『二人の後悔』2

投稿日:2009/11/18 11:46:13 | 文字数:982文字 | 閲覧数:742 | カテゴリ:小説 | 全2バージョン

ライセンス:

前バージョンはショートバージョンですが、あともう少し続きます。

前のページへ
1
/1
次のページへ
TEXT
 

「…ここを見て、旅人さんはどう思う?」

少女に後ろからいきなり声をかけたのは、端正な顔立ちの紅い髪をした少年だった。
少年は問いを繰り返し、石碑をどこか沈痛な面持ちで見つめた。

「……え、えぇ…哀しい、と感じるわ…。」

「哀しい、か…。
僕も、そう思うよ。
……旅人さん、広場は見た?
あそこ、今は憩いの場所だけれどね…。」

少女は少年に恐怖を感じながら、つたなく答える。
少年はそんな少女の様子を気にかけることもなく、独り言の様に呟いた。

「広場は、さっき…見たわ。」

「ふぅん、そっか。
……ねぇ、旅人さん。
この国の歴史は、いろいろと哀しいんだよ。
ほんと、いろいろとね…。
…じゃ、楽しんで。」

「……………。」

少年は終始哀愁を漂わせながら、意味深な言葉を残して、始まりと同じように突然終わりを告げた。
少女は少年の小さくなっていく背中を、じっと見つめる。
…きっと、あの同い年くらいの少年は、私が奪った命に取り残された人なんだろう。
この国には、そんな人が大勢居るんだ。

「……………。」

少女はその場に跪くと、しばしの間黙祷を捧げた。
そして、少女も去って行った。

危険を冒してまでこの国に戻ってきた、その目的のために。

「…全然、あの頃から変わってないのね…レン。」

少女は街外れの小さな港にいた。
服が濡れるのも構わずに、波打ち際に立つ。
まだ何も知らず、幸せだったあの頃から、この静かな海は変わっていなかった。
よく王宮を抜け出して、レンと二人で来ていた海。
少女にはあまり興味がない場所だったが、レンが珍しく、二人で行きたいって目を輝かせて言う所だったから。

「レンは…何をお願いしていたの…?
いつも、真剣に…。」

少女の目に、あの頃の真剣に祈るレンの姿が浮かぶ。
いつもいつも、自分の願いはレンが全て叶えてくれたから、その内容に興味を向けることもなかった。
レンは、自分の我が侭を叶えるためにどれだけの苦労をしてきたのか。
レンが居なくなってからの数年、何度もどれだけ自分が愚かだったかを思い知らされた。
そして、どれだけレンを困らせていたかも。

「レン…ごめんなさい、ごめん、なさい…。」

決して届くことのない謝罪を、少女は嗚咽混じりの声で繰り返す。
それは夕日が海を照らし、茜色に染まるまで続いた。

作品へのコメント0

ピアプロにログインして作品にコメントをしましょう!

新規登録|ログイン

オススメ作品10/28

もっと見る

▲TOP