「夏空」小説/第七話

投稿者: usericonルナリーさん

投稿日:2020/07/27 19:29:43 | 文字数:3,492文字 | 閲覧数:82 | カテゴリ:小説

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ありがちな展開の回。

ミークさん、グミーさんの労力を体感するため、

実際に作中に出てくる「ビタミン」と言う曲を、

作ってみました。

この小説が終わった頃にアップするかもしれません。

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TEXT
 

 吹奏楽の編成を思い出し、まず要るのはリズム音だよね…と思いながら、ピアノの低音で適当なリズムを弾く。
 デドンデドンと単音鳴らしてみたが、ほのぼのはしていない。ほのぼのしたリズムってどんなのだ? と考えながら、ポーンポーンと鳴らしてみる。
 音の厚みと言うものを出すなら和音のほうが良いよねぇと、誰にとなく頭の中で問いかけて、3コードをダンダンと鳴らしてみる。
 そこで、単純にピアノの低音を「ダン・ダン・ダン・ダン」と四拍子で鳴らしながら、高音を弾いてみた。
 なんとなくそれっぽいものが出来て、忘れないように暗記するまでその箇所を弾いた。
 ライ麦パンをかじりながら、グミーが戻ってきた。
「意外と原形出来てんじゃん。どうにもならないかと思ってたら」
と言われて、本当に「放りだされていた」のだと分った。

 グミーとの丸二日の作曲作業で、私の最初の作曲物「ビタミン」が出来上がった。
 其処から歌の練習が始まって、グミーが歌ってくれた仮歌をクリスタルフォンに録音した物を聞きながら、歌詞と歌メロを暗記するまで歌い続けた。
 C4付近の音を歌って居るグミーの声は、少女が囁いているような甘い声をしている。
 この声が、私の喉から出れば、どんなにうれしい事やらと思いながら、私には私の持ち味があると念じて、とにかく元気に歌って居た。
 そして「弾きながら歌う」練習が始まって、此処が一番の難所だと分かった。リズムに言葉が引っ張られそうになったり、手で弾いてる音と言葉で発してる音の違いに戸惑ったり。
 「弾きながら歌う」練習には、一ヶ月ほど費やしただろうか。
 学校の休み時間にだるそうにしていたら、ゆかりんが話しかけてくれた。
「ミーク。部活辞めたのに、なんか忙しそうだね」
 私は机に両腕を預けたまま、頭だけ起こした。「うん。ちょっとした修業をしててね…」
「習い事でも始めたの?」
「そんな感じ」
「なんの習い事?」
「弾き語り」と、私は素直に答えてしまった。
「え? 何。音楽やってんの?」と、ゆかりんは食い付いてくる。
「内緒でね」と言ってる時点で、内緒ではなくなっているものだ。
 その年の文化祭実行委員だったアカリーが、私に「弾き語りを披露してくれ」と頼み込んでくるまでに、時間はかからなかった。
「まだ一曲しか持歌ないし、普通のミュージシャンの曲じゃないよ?」と断ったが、余興の参加者が少なくて困っているらしい。
 アカリーに拝み倒され、私は文化祭への参加を引き受けた。
 その日のうちに、ルーラーでグミーに「文化祭で弾き語ることになった」と言ったら、「おめでとう。第一歩じゃん」と返事をされた。
「一曲だけじゃカッコつかないから、もう一曲作りたい」とルーラーを送ると、グミーは「OK。私も、まだ予定空いてるし」と答えてきた。

 文化祭へ向けて、学校中が華やぎ出す。
 学級には出店や展示物が並び、ステージにはスポットライトが当たる。
 私は、初めての「イベントでの演奏」に、口から胃が出て来そうな緊張感を感じていた。
 何せ、相手が猫とは言え、クラスメイトや他学級の生徒達が見守る中で、ラブソングを歌わなければならないのだ。
 私の前に、カラオケやダンスを披露する生徒達が居て、それから、「次は、ミーク・ハツネさんの弾き語りです」と、司会の人が紹介してくれた。
 舞台袖からステージに上がり、ピアノに近づく前に、聴衆のほうを向いて一礼する。
 口笛と拍手が起こった。
 ガチガチに緊張したまま、ピアノの椅子に座る。深呼吸をして、おへその下に力を入れ、背筋を伸ばして肩の力を抜く。
「私の家の、猫の事を歌った曲です。『ビタミン』」とマイクに言って、鍵盤を叩き始める。
 ファルセットには届かない高音の歌を、喉を傷めないようにしながら歌う。
 グミーの声には到底及ばないけど、私は私なりの「ビタミン」を歌い切った。お愛想程度の拍手をもらい、少しニヤニヤした。
 それから、「この文化際に向けて、追加で作った曲です。『ハレルヤ』」と紹介して演奏を始めた。
 この曲は、急ぎだったので、私の作った旋律に、グミーが詞をつけてくれたものだ。

