青い草 9話③

投稿者: usericonkanpyoさん

投稿日:2012/06/14 14:06:58 | 文字数:4,441文字 | 閲覧数:121 | カテゴリ:小説

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9話の③番目!

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2年生のとあるクラスでは生徒達がヒソヒソ話をしていた。

窓際に座り、外をづーっと見続けてる
一人の女子の事を話してるのだ。

長い髪は金髪で、今時なかなかいないロングスカート。

切れ長の目はまつげも長く、とても整った顔。

それらが組み合わさり冷淡な感じで
近寄りがたい雰囲気を持っている。

『すっごい不良らしいよ』
『何度も補導されてるんだってウワサだよ』
『一人で10人位とケンカして勝ったんだって』
『でもさ、学校行事にぜんぜん参加しないんだよね』
『クラスのイベントも協力してくれないしぃ』

ヒソヒソと話してるのに気づいた
ロングスカートの女子生徒はギロリと視線を向ける。

ヒソヒソ話していた生徒達は
コソコソと教室を出て行った。

大きな溜息をついて席を立ち
カバンを持つとロングスカートの女生徒は
教室を出て行った。



「ふ~~ん……、あの娘が学園一の不良とウワサの?」

「はい。2年生の『リリィ』でござる」

メイコとガクポは廊下を歩くリリィの後姿を見ていた。

「へ~~、今時、珍しい気合の入ったレトロな不良ね。
……で、実際どうなの?何か不祥事とか」

「無いでござる。むしろ―――おとなしい部類で
それが逆に不気味でも……あるのでござるが……」

「まあ、姿、カッコは風紀的に良くないけど―――」

「けど?」

腕を組んでメイコは笑みを浮かべた。

「個人的に嫌いじゃないよね、あの雰囲気―――」

「おや、同じ匂いを感じましたでござるか?」

ガクポは少しメイコをからかう感じで言った。

「おっ!言ったね~」

メイコはガクポの脇腹を軽くパンチした。

「あはは、からかって申し訳ないでござる。
して……対処は如何なされるか?」

「うん、私の代では放置しておこう。害は多分ない。
私達、忙しいしね。
次期生徒会の宿題にしておきましょう」

メイコにとってこの手の問題はさほど難しいものではない。
度胸もある、物怖じしない、頭が切れる。
そんな彼女なら幾らでも対処できるのだ。

対処しないのはきっと、メイコに考えが
あるのだろう。そうガクポは察した。

「今後、必要な―――キャラでござるね」

「まぁ、そういう感じかな。強面キャラも
居てもいいんじゃないかなって。さて、次の視察は?」

「言いにくいのでござるが、野球部のラーメン屋が難航してまして……
なにやら、『本当のラーメンはこんなんじゃない!』と
部員達がいってた次第……」

「ちぃ!やつら(野球部)生意気に舐めやがって!とっちめてやる!」

「あはは、お手柔らかに」

プンスカ怒って歩くメイコの後をついてゆくガクポ。

こうして一緒に歩く機会も無くなるのかと考えると
少し感慨深くなり、少し前を歩く彼女の後姿を
目に焼き付けとこうとガクポは思った。



――――――――…◆



新聞部の部室ではリンとレン、その向かいにグミが
座っていた。

「……つまり、グミ先輩は生徒会長立候補を取りやめる―――
という事ですか?」

リンがたずね返すとグミは頷いた。

「うん……、やっぱり私には荷が重いし
まあ、ちょっとだけ興味があっただけなんです。生徒会。
メイコさんに憧れたっていうミーハーな部分も大分あるし……」

グミは微笑みながら話した。

「ちょっと、だけ、興味があった。ねぇ……」

鼻から息をふ~~っと抜いてリンはグミの後にある歴代生徒会の
活動記録帳と、机の上に数冊重ねられたノートに目をやった。

付箋が至る所のページに挿まれていて
あきらかに沢山の文字を書き込んだであろう
少し膨らんだノートにはきっと
今後の生徒会活動についての事をまとめてるのは
容易に想像がつく。

ミクよりも生徒会に対する姿勢は本物だと
リンは思った。

しかし、当の本人が「降りる」といえばそれは仕方ないことだ。
実際、選挙になれば学園内一の有名人であるミクに
票が集まるのは目に見えてる。
余程の戦略がなければ勝てる選挙じゃないのだ。

恥をかく前に辞めるのも……ひとつの考え。
グミの選択は間違ってはいない。

リンは頭の中でそう考え、すくっと立ち上がり言った。

「先輩、話は十分わかりました。その件
うちのミク先輩にも言っておきます」

「うん……、色々ごめんねって伝えてね」
グミは笑顔で言った。

「はい」

リンが新聞部を出ようとレンを引っ張ろうとするが
レンは微動だにしない。


「おい、いくぞ、レン」

「……、嘘だわん。それに、取り消しちゃダメだわん」

「……」

グミは黙り込んでしまった。


「グミ先輩は……本当は選挙に挑戦したいんだわん!
メイコさんを本当に尊敬してるんだわん!
生徒会をもっと良くしたいんだわん!

……僕にはわかるわん!

笑顔はたまに……、嘘をつくんだわん!」


レンは幼い頃、たった一人の友達だった
白いワンピースの少女を思い出していた。

「レン君、お別れなの」

「嘘だわん、嘘だわん!」

「ううん、本当だよ。今までありがとう……」

ワンピースの少女はとびきりの笑顔をレンに見せた。

きっとあの少女は、レンを悲しませないため
傷つけないために、精一杯の笑顔を作ったのだ。

それは―――嘘の笑顔。

相手を傷つけないようにするって事は
自分を傷つける事なのだ。

嘘の笑顔には罪は無い。

いや―――たった一つだけある。

それは、嘘の笑顔の意味に気づいた時

それを理解できなかった幼い時の自分の愚かさ。

後悔が自分を責める。
もう、どうしようもないとは分かっているのだが
少しだけだが、あの少女を幼いレンは責めてしまった
という後悔。


その時、どうしたら良いのか?

