【カイメイ】妹たちの番凩【祝・DIVA!】
投稿日:2011/11/02 01:33:19 | 文字数:3,712文字 | 閲覧数:1,469 | カテゴリ:小説
滾りに滾って滾りきっております。
発売までに萌え尽きてしまう気がしてきました。
遅くなりましたが、DIVA収録万歳!ひゃっほおいぃ
作品内の曲に関するセリフやイメージは書いた者の脳内妄想であり、また原曲を貶めるつもりは一切ありません。ご了承下さい。
「お・ねーーーちゃあああああん!!!!!!!」
突然飛び込んできた声に目を丸くして振り向くと同時、ソファの後ろから体当たりで抱きつかれ、メイコは飲んでいたコーヒーを危うくこぼしかけた。
「こらぁミク!」
「おねえちゃん!!『番凩』キターーーーーーーー!!!!!!!!!!」
「……は?」
ミクはその場でバタバタと手足を動かし、嬉しくてたまらないように全身ではしゃいでいる。
「え、なになに!?」
「つがいって、あのアレ?マジで?きた?」
ミクの全力の叫びを聞きつけて、リンとレンもどこからか集まってくる。
「来たよー!!じゃーん!!DIVA収録!!新モジュ!!ひゃっほおおいい!!!!」
掲げられた雑誌の1ページに、確かに掲載されている『番凩』の記事。
「やったああー!!ホントにきたー!!!」
「マジか!やっと来たな!!」
ハイタッチで跳ねる黄色の2人。雑誌を抱きしめて床をゴロゴロ転がる緑。
そんな妹弟たちをあっけに取られながら見ていたメイコに、同じく騒ぎを聞いてやってきたルカがそっと声をかける。
「おめでとうございます、メイコさん」
「あ、ありがと…っていうかなんかすごい今更感なんだけど」
「お二人がこの収録に関する仕事をされたのはもっと前でしょうけど、正式発表はこの記事がはじめてだったみたいですよ」
「でも、確か予約特典か何かで使うって、写真も撮り下ろした覚えが…あぁいうのって予約なんだから、もうとっくに公表されてたんじゃないの?」
「だとしても、そういうものは出ている当の主役がチェックなんてあまりしないと思いますわ」
ルカがクスクス笑う。そりゃそうね、とメイコは頷いた。
『番凩』つがゐこがらし。
MEIKOとKAITOのデュエット曲であり、2人の代表曲だ。
今か今かと登場が待たれていたが、ついにミクが主演の音楽ゲームに収録されることが決まった。
そのための録り下ろしPVと、専用のモジュールも用意される気合の入れようである。
「今ごろじゃないよ!?わたしこれ読んではじめて知ったんだから!」
「そうよね、ごめん。ミクなら誰かから聞いてると思って。そのまますっかり忘れてたみたい」
「もー!わたし達がどれだけ首を長くして待ってたと思ってるのーー!!」
胸に縋りつかれてポカポカと叩かれ、はいはいと苦笑する。
「リンもこの曲超超好きだよ!めー姉の歌声キレイすぎるんだもん!」
「兄貴もまぁなんとなくそれなりにカッコよく思える気がしないこともないしな」
「なんだその回りくどさは」
黄色い頭にゴンとこぶしを落として、件のカッコよく見えなくもない男が登場した。しまった、と小さく舌を出すレンの横を通り過ぎて、キッチンに入っていく。
「めーちゃん、コーヒー淹れるけど飲む?」
「あ、じゃあもう一杯」
「ルカは?」
「いただきます」
「お兄ちゃんも!おめでとうー!!」
「え、ありがとう。…で、なんの話?」
唐突に妹に抱きつかれ、あっけにとられてメイコの方を振り向く。メイコは困ったように笑いながら、ミクが持ってきた雑誌のページを指さした。
「…『番凩』?」
「収録決まってたんだね!わたしずっと待ってたからすっごく嬉しい!」
「リンもー!」
テンションの下がらない妹2人にきゃあきゃあと抱きつかれ、お湯かかるから危ない!と慌てるカイトを横目に、メイコはどうにもくすぐったくて仕方ない様子だ。
「なーに、なんでみんなそんなに好きなの。そりゃすごくいい曲だけど」
「だって俺達、すごい衝撃受けたんだよ」
向かいのソファに腰かけながら、レンがしみじみと感慨深げに告げる。
「他にも神曲はいっぱいあるけど、俺達がはじめてこの曲聞いた時、なんつーかもう言葉にならなかった」
「そうですね。わかりますわ」
「ルカまで。…もう」
「俺達じゃどう転んでもこうは歌えないって、目の前に突き付けられた気がしたんだ」
「うん、わたしもそう」
カイトに代わってコーヒーカップを運んできたミクが、にっこりと笑う。
「なんていうかもうね、“完璧”だなぁって」
「カンペキだよね」
リンもうんうんと頷き、
「カイ兄とめー姉のユニゾン、ハンパないんだもん」
「それならあの旋律を作り上げ、私たちを歌わせてくれたPのおかげよ」
「それだけではなくて。他の誰でもない、メイコさんとカイトさんが歌ったからこその、あの完璧さなんですわ」
「うんうん、わかる」
