
懐かしい声が脳裏を掠めた
忙しなく切なく
春の香りに満たされた胸の内側が
湿った気がした
花びらよ、まだ散らないでよ
蒼く染まった日々に閉じ込めてよ
瞬きのようでかき混ぜられる胸
ありもしない永遠をほのかに信じていた
切り取った時に今を重ねて
明日なんていらないと憂いを吐き出した
繰り返す季節 駆け足な目線は
少しずつ街を追い越していく
春風の温もりに触れるたび
思い出してしまうの あの群像を
瞬きの中で見ていたものは
甘くてほろ苦くて気づけないくらい透明で
目を瞑ってしまうような未来を
遠い昨日からずっと探している
ないものねだりを繰り返して
些細な隙間までも埋めようとする
瞬きのようでかき混ぜられる胸
ありもしない永遠をもう信じたりしない
散りゆく花びらを辿るように
次の季節がいつか訪れる気がしている
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