簡単だ。

一緒に泣けば、二人で一緒に泣けば良いのだ。

そうすればきっと、その後に本当の笑顔になれたはず―――。
そうすればきっと、あの少女の悲しみも和らげたはず―――。


「メイコさんやカイト先輩、変な言葉使いだけど
ガクポ先輩達はかっこいいわん。すごいわん。
科学+生徒会部って何か変だけど楽しいわん。

僕、バカだわん。
頭が悪いわん。だけど
生徒会に興味が沸いてきたし、大好きになってきたんだわん。

きっとグミ先輩は自分に嘘ついてるわん。
憧れすぎて近づけない気持ちもわかるわん。

だけど、あきらめちゃダメだわん。

絶対に後悔しちゃうわん。

僕、手伝うわん。いっしょにやるんだわん!
だからグミ先輩、僕に色々と教えてわん」

ボーゼンとレンの言葉を聞いていたグミは
不意に胸と、目の奥から熱いものが込み上げてくる。

レンのつたない言葉ではあったが
十分にグミの心に伝わった。


ぐすんと鼻をすする音がした。

グミは後を向いて静かに鼻をかむ。

鼻と目を赤くしてグミは言った。

「うん、ちょっと……弱気になってたかも。
もうちょと、がんばってみる。レン君、改めてヨロシクね」

「わお!ヨロシクだわん!」

「それと……なぜ二人は―――、メイド服なの?」

ずっこけるリンとレン。

「今更ですか!」

リンが突っ込むと3人とも笑った。

「二人のそんなカッコにも気づかないほど
参っていたんだね……。反省します」


「うん、じゃあ……俺はこの辺で出て行きます。
こいつは置いてきます。今、いろいろ盛り上がってるようだし
具体的な話も少しはしておいたほうがいいです。
いま更だけど先輩、正々堂々と戦いましょう」

リンはグミに手を差し
グミと握手した。

新聞部の扉をゆっくりと閉じてリンは一人出て行った。

早速扉の向こうではレンが何か質問してるようだ。

『あいつは、好奇心の塊だからグミ先輩、苦労するぞ』

リンは心の中でそう呟くと
ふふふ、と笑みを溢す。

チクリ

「いて」

リンは胸から痛みを感じた。

「ちぇ、またマチ針が刺さってんのかな?」

胸を慎重にまさぐるがどこにもマチ針は見つからない。

チクリ

「いたたっ」

胸を刺す痛み。

心を刺すこの痛みをリンは
ただ首をかしげるしか

今は、できなかった。



―――――――――…●



「ふん!まったくけしからん!」

職員室でキヨテル先生は鼻息荒く呟く。

「あら?どうしたんですか先生?」

斜め前に机を置く保険医の巡音先生が尋ねた。
相変わらずスタイル抜群で色気漂う女性教師である
彼女は本日長い髪をグルグルと巻いてアップして
更に大人の色気を駄々漏れさせている。

そんな装いもキヨテル先生はお構いなしで
ギロリとした目をメガネの奥でさせて
巡音先生を睨んだ。

「どうもこうもありません!不潔だ!淫らだ!まったく……。
文化祭の最終行事であるキャンプファイヤーとフォークダンス
について私は怒ってるんです!

男子と女子が手を繋いで踊るなんて、不純異性交友です!

男子は、男子と手を繋いでフォークダンスするべきだ!」

バンと机を叩く。びくっ!と驚いたのが
キヨテル先生の真後ろに机を置く重音先生。

一瞬、重音先生の結わえたドリル状のツインテールが
少し伸びたように見える。

「あはは、でもせっかくの機会ですもの
男子と女子がたまには皆で仲良く手を繋いでも―――
良いじゃありません?」

「いかんです!そ・れ・が!不良の始まりなんです!」

「え~~~?それくらい、いいじゃないですか~~」

重音先生は後ろを向きながら言うと
ダン!とまたキヨテル先生が机を叩いた。

また重音先生のツインテールが、びよーんと伸びる。

「全く!あなたは、それだから生徒に甘くみられるんだ!」

「う~~~~っ……」

「まぁまぁ、お二人とも、落ち着いてくださいね。
ほら、お茶を淹れましたから―――どうぞ」

いつの間にか巡音先生は湯飲みに緑茶を注いでくれていた。

「ふむ……、ありがとうございます」

「わぁい!巡音先生ありがとう」

三人は向かい合ってお茶を飲み始める。
キヨテル×重音の争いは一旦休戦のようだ。

(ちぃ!カイト君とレン君のきゃわいいお手々が
女子共に汚されるのが
なんとも気に入らん!かくなる上は……)

厳しい顔をしているが
キヨテル先生が不純な思いを巡らせている。

その様子を見て巡音先生は
教育熱心な方で素敵だなと思って
キヨテル先生を見つめていた。




窓の外はとっくに日が沈み暗くなってるが
いつもと違うのは文化祭の準備で未だ生徒達が
多数残っており校内は騒々しかった。


トイレで一人メイド服を脱ぐリン。

メイコに連れ回されるカイトとガクポ。

新聞部で話し合うレンとグミ。

職員室で憤慨するキヨテル。



それぞれの文化祭が、もうすぐ始まる。


【つづく】


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・小説を書こう!
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作品へのコメント1

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    ご意見・感想

    今回も面白かったです!
    最近忙しくて感想かけてませんがいつも拝見させていただいてます。
    続きも楽しみです。

    2012/06/17 16:55:38 From  古月

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