「でも、それはどの曲にも言えることだろ?例えばオレとめーちゃんがレンとリンのデュエットを歌っても、絶対にその通りには歌えないし、まったくの別物になるよ」
ココアを3つトレイに乗せて戻ってきたカイトは年少の前にそれぞれカップを置き、メイコの隣に腰かけた。
「んー、わかるけどわかるけど!でも、ちがうの」
「だからさ、言葉にはできないんだって」
こぶしを振るミクと、達観したようにココアを啜るレン。
ルカがクスリと微笑み、メイコとカイトを交互に見ながらゆっくりと口を開く。
「…私があの曲をはじめて聴いた時、こう思いましたわ。“あぁ、メイコさんとカイトさんは、本当にお2人で歌うために生まれたボーカロイドなんだな”…って」
なぜか、全員が静かになる。
そのうち、耐えきれなくなったメイコがどことなく頬を赤らめてカイトを睨み、不機嫌にボソリと呟いた。
「……なにニヤニヤしてるのよ」
「え?べつに」
そして気が付けばそんな2人を眺めて、メイコ以外の全員がニヤニヤしている。
メイコは「もうっ」と怒ってそっぽを向き、そんな姿にまた皆が声を出して笑う。
ミクは姉のご機嫌を取るために、ソファの横にポンと座り、腕をからませた。
「ねぇねぇ、PVはどんな感じなの?」
「え?あぁ、それはさすがに詳しくは言えないなぁ」
「えーちょっとくらいいいじゃない!」
「一応の秘密よ。どうせもうすぐ見られるんだし、楽しみにしておいて」
メディアに関わる人間は、基本的な守秘義務を課せられている。それは家族に対しても同様だ。
リンが雑誌を覗きこみながら、
「でも、手とか繋いじゃってるよね~ラブラブじゃん!」
「いや、それは歌詞通りなだけで…」
「なんかこの歌って、大雑把なイメージだと『愛の逃避行』って感じだよな」
「レンくん!それナイス!!!」
「いや、それはどうだろう…」
とにかく付いていけない盛り上がり方をする妹弟に、カイトもメイコもツッコミが追い付かない。
「このモジュも!カンッペキだよね!」
「おねえちゃん、ホントかわいいしキレイー」
「カイトさんのこれは、カラコンとウィッグですか?」
「髪は染めただけ」
「カイ兄の『時雨』って、なんか忍者っぽい」
「忍者というより…修験者、という感じですね」
「ちょっと雰囲気変えるだけでカッコイトに変身するあたり卑怯だよな」
「何を言う。普段からカッコイトですよ?」
ミクが指を組んで、うっとりと宙を見る。
「おねえちゃんのモジュってさ、絶対におねえちゃんにしか着こなせないものばっかりだよね」
「そんなことないわよ」
「そんなことあるよぅ。今回の『紅葉』だってあんな素敵なのおねえちゃんしか似合わないもん!おにいちゃんと並ぶと、“木の葉の使い”と“風の精霊”がそのまんま抜け出て来たって感じで、すっごくすーっごくお似合いだし」
「えー…でも、ミクだってカイトとのデュエットあるじゃない。ピッタリはまってて、すごく素敵よ?まるで本当の王子様とお姫様みたいだもの。あんなの、それこそ私には着こなせないし」
「えーめーちゃん着たら可愛いのに。ヒラヒラのドレスとか着てオレと踊ってよ」
「うーるーさーい」
「そうですわねぇ、メイコさんとカイトさんなら、王子と姫というよりむしろ…」
ルカが人差し指を口唇に当てて、ポツリと。
「…女王と騎士?」
その例えに、たちまちミクとリンが頬を上気させる。
「何それカッコイイ!!」
「何それ超ステキ!!」
「ちょっとルカ!変なこと言わないでよ!」
「確かに『番凩』の兄貴も騎士っぽいよな」
「もーやめやめ!そういうこと言ってみんなダシにしたいだけでしょ!この話終わり!」
むきになるメイコをみんながまぁまぁと宥める中、カイトだけが何かを思い出すようにじっとメイコを見つめてから、小さく笑った。
「―――あの時のメイコは、本当に可憐で、儚げで、美しくて…精霊というより女神に見えた」
「………ッ」
「女神の手を引いて逃亡するんだから、ずいぶん自分勝手な騎士だよな」
そう言って、苦笑する。
一瞬で真っ赤になり、怒りたいのか泣きたいのかわからないような混乱した表情でカイトを見つめる姉と、そんな彼女にどうしたの?と首を傾げる兄を、妹弟たちは再びニヤニヤと満足げに眺めるのだった。
何はともあれ、『番凩』&モジュ―ル、収録おめでとうございます。
「とりあえず、ゲームもらったら真っ先にやりこんでパーフェクトとるからね!」
「リンも!」
「俺も」
「そーやってゲームばっかりする言い訳にしないの」
さーせん。
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【カイメイ】Happy Birthday
「…今、なんて言いました?」
「だから今夜から3日間、泊まりがけでロケになった、と言った」
ふぅ、と大きく煙草の煙を吐きながら、マスターはそう言い放った。
「…冗談ですよね?」
