The END/第五話

投稿者: usericonルナリーさん

投稿日:2020/10/01 19:17:20 | 文字数:2,921文字 | 閲覧数:94 | カテゴリ:小説

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先月のテーマ「月」への投稿作品です。

こう言う作品は「なろう」とかで書けばいいのかもしれないけど、

一応、二次創作なのでこの場で発表。

「The END」小説版、最終話です。

この物語はフィクションです。

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TEXT
 

 日射しの強い、南の島。浜辺と青い海。青い空には白雲が浮かび、浜辺の砂は焼かれて、ビーチサンダルなしでは歩けない。
 髪の色と反対色の、黄色いけばけばしいビキニを着た私は、白いパーカーを羽織って、浜辺に設置されている白い寝椅子に腰を掛けていた。
 撮影の合間に浜辺を散歩していたら、2つある寝椅子の片方に横たわっていた50代ほどのおじさんが声をかけてきてくれて、半分に切った写真の謎を話してくれたのだ。
 話を聞き終え、私はつばを飲み込み、ため息をついた。
「すごい人生ですね」とだけ、感想を述べた。
「どうだい? 面白かったか?」と、日に焼けた体格の良いおじさんは聞いてくる。おじさんは年齢に見合わず筋肉質な体つきで、その皮膚はサンオイルで光っている。
 寝椅子に寝転んだまま、サングラスをして、半分に切った写真と、お酒の瓶を持って、おじさんは言う。
「写真一枚から、此処まで語りつくせる空想家は、そういないぜ?」
「え?」と、私は聞き返した。「今の、ホントの話ですよね?」
「お嬢ちゃん。俺が酒臭い息吐いてるのにも気づかないのか?」と言って、おじさんはにやっと笑う。「ちょっとしたファンタジーさ。南の国ってもんはファンタジックじゃなきゃな」
「なんだー」と言って、私は肩の力を抜き、脱力した笑顔を作った。「空想だとしても、すっごいスペクタクルを聞いてた気分でした」
 おじさんは、私が肩を落としたのを見て、明るく笑ってからこう言った。
「お嬢ちゃん、仕事で来たって言ってたが、南の島で水着になる仕事ってのはどんなもんなんだ?」
 おじさんは確かに酒臭い息を吐きながら、片手に持ったリキュールをあおる。
「ミュージックビデオの撮影です。ちょっと明るくて刺激的なシーンが欲しいって言われて、ビキニ着ることになったんです」
 私は私の苦労話を始めた。
「この撮影のために、5kg減量したんですよ? なのに、監督から『もう少しぽっちゃりしてても魅力的だね』なんて言われて、かなり落ち込みました」
「ふーん。お嬢ちゃんは、何処かの国のアーティストってことか」
「はい。ルマールって言う国の」
「ああ、ルマール。なんだ。『最初の国』だろ? 知ってるよ。歴史の教科書の最初に出てくる」
「はい。歴史の教科書に出てくる、あの国です」
「はー。ルマールでは、まだミュージックビデオなんて作るのか」
「ええ。古い文化が生きている国なので。この国では作らないんですか?」
「この国では、音楽はライブ配信が主だね。一回チケット買えば、何回でも同じライブが観れる」
「制限期間とかなく?」
「ないねー。どいつも、音楽ってもんは、食事しながら片手間に聞くもんだって思ってる」
「すごく優雅」
「優雅かな? ジャンベって知ってるかい? 手で叩く太鼓なんだが。あれを打ち鳴らすのが、この国の『音楽』さ」
「はい。知ってます。確かに、よくレストランで叩いてる人いますね。確かにあれは…優雅と言うか…情熱的かな」
 そんなことを言って笑ってると、遠くから撮影スタッフの声が聞こえてきた。
「ミークさん、撮影再開しまーす!」
「はーい。今行きまーす!」
 私はそう返事をしてから、
「面白い話、ありがとうございました。続きが思い浮かんだら、また教えて下さい。まだ何日か撮影続くから」なんて言って、自称元暗殺者のおじさんに愛想笑いを振りまきながら、撮影会場へ向かった。
 カメラの前に行く直前で、羽織っていたパーカーを脱ぎ、スタッフに渡す。
 日焼け止めは全身に塗りたくってあるが、首の後ろがちょっとだけひりひりする。
 うぬぬ。さすがに、うなじに日焼け止めを塗るのは忘れていた。