「手をつないで夕暮れを歩く
 君はいつも僕を連れて行く
 まるでおとぎばなしの世界
 千夜一夜は本当の事さ

 静かの海から列車が来る
 僕達は何処までも
 旅立てるチケットを持っている

 透明な星屑が手の平に触れたら
 祈りの言葉を捧げよう
 ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ
 世界はひどく美しくて
 壊れそうなほど儚いもの

 手をつないで夕暮れを歩く
 僕達は旅をする彼方へ
 今夢を見ている君と
 一緒にあの宙へ

 透明な星屑が手の平に触れたら
 祈りの言葉を捧げよう
 ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ
 世界はひどく美しくて
 今にも壊れてしまいそうだ
 ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ」

 少しピアノを失敗したけど、なんとか歌い切った。
 会場が、シーンとしている。滑ったかな? とちったのバレたかな? と、不安が胸をよぎった後、
「ありがとうございました」とマイクに言うと、観衆から拍手が起こった。さっきの拍手が、「お愛想」だったことが身に沁みて分かるくらい、はじけるような拍手だった。
 本気の拍手をもらえたのは嬉しかったけど、私の作詞力はまだグミーには及ばないんだと思って、ちょっと悔しかった。
 それと同時に、本当に良い「先生」と友達だったものだと、自分の幸運を喜んだ。

 その文化祭から、なんだか知らないけど、告白してくる男子や、「ファンです」って言ってくる女子が増えた。
 私は、男子には「ごめんなさい」、女子には「ありがとう」と言う言葉を唱えてることが増えた。
 一部の女子の間では、「ミーク・ハツネは誰かに恋をしている」と言う噂が立った。
 それを問いただしてくる人には、「うちの猫に恋してる」と答えている。
 ゆかりんが、私に「いつの間にそんな才能芽吹いたの?」と聞いてきて、2人で音楽の話で盛り上がっていると、アカリーが話しかけてきた。
「ミークさん。もしよかったら、今度一緒にライブ行きませんか?」
「誰の?」と聞くと、「ScarLieって言うバンドなんですけど、今週末にクルアでライブやるんですよ。チケット、2枚あるんですけど…」
「私は仲間外れか」と、ゆかりんが少し不機嫌そうに言う。
「すいません。ほんとは、ミークさんが一人の時に誘おうと思ったんですけど…。此処の所、一人の時をお見掛けし無くて」と、アカリーは申し訳なさそうに言う。
「ライブか…」と私が呟くと、ゆかりんは不機嫌な顔を戻して、「行って来い。勉強だ」と言って、私の肩を叩いた。

 アカリーと約束した場所に、時間前に着くと、アカリーが駆け寄ってきた。「ミークさん。お待たせしました~」
 その時のアカリーは、全身をクラシックロリータファッションで武装していた。
 ちょっとした余所行きを着てきた私は、この時、少々嫌な予感がした。
「スカーライって、どんなバンドなの?」と聞くと、「知らないんですか?」と、アカリーは言って、その界隈では有名な「視覚系バンド」であると説明してくれた。
「ああ、視覚系って言っても、怖いバンドじゃないから大丈夫です。ミークさんの歌の歌詞からして、きっと好きになりますよ」と、アカリーは語る。
 たぶん、アカリーが言っているのは、「ハレルヤ」のほうの歌詞の事だろう。
 グミーが私の先生をしていることは秘密だし、どう説明したものか悩んだけど、余計なことは言わないで、とにかく飛び込んでみることにした。
 ライブハウスに着き、半券を切ってもらう。会場に入って開演を待っている間、アカリーは最初の洗礼を私に教えた。
「ヘドバンって知ってます?」
「何それ」
「ヘッドバンキングの略で、曲に合わせて頭を振るんです。最初はちょっと酔うかも知れないけど、やってみると気持ち良いですよ」
「ふーん」
「後、折り畳みって知ってます?」
「何それ」
「曲に合わせて、上半身を90度折り畳むんです。みんながやってるのを真似すれば、そんなに難しくないです」
「ライブって、音楽を聴くんじゃないの?」
「あー、聞いてる人もいますけど、のってみると楽しいんですよ? もし、のるのが難しかったら、後ろの方で見てれば、怒られません」
「ふーん」
 開演5秒後に、アカリーはライブハウスのステージの方、私は後ろの方に移動した。

作り続ける事を目的としているコラボになります故、月一でアイデアの元としてテーマを掲げております。
テーマから投稿された作品が色々な方々の目に留まり、そこから最終目標のコラボへと通づることが出来れば尚良しです!

楽曲でもよし、動画でもよし、小説、作詞でもよし、イラストでもよし。何でもよし!
とにかく作り続ける事!
身体に無理のないように!

完全思いつきなんで、上手くいくかわからないですが楽しく、そして素敵なオリジナル作品がどんどん増えていければいいなあと思います。

ルールは追々追加していくと思われます。

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