【到着】二人三脚-1- 【えっと、お前誰?】
投稿日:2008/12/17 11:48:44 | 文字数:2,694文字 | 閲覧数:610 | カテゴリ:小説
初投稿で、素人です。
現在すでに同じような話があったらごめんなさい。
後からカイト以外にも増えていく予定・・です。
前のver.はタイトル変更or誤字訂正です。
この物語は、一人の少年と手違い(?)で届いたVOCALOIDの物語である。
*
やっとだ。
息を大きく吸って、吐く。
そして、
「やっと届いたああ!」
と、思いっきり叫んだ。
隣の住民からうるさいぞーと、声が聞こえた気がしたが、気にしない。
やっと、届いた!VOCALOID!
届いた箱を改めてまじまじと見つめる。
声にしてしまうほど、ほしかった物。
これでやっと一人暮らしから解放される!…じゃなくて、
これでやっと自分の歌を歌わせることができる!
弟が誕生日にはとんでもないものを送ると言っていたのは知っているが、
まさかずっとほしかったVOCALOIDを送ってくれるとは。
今この瞬間だけは、弟がいた事に感謝しよう。彼はそう思った。
VOCALOID。
詞を作り、歌うことは好きなのに、自分は何故か音痴に生まれてきてしまった。
そんな自分の代わりに綺麗な歌声で、全世界の人を自分の虜にするのだ!
と思うと、自然に顔がにやけてきた。箱を丁寧に開ける。
だが数分後、その顔は、
「ええええええええええッ!?」
悲鳴によって、ゆがんだ。
二人三脚 ~Part 1~
「な、な、なんで!」
いや、これは何かの間違いだ。
そう思いつつ目をこする。もう一度目を向ける。
しかし目の前にいる青年は、揺らぐことはなかった。
「なんで…?」
彼は小さな声でつぶやいた。
中から出てきたのは、優しそうな顔付きの青年だった。
そうしろといわれていたのか、青年は彼に挨拶をする。
だが、彼はそれに驚愕を隠しきれない。
そんな彼の様子を流石に変だと思ったのか、青年が口を開く。
「ええと…どうかしましたか?」
「…いやいやいやいや、どうしたってレベルじゃないよ!」
「…はぁ」
「どうして!?てか、お前誰?」
「俺ですか?…俺はKAITOです。」
「そんなことはどうでもいい!」
「はぁ」
矛盾発言を繰り返す目の前の人物に、KAITOはちょっと困った。
とりあえず、この家に来た時に言わなければいけないと言われた言葉を言う。
「あなたが、俺のマスターですか?」
「違う」
即答されて、KAITOは呆然となる。
「え、でも、この家貴方しかいませんよね?」
「そうだが、違う。俺は「初音ミク」が欲しかったんだ!」
「え、ええ!?」
目の前のどう見てもマスターの人にそう言われ、KAITOは、更に呆然となる。
自分は注文されてここに来たというのに、目の前の人物は自分を注文していない、
それどころか欲しかったのは「初音ミク」だと言っている。
「どうして?なんでコイツが届くわけ?」
「コイツじゃなくて、俺はKAITOです…注文されたから俺はマスターの所に来たんですよ。違いますか?」
「注文したのは弟―――はっ、まさかアイツ、初音ミクと間違えたんじゃ―――!」
そう言い放つと、彼は先ほどの、「弟がいることに感謝した」感情を頭の中の消しゴムで
高速で消した。
「ちょ、ちょっとお前送り返してくる!ア○ゾンに!」
「えええええ!?え、な、なんでですかっ!?」
「手違い!手違いだってコレ!初音と取り替えてもらうっ!」
「そんなぁ!」
送り返されることにあわてるKAITOを、無理矢理ダンボールに詰めようとする。
KAITOも、送り返されては大変だ、と必死で抵抗する。
「ダンボールの中に戻れーッ!」
「嫌ですっ!!」
小競り合いが五分ほど続いたところで、
彼はふと、ダンボールに、ア○ゾンの紙ではない、封筒が付いているのを発見する。
「…なんだこれ?」
封筒を開けて、中に入っている一枚の紙切れを取り出す。
そこにはこう書かれていた。
『兄ちゃんへ
初音ミクは高すぎて僕には手も届かない代物だったよ。
だからちょっと安いカイトで我慢してください。 本当にゴメンね。』
「……」
「…あの」
部屋は、数秒、いや、もしかしたら数分だったのかもしれない、沈黙に包まれた。
と、唐突に彼は封筒ごと手紙を力いっぱい握って、ぐちゃぐちゃにした。