 レナード・ミュラーは、砂浜の寝椅子に寝転び、南の島の日射しを浴びながら、かつての事を思い出す。いや、レナード・ミュラーに過去はない。
 全てはおとぎ話だ。ファンタジーだ。あの世界、あの日常、あの出来事、全部、俺は置いてきたんだ。そう念じながら、酒をあおる。
 水着の上にシャツを羽織った彼の皮膚は、現地人並みに日に焼けていて、体つきは、今でも分厚い筋肉を保っている。
「ルカナ。リンネを頼んだ」
 そう言い残してきた言葉が、「余計なひと言」になっていない事だけが、彼の心配事だった。
 その他に思い煩うことは、この明るい太陽の下には存在しない。
「至上の楽園って言うのは嘘じゃねぇな」と言って、レナードは遠くの浜辺で「波にはしゃいでる演技」をしている、ルマールのアーティストの様子を眺める。
 細身で童顔、まだ日に焼けていない白い肌と鮮やかな原色の水着、アッシュブルーに染めた髪をツインテールにした「お嬢さん」だ。
「良い酒、良い女、良い天気…」と呟き、片手の人差し指をこめかみに当てた。「死んじまいてぇくらい、良い気分だな」
 そう言って、彼は半分に切った写真を見る。金色の髪と、青い目の少女。彼の双子の姉の写真を。
 彼の記憶の中では、彼女は永遠に14歳だった。
 レナードが、「レオン」と言う名の少年であった頃、彼は姉の身の安全を祈り続けた。誰かを殺しながら。
 月の明るい日は、レナードにとって悪夢を思い出させる。
 初めて人を撃ち殺した、少年時代の記憶を。
 あの日は、大きな満ち月が光る夜だった覚えがある。その記憶が正しいのか、それとも美化した幻想なのか。レナードは考える。
 そして、まだ、遥か彼方の国で、「現実」と戦っているはずの、2人の生徒を思い、その身の無事を、祈っていた。
 人を狂わせると言う、月の光に向けて。
「最後の一人にはしない、か」
 姉の残した子供、リンネは、いずれこの島に来るだろうか。
 その時には、まだ自分は生きているのだろうか。
 それとも、あの「嘘吐きルカナ」が、リンネと共にいてくれるのだろうか。
「俺も、まだ生き延びなきゃな」
 そう言って、レナード・ミュラーは日射しの中で目を閉じた。

 ルマールのアーティスト「ミーク」は、7日間、南の島「イーシス」に滞在して、浜辺や島の中の小さな町で撮影を行なっていた。
 そして、休憩の度に足しげくレナードの居る浜辺に顔を出し、「スペクタクル」の続きを知りたがった。
 レナードは、ことごとく話をはぐらかし、むしろ、ミークの話を聞きたがった。
 恋人はいるのか、どんな歌を歌うのか、この島の名物料理は食べたか、お勧めの土産屋があるのだが興味はないか等。
 ミークは、その「お勧めの土産屋」で、イーシスのお菓子をたくさん買った。
 そして、撮影最終日に、わざわざレナードの家を突き止めて、「これ、お話のお礼です」と言って、現地の駄菓子の詰め合わせを渡してきた。
 色とりどりの着色料で染めた、チョコレート菓子が印象的だった。
 レナードは、チョコレート菓子を手の平に乗せ、放り込むように口に運んだ。
 噛み砕くと、喉が焼けそうなくらいの甘ったるいチョコレートの味が広がる。その味は、異国の無垢な「お嬢さん」の記憶と一緒に、レナードの心に残った。
 まるで、少年に帰ったかのような、常夏の国の思い出として。

作り続ける事を目的としているコラボになります故、月一でアイデアの元としてテーマを掲げております。
テーマから投稿された作品が色々な方々の目に留まり、そこから最終目標のコラボへと通づることが出来れば尚良しです!

楽曲でもよし、動画でもよし、小説、作詞でもよし、イラストでもよし。何でもよし!
とにかく作り続ける事!
身体に無理のないように!

完全思いつきなんで、上手くいくかわからないですが楽しく、そして素敵なオリジナル作品がどんどん増えていければいいなあと思います。

ルールは追々追加していくと思われます。

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