玩具屋カイくんの販売日誌 (284) サナギちゃんと古い建物

投稿日:2016/08/21 14:41:33 | 文字数:1,354文字 | 閲覧数:55 | カテゴリ:小説

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しばらくすると、向こうを歩くサナギちゃんは、古い建物のなかに入っていった。

まわりには、住宅地が広がり、近くには川も流れている、静かな一角だ。

「なんか、ずいぶん古そうな建物だね」
リンちゃんの言葉に駿河ちゃんもうなずく。
「この町に、こんな建物があるなんて、知らなかったよ」

それは、3階建てのマンションというか、アパートというか、古風な感じの建造物だった。
昭和風、いや、もっと古い、大正風の雰囲気すら、する。

2人がその建物の入り口に寄って行くと、サナギちゃんはもうすでに、
その中のどこかの一室に、入ってしまったようだった。

現代のマンションとは違って、もちろん入り口にはオートロックなどは、無い。
装飾がある作りの、かなり品のある入り口だが。

3階まである各階の、ドアのこちらには、各部屋の共通の廊下がある。
誰でも自由に、それぞれの部屋の前に行けるようだ。


●そこに入ったのかな?

駿河ちゃんは、入り口の中の左側に並ぶ、各部屋の郵便受けをながめ回した。

「ええっと」
ひと通り見て、つぶやく。
「普通の家が多いけど、けっこう小さい会社もあるみたいだね。この建物」

彼女の言う通り、郵便受けには、普通の苗字・氏名の書いてあるもののほかに、
「株式会社○○」「××有限会社」などという字も、ぱらぱらと見られる。

リンちゃんも一緒に、2人で眺めてみたが、もちろん2人の知っている名前はなかった。
サナギちゃんが、関係していそうな部屋は、なさそうなのだが。

「あっ」
そう言って、リンちゃんが指さした、ある郵便受け。
そこには「(株)Moonlit」と書かれていた。
それは、3階のいちばん端の部屋だ。

「Moonlit、か。Moon… なんか“月光企画”と、似てるね」
駿河ちゃんはうなずく。
「そこに、入ったのかな、あの子」


●やってるフリするのよ

リンちゃんは、つぶやく。
「あいつ、ただ、自分の親戚とか、知り合いの家に来ただけ、だったりして」
駿河ちゃんは、口をとがらせる。
「うん。でも、なんか“におう”のようねぇ」

「行ってみる?この部屋の前に」
リンちゃんのことばに、首を振る彼女。
「いや、建物の中に入るのは、マズイよ。さすがにさ」

「でも、サナギだって、いつ出てくるかわかんないよ」
「そうだけど」
話しながら2人は、その入り口をいったん離れて、遠くから古い建物を見守った。

駿河ちゃんは、あたりを見渡した。
すぐ近くを流れている川のほとりは、散歩のできる小さな遊歩道になっている。
そこに、ちょっとしたベンチのような椅子があった。

「あそこで、もう少し、ねばってみよう」
そういって、リンちゃんを促し、そこに向かう。
そのベンチに座ると、向こうに、さっき居た建物の入り口が、見える。

駿河ちゃんは、ベンチに座りながら、ニヤッとわらって、ポケットから何かを出した。
「ただ座ってるだけじゃ、変に思われるからね。長く居るとさ」
出したのは、スマホだった。彼女は、スイッチを入れる。

「リンちゃん、あなたも出して。スマホ」
「何するの?」
彼女はウィンクして、笑った。

「やってるフリをするの。“モケ・ポン GO!”を、ね!」('ー') フフ

雑貨の仕事をしてます。
キャラクター雑貨がらみで、キャラクターも好きです。

音楽も好きですが、好きな曲の初音ミクバージョンを聴いて感心!
ボーカロイドを聴くようになりました。

機会があれば、いろいろ投稿したいと思ってます。
宜しくお願いします。

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