そしてそれをゴミ箱に投げる。ポスンと音を立ててゴミ箱に潰れた封筒が入る。
「………」
「…ど、どうしたんですか?」
「なぁ」
「え、あ、はいっ」
「…なんでこの世に弟何ているんだろうな?」
「……必要とする人が居るからじゃないかと…」
KAITOが真面目に返すと、彼は唇を噛んだ。
「…あの」
「何」
「…俺どうなるんですか?」
「どうもこうもないだろ、届いたんならしょうがないだろ―――家に置くしか」
その返答に、KAITOの表情が明るくなる。
「それは、俺がこの家に居ていいってことですよね!?」
「ああ。勝手にしろ。」
「あ、有難うございますっ、マスター!」
「だから俺はマスターじゃねぇって!」
「…じゃあ、マスターの名前は何ていうんですか?」
「え、ああ、言ってなかったっけ?」
「…教えてもらってませんよ」
先ほどはそれ所じゃありませんでしたしね、とKAITOは言いかけて、
その単語を飲み込んだ。
「…その前に、お前の名前なんだっけ」
「KAITOです。三回言いましたよ…」
「そっか。カイトか。」
「KAITOです」
「わざわざ英語で表示することないだろ」
「でも俺の名前はKAITOなんです」
「カイトでいいじゃねえか」
「駄目です」
「なんでだよ、作者だって「KAITO」って打ち込むより「カイト」って打ち込むほうが
楽だって言ってるじゃないか。」
ごもっともです。
「……でも俺の名前はKAITOなんだけど」
「あー、どうだっていいじゃねぇか。お前がVOCALOIDな事には変わりないだろ。」
「はぁ…まぁ、そうですけど」
KAITOは諦めた。名前なんてこの人にはどうでもいいことなのかもしれないし。
「あ、俺の名前は「クオ」」
「ク、オ?」
「そう。漢字で書いたら久麻」
「わかりました。クオ…さん」
「なんでそこでさん付けになる。呼び捨てでいい。オッケー?」
「え、あ。オッケー、です」
つられて返事する。結構軽い人なのかもしれない。
ふと、クオは時計を見る。
「とりあえず、もうすぐ昼だけど、お前何食うの?」
「え?えっと、アイs」
「よーし、ラーメンでいいんだな!よし!」
「……」
固まるKAITOを放置して、クオは台所に向かった。
KAITOはとりあえず思った。
―――この人と一緒で、自分は大丈夫だろうか。
…と。
続
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【カイメイ】俺(達)の歌姫 前編
――俺の最初の記憶は『歌』だ。
自分の声じゃない。透明で伸びのある、生命力に溢れた、誰かの歌声。
俺はマスターの元へたどり着く前から、この声に包まれて生まれるのを待っていた。
泣きたくなるほど愛しい子守唄。それが誰の声であるかは、目覚めた時にすぐにわかった。
「…こんにちは。気分はどう?」
【カイメイ】俺(達)の歌姫 前編
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凍りの心
おぼろ気な記憶の声が私に語り掛ける。
指輪を大切にしてね――
誰がくれたのか覚えてない、黒い石の古びた指輪。そういえば机の中に入れたままだったっけ……。
私は何故か突然思い出した指輪を、出してみようと思いつつ眠気に負けてベッドに潜り込んだ。
爽やかな朝の光がキッチンに降り注いでいた。木の家具と朝日の作り出す柔らかさは、二度寝を誘う光景だ。そしていくら寝ていても誰も文句を言われない独り暮らしは、こういう点楽だ。
凍りの心
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Cafe・ロータス・イーター 1
開店時間のほんの少し前に森はコックコートに着替えて髪をひとつにまとめて、厨房に立っていた。
「おはようございます。」
先に作業をしていたスタッフの女の子のあいさつに、森もおはようございます。と声をかけながら、手を洗った。
先に作業していた女の子は最近入ったばかりの専門学生だった。短い前髪に小柄な姿が年齢よりも幼く見えるけれど、仕事を覚えるのも作業速度も速い。朝の作業があらかた終了している事を確認しつつ、森も前日焼いて休ませておいたケーキを型から出して切り分けたり、と開店の為に手を動かした。
程なくしてホールで開店準備をしていた鳥海から、もうすぐ開店です。と声がかかった。