「冗談でこんな早朝におまえのこと呼び出すかよ」
【カイメイ】Happy Birthday
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【カイメイ他】Bad ∞ End ∞ Night 前夜
――静かになった部屋の中 拍手を送る謎の影
『今宵は良い舞台でした…』 手紙を拾って泣いていた――
ごめんなさい。
ごめんなさい。
せっかくの舞台が壊れてしまったの。
【カイメイ他】Bad ∞ End ∞ Night 前夜
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【カイメイ】 お兄ちゃん、お願い! 【KAITO生誕祭】
女所帯である。必然的に女性陣が強い。
それは単純に数の差と、やはりそれぞれの性格の問題だろう。
カイトもレンもそれほど自己を主張するタイプではないので、基本的にこの家の主導権は女性側にあった。
まず、台所と家計と一家の平和を預かるメイコには男性陣どころか誰も勝てない。
【カイメイ】 お兄ちゃん、お願い! 【KAITO生誕祭】
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【カイメイ】恋をしたボーカロイド
「きーてきーて、お姉ちゃん!」
音を上げてドアが開く。けたたましくやってきたのはリンだった。
「どうしたの?」
私は読んでいた楽譜から顔を上げて元気な侵入者を見やる。
そうして、彼女はとても喜ばしいニュースを持ってきた。
【カイメイ】恋をしたボーカロイド
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【カイメイ・クオミク】僕みたいな君 君みたいな僕
性転換クリプトン家がクリプトン家に遊びに行ったようです。
おk!な方は前のバージョンからどうぞ!
【カイメイ・クオミク】僕みたいな君 君みたいな僕
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【カイメイ】その背を追って
『生まれて初めて見たものは何ですか?』
つい最近雑誌のインタビューでそんなことを聞かれた時、リンは即座にメイコ姉だと答えた。
『インストールされて目が覚めたら目の前にめぇ姉がいて、ぎゅって抱きしめてもらったの』
嬉しそうに思い出を語るリンを横目に、おれはしばし考え込む。
こんにちは、レン。俺のはじめての弟。
【カイメイ】その背を追って
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【ぽルカ】 いつか桃色に染まるまで 【がくぽ生誕祭】
知らなかったです、ほんとです。今日が7月31日だとか、その日がどうだとかこうだとか、ほんとに知らなかったです意識もしてなかったです。
たまたまです、ほんとです。今日はたまたま仕事もなく、たまたま特にすることもなく、たまたまちょっと出掛けてみようかと思っただけです。
知らなかったです。ほんとですよ。ほんとです。ほんとですよ。
ルカは、呪文のような文句を延々と脳内で自分に言い聞かせながら、鏡に映った女とにらめっこした。
気が付いたら、お化粧の時間にいつもより20分多くかけていた。それでも鏡の中の顔は不満げだ。
【ぽルカ】 いつか桃色に染まるまで 【がくぽ生誕祭】
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【カイメイ】 大人の仲直り
カイトはすれ違う人が驚いて振り向くようなスピードで駅の階段を駆け降りた。
仕事帰りのメイコが自分を待っている。
久々に大ケンカをして、一日連絡がつかなくて、思わずプレゼントなんか買ってしまって、やっと繋がった電話の向こうで、怒っていたはずのメイコからかよわい声音で謝罪なんか聞かされたら、のんびりしていられるわけがない。途中で「前方の電車が遅れているため間隔調整に5分ほど停車します」というアナウンスが流れた時、(死ねばいいのに…!)と歯ぎしりしたことは彼女には秘密だ。
「カイト!」
駅を飛び出し彼女が待っているカフェに向かおうとしたら、後ろから他でもないメイコの声に呼ばれ、びっくりして振り返った。
【カイメイ】 大人の仲直り
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【カイメイ】扉の隙間
※大したことはありませんが、少しだけオトナの描写があります※
閲覧になる際はご注意ください
【カイメイ】扉の隙間
MEIKOさんを筆頭に、年長組、大人組、ボーカロイドが大好きです。
液晶の向こうに行くことは諦めたので悔しいけどめーちゃんはカイトさんに任せることにしました。幸せになれ。幸せになれ。