欠陥品の手で触れ合って・第二楽章 19 『Base』

投稿日:2009/07/10 02:18:05 | 文字数:1,798文字 | 閲覧数:195 | カテゴリ:小説

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欠陥品の手で触れ合って・第二楽章19話、『Base(バーセ)』をお送りいたしました。
副題は『根底』、『基盤』です。
さて、ここでようやく、凛歌が帯人に何をさせたいのか出てきました。
と、言うか、配分ミスで今回説明が集中しており、ひたすらダイナが喋っているだけの内容となっております。
(ホントは半分くらいはエントランスにいる段階でパールに喋ってもらう予定だったのに、帯人が耳をふにふにし始めるから予定が・・・っ!)

それでは、ここまで読んで下さりありがとうございました。
次回も、お付き合いいただけると幸いです。

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TEXT
 

「見えたか?少年。」

気がつくとダイナが、真正面から僕の顔を覗き込んでいた。
僕の掌の中には、変わらず黒緑色の卵がある。
しかし、その卵は僅かの間に存在感を増したような気がしていた。

「アレが、当面の敵だ。月隠 凛歌にとっては、非常に分の悪い相手となる。・・・・・・少年よ、アマルはどうやって、お前の精神を見つけたと思う?」

言われて、考えこむ。
過去からの知識は、どうもまだ接触が悪い。

「『魔眼』・・・。」

ぽつり、と呟いたそれに、ダイナが頷いた。

「それも、要因のひとつだ。月隠 凛歌は、特殊な『魔眼』の持ち主でな。全ての因果に繋がる『糸』を見ることが出来る。まだまだ不完全ではあるがな。しかししかししかし、それだけではないぞ、少年。それだけでは不足だ。『魔眼』で『糸』を見ただけでは、大まかな方向こそわかるが、井戸を特定するには足りぬ。少年よ、君は、魔術的な意味で月隠 凛歌に連なるものを、持っているだろう?」

ダイナが、白い人差し指を伸ばして、僕の左手を指差す。

「月隠 凛歌の名を刻んだ指輪と。」

指先がつい、と動いてポケットを指した。

「月隠 凛歌の血を受けたアイスピック。そして、君自身も凛歌の血を啜っている。名前と血は、強力な呪物となりえる。故に、魔術師は魔術戦を行う際には敵に自分の真名を知られぬように『魔術名』を用いる。魔術師としての名を己につけることで、真名を隠し名とするのだよ。しかし・・・・・・。」

ダイナが口を噤み、大仰な仕草で肩をすくめた。

「敵・・・『悟道 上近』は月隠 凛歌と血の連なりのある父親。と、いうより、アレの血から月隠 凛歌は誕生している。父親であるから、当然真名も握られている。最悪だ。最悪という言葉は滅多に使うものじゃないが、この場合は最悪と言うほかない。対する凛歌は、自分の父親の本名すら知らぬ。『悟道 上近』は恐らく偽名であろうよ。『悟道』は『GODO』ドイツ語で『神モドキ』、もしくは『神に近き者』。『上近』は本来、神様に近いと書いて『神近』にする予定だったのだろう。」

それが本当なら、物凄く傲慢なパーソナリティが伺える。
流石は、凛歌の父親と言おうか。

「・・・・・・今、物凄く失礼なことを考えなかったか?少年よ。」

憮然としたダイナに、慌てて首を振る。
よく見れば、アマルとパールも、半眼でこちらを見ていた。

「ふん、まあいい。そこで、凛歌が君を呼んだ事情に移る。悟道は、凛歌が反抗的なのを確認したうえで、再教育・・・要するに、洗脳しようとしていたのだよ。凛歌は当然そのことを予測した上で、自分が敵の手に落ちてから3日、悟道が洗脳の準備を整えるまでのギリギリの時間までに脱出できなければ君を眠らせるように叔父御に頼んでおいたわけだ。本人に了承を得ていない場合、眠った状態以外の精神に入り込もうとすれば困難を極めるからな。3日のうちに脱出できればよし、今回のは、あくまで最終手段なのだよ。」

3人の怒りの矛先がそれたようで、ちょっと安心。
どうもこの状況は、凛歌が複数いるような気分になって、困る。
主に、機嫌を損ねないかという方向で。

「さて、少年。君には、『欠片』の意味をここで知ってもらう。ひとつは、時間稼ぎ。凛歌の中の悟道に近しい部分をそうではない部分から分離し、『汚染』の進行を少しでも遅らせようという試み。もうひとつは、インプリンティングだ。」

「『刷り込み(インプリンティング)』?」

問い返すと、ダイナは満足気に頷き、いつになく強い眼でまっすぐに僕を見る。

「そう、インプリンティングだ。バラバラに分割された『欠片』は、剥き出しの感情とも言える。少年よ、君は、その剥き出しの感情を説得し、手懐けろ。月隠 凛歌という存在を、掌握しろ。騙しても言い包めても力づくでもいい。月隠 凛歌という存在の、拠り所となれ。基盤となれ。根幹となれ。月隠 凛歌が、自ら認めた存在に掌握されたとき、上書きは非常に困難になる。月隠 凛歌の根底を支える、唯一無二の主となれ。」

ふーっ、ふーっ、と荒い息をつくダイナ。
僕を見る目は、なんだか『これからちょっと死んでくれ』とでも言いた気な、切羽詰った印象を持っていた。

「・・・・・・月隠 凛歌がそれを任せてもいいと思えるのは、後にも先にも君1人だ。」

日々妄想を文章にしています。

妄想・・・いえ、想像たくましいです。

甘やかされるよりは甘やかしたい人(だと自分では思っている)



(追記)
約一年ぶりに活動再会という名の復活を果たしました。
以前のような更新ペースは守れないかもしれませんが、見捨てないで下さると嬉しいです。
無言で消えて、申し訳ありませんでした。

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