あるひのできごと -クーデレに挑んで敗れた話

投稿日:2012/02/23 21:00:35 | 文字数:1,398文字 | 閲覧数:537 | カテゴリ:小説

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タイトルは作中マスターの事でもあり、この私の事でもあり。
……クーデレむずいっていうかわかんねぇわぁぁあ!(←

TLで見かけた「クーデレ」の単語に打ち抜かれて挑んではみたものの、御覧の有様でした。
なんか……違うよねこれ。クールとは違う気がするの。
これはこれで私的に新しいタイプなんだけどね……?
まずはクールを理解しないと駄目な気がします。ちょっと修行の旅に出るか(※余所の作品を読み漁るの意)

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TEXT
 

 KAITO、と言えば。
 うたのおにいさん。皆のお兄ちゃん。優しくて、ちょっと頼りなくて、可愛くて。
 ――そんな風に考えていた時期が、私にもありました。



「っわーーー!? ちょっやだ、起こしてよカイトっ」
 目覚めてみれば物凄い時間になっていて、跳ね起きながら悲鳴を上げた。けれど階段を駆け降りた先、ダイニングで椅子に掛けたカイトは、しらっと冷たい視線を投げてくる。
「知りませんよ。子供じゃないんですから、自己責任」
 続く台詞も視線と同じ冷たさで、正論なのが小憎らしい。しかも奴は最近、体言止めで強調するという手法を覚えてくれた。益々もって小憎らしい。
 何か言い返してやりたかったが、時間が無いし勝てる気もしない。せいぜい恨みがましく睨んだけれど、奴はとっくに視線をはずし、手元のトーストにバターを塗り付けているところだった。ぬりぬり。
 洗面所に飛び込んで顔を洗って、再びダイニングを通過する時には、トーストにハムやら卵やらの具材を挟んでいた。はさみはさみ。
 部屋には焼けたパンとコーヒーの香ばしい匂いが漂って、何とも空腹を刺激する。着替える為に二階へと戻る私には目もくれず、カイトは完成したトーストサンドを置いて優雅にコーヒーを啜るのだった。くそぅ。

 ばたばた着替えて、鞄をひっ掴んでまた階下へ。ダッシュで急げば、ギリギリでバスに乗れそうだ。かろうじて遅刻は免れるかもしれない。しかし勿論、朝ごはんを食べてる暇なんかは無いけれど……。
 と、算段を立てつつ空腹に嘆きつつ慌てていたら、駆け降りる足が階段をひとつ踏み損ねた。
「っっ!」
 落ちる!
 悲鳴も上げられず息を呑んだ時、ダン、と強く床を踏む音が響いて、
「何やってんですか。まったく何処までも手の掛かる……」
 呆れきった声が、耳のすぐ横に聞こえた。
 え、と視線を泳がせるうちに、どうやら抱き止めてくれたらしいカイトは私をきちんと立たせ、身体を離す。
「足、捻ったりしてないでしょうね?」
「あ、え、うん。……うん、大丈夫。ありがt」
「そうですか。じゃあさっさと出た方がいいんじゃないですか?」
 ……感謝の言葉くらい最後まで聞けないのか、この男。
 すげなく遮られてジト目になる私に構わず、カイトは速やかに身を翻した。すたすた歩く背に揺れるマフラーが、やっぱりどうにも小憎らしい。思いっ切り引っ張ってやろうかしら。
 割と本気で手を伸ばしかけた時、すい、とカイトが振り向いた。ばれた?!と内心焦るけど、どうやらそれは杞憂のようで。
「ほら、遅刻しますよ」
 カイトはテーブルに置いたままだったサンドをホイルペーパーでくるりと包んで、無造作にこちらへ差し出した。
 え、と。これは。
「……くれるの?」
 おずおずと受け取ると、よし、とでも言うように小さく頷かれ。そのまま、玄関まで先導されて。
「行ってらっしゃい、マスター」
 ドアを開けて促すそのついでに、カイトは私の髪をひと撫でしていった。声音も表情も相変わらず淡々としているくせに、その指だけがひどく優しく――。



 余談だが。
 不意打ちの指に送り出され、暫しぽかんとフリーズしてしまった私は、我に返ってバス停まで、かつてない本気の全力疾走をする羽目になった。

 デレすら、素直に喜ばせてくれないなんて。本ッ当に何処までも、小憎らしいぃ!!

【お知らせ】テキスト投稿が非常に使い辛いため、こちらでは歌詞や音源のUPとコラボ関係のみに縮小、以後の小説投稿はすぴばる&ピクシブへ移行します。

■小説メイン時々歌詞な字書き……だった筈が、動画編集やボカロ調声、作曲にまで手を出してます。どうしてこうなった。

□ブクマやコメント、有難うございます! 転げ回るほど嬉しいですヽ(*´∀`)ノ
□オールキャラ書くけど9割KAITO。
□使えるものがあればお気軽にどうぞ。使用報告だけお願いします^^ 歌詞については、良識の範囲内であればアレンジや部分使用など改変していただいて構いません。多忙な時期でなければ、ある程度の調整も承ります。

■シェアワールドコラボ主催してます。参加者様募集☆ http://piapro.jp/collabo/?id=15073
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作品へのコメント1

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    ご意見・感想

    これは、萌えしんだ…!!
    かなり物凄く、ときめきましたよ!どうしよう、心拍数がすごいことに(笑)
    確かに今まで藍流さんが書いてきたカイトとは違う雰囲気ですね~。このカイトさんはかなり綺麗な猫系。
    でも敗けてもいいです、こんなカイトさんになら!
    は~もう、ため息しかでない(笑)

    ときめきをありがとうございました ☆

    2012/02/23 22:38:50 From  sunny_m

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    コメントのお返し

    なんとΣ(゜д゜)
    萌えていただけましたか! 良かった! ?sunny_mさんマジ天使/

    いやぁしかし、クールって難しいですなぁ。ツンデレとは違うんだと言うし、どうにも掴めませんでした←
    とりあえず、マスターに冷たいKAITOとか超新鮮ww それでもちゃんと『KAITO』と認識する辺り、流石の兄さんクオリティですねぇ。

    新規開拓で難しくも面白い試みだったので、クールを研究していつかリベンジしたいと思います。
    どうもありがとうございましたー!

    2012/02/24 22:50:55 藍流

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