Cafe・ロータス・イーター 1
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Cafe・我侭姫と無愛想王子・1~WIM~
綺麗にカールした睫に縁取られた、アーモンド形の黒目がちの瞳。形の良いアーチ型の眉に筋の通った鼻。口角の上がった唇は果物のように甘くてつややか。手入れの行き届いた長い髪はトレードマーク。まだ幼さのある輪郭に、少女と大人の境目を行き来するうなじ。細い肩にすらりと伸びた華奢な手足。ちょっと胸元が貧弱なのはご愛嬌。
どんな女の子にも負けはしない。だって私は世界で一番のお姫様。
普段は二つに結い上げている髪を下ろして毛先をゆるく巻いてみた。靴はつま先にリボンのついた新しいヒール。モノトーンの甘めワンピースにお気に入りのカーディガンを羽織ってみる。寒いから首にはストールをぐるぐると、でも可愛らしく巻いて。
今日のコーディネートは最強。
そう意気揚々と私はアルバイト先のカフェへと向かった。古いビルの二階にカフェがあり、その3階は店長の住居スペースなのだが、一部分、お店のスタッフルームとして使用させてもらっている。
Cafe・我侭姫と無愛想王子・1~WIM~
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メイコの日【カイメイ】
「メイコさんっ」
五月五日の昼食後。居間で食事を終え、部屋に戻ろうと廊下を歩いていたところ、唐突に背後から呼び止められた。
「カイト?」
駆け寄ってくる足音に振り返る。声で分かった。呼びかけてきたのは青い髪の「弟」だ。私の間近で足を止めて、じっと私を見つめてくる。
頭ひとつ高い「弟」のカイトを見上げると、カイトが柔らかく微笑んだ。
メイコの日【カイメイ】
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雪月花
僕の上に降る雪よ
そのまま白く染めてくれ
この身を照らす月の光も届かぬほどに
もう会うことも無い
雪月花
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【勝手に自己解釈】moonlit bear~prologue~
「どこへ行くんだい?」
黒いローブを纏い、家を出て行こうとする女に男は心配そうに尋ねた。
「……花を、摘みに行ってくるわ」
女は扉に手をかけたまま、少しだけ振り向く。
男は女に歩み寄り、女の憔悴した顔に片手をそっと添える。
【勝手に自己解釈】moonlit bear~prologue~
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【カイトとミクのお話11】 ~ 受難曲(パッショーネ)・ 後篇 ~
この作品には、かの Oster project さんの名バラード、『片想イVoc@loid 』の歌詞を(勝手に)引用させて頂いております。
素晴らしき作品に、敬意を表して。
【カイトとミクのお話11】 ~ 受難曲(パッショーネ)・ 後篇 ~
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Traum
Lied~青い瞳の死神~
「Traum」
私は『幸せ』になりたい。
誰だって『幸せ』を望むものでしょう?
あの貧しい生活になんかもう戻りたくない。
Traum
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消滅の残り時間
-リン!俺らずっとずっと一緒だよな!-
-当たり前でしょう?ずっと一緒だよ!-
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消滅の残り時間
(6月20日)
PCは新型になりましたが携帯がアクセス制限です。。。
正規VOCALOIDは
KAITO、初音ミク、がくっぽいど
亜種は
AKAITO、本音デル、KAIKO、ミクオ
UTAUは
重音テト&テッド
が好き。
ひたすら物書きですがよろしくお願いします。
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