツが一歩、近づく。
首を捻って見上げると、白いワンピースの裾と、腰部にベルトで吊り下げられた玩具のように小さな二丁拳銃、淡いピンクのカーディガン、胸元にペンダントのように吊り下げられた懐中時計が眼に入る。
さらに視線を上に。
色素に見放されたような白い肌と、眼鏡に覆われた紅い眼。
凛歌に酷似した顔立ちが眼に入った。
さらに、視線を上げる。
頭部には、ひょこひょこ揺れる、白い兎の耳があった。
・・・・・・・・・・・・凛歌が動物の耳を好む理由が、ほんのちょっぴりわかった。

「何をぼさっとしているんだ?時間は呆れるほどに無い。」

「手厳しいのね、『白兎』。」

「当たり前だ。早くしてもらわないと、あの(以下、文部省により検閲削除)親父が月隠 凛歌の精神を完全に掌握してしまいかねない。いくらこの世界が無限に引き伸ばされた時を持っていようとも、時間は呆れるほどに無いんだ。さあ早く。早く早く早く。早く起きろ。立ち上がれ。」

立ち上がって見下ろしてみると、『白兎』と呼ばれた彼女は、凛歌に近い体格をしているようだった。
と、言うより、凛歌の髪と目の色を変えて兎耳をつけるとこうなる、といった方が正しい。
『白兎』は、視線をアマルにやっていて、こちらに注視していない。
悪戯心と好奇心から、白い耳に手を伸ばす。
ふにっ。

「ふぎゃっ!?」

ふにふにふに。

「う・・・うあ・・・ぁ・・・?」

ふにふにふに・・・ふにっ。

「あああああぅっ!やめろ!兎の耳は急所なんだぞ!?」

うん。
手触り最高。
しかも、ちょっと面白いかもしれない。
凛歌の動物耳好きの理由が、かなりわかった。
真っ赤になった『白兎』が、彼女自身より体格の小さいアマルの後ろに隠れるようにして、耳を両手で隠してこちらを伺っている。
よく見ると若干涙目だ。
ちょっと、やりすぎたかもしれない。

「2人とも、『白兎』の言葉じゃないけど、時間は呆れるほどに無いのよ?帯人はその悪戯をやめてあげて。『白兎』は早く状況を説明してあげて。」

アマルが腰に手を当てて仁王立ち。
ただし、姿が幼女のため、あまり迫力は無い。
『白兎』が、渋々と大理石の床に腰を下ろす。

「ボクは、『白兎の凛歌』。呼び名は・・・そう、『パール』とでも。」

『パール』・・・これも、凛歌が書いた二つの作品に出てきた名前だった。
いずれも、『白兎』に与えられた名前。
『西洋人の人名表を見て、ソレっぽい名前を適当につけた』と、凛歌が言っていた。

「君は、凛歌の『何』なの?」

僕が尋ねると、パールは言葉を詰まらせ、ふいとそっぽを向いた。

「そのうち判る。ともかく、この世界は『終わりゆく国のアリス』をベースに作られている。帯人、君は、これからこの世界の中で、凛歌の『欠片』を集めなければならない。」

パールが、自らの左胸・・・ちょうど、人間なら心臓がある部分に触れる。
そこが、ぼうっと光ったかと思うと、何かが、透けて見えた。
指をいっぱいに広げた掌くらいの大きさの、板のようなもの。
ちらちらと光を反射するそれは、鏡の欠片のように見えた。

「見えた?これが、凛歌の『欠片』。ボクたちは、『欠片』の方向性を体現するただの殻に過ぎない。いくつの『欠片』に分かれたのかは判らないし、もしかしたら、自分が『欠片』だという自覚が無いヤツもいるかもしれない。しかし、やるしかない。やるしかないんだ。帯人。」

パールが、紅い眼でじっと僕を見る。

「ワンダーランドにようこそ、帯人。このくそったれた、歪に狂った世界に、ようこそ。『欠片』達は君を歓迎するだろう。もしかしたら中には、手荒い歓迎をするヤツもいるかもしれない。・・・・・・正直、ボクは、『白兎』たるボクは、君に来て欲しかったけど、同時に、来て欲しくはなかった。」

日々妄想を文章にしています。

妄想・・・いえ、想像たくましいです。

甘やかされるよりは甘やかしたい人(だと自分では思っている)



(追記)
約一年ぶりに活動再会という名の復活を果たしました。
以前のような更新ペースは守れないかもしれませんが、見捨てないで下さると嬉しいです。
無言で消えて、申し訳ありませんでした。

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作品へのコメント1

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    その他

    まゆか様>
    コメントありがとうございます。
    期末テスト・・・懐かしいですねぇ。
    私も、数学の点数が悪くてパソコン禁止令を出されたことがありましたね・・・(遠い目)
    でも、1週間ももたずに堂々とパソやりはじめたパソコン依存症のジャンキーは私でございます。
    パールに萌えてくださってありがとうございます♪
    そんなに言って下さると・・・アリスが増長しますよ?
    それでは、乱文失礼いたしました。
    次回もお付き合いいただけると幸いです。

    2009/07/05 00:50:44 From  アリス・ブラウ

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