【ぽルカ】 ひどいあなたに捕まった
投稿日:2012/03/06 22:36:12 | 文字数:1,812文字 | 閲覧数:7,429 | カテゴリ:小説
*前のバージョンで続きます。全4Pです*
今回は殿に頑張ってもらいました。姫も頑張った。
出会ってからわりと時間は経っていますが、㍉単位で進展のなかったリア充が少しだけ走ってみた。
どうして貴方を追いかけてしまうのかわからない。外見ばかり成熟して中身の追い付かない人たちのお話です。
うちのぽルカの関係性は前作「あなたのことが好きです。ウソです」を読んで頂けるとわかりやす、い?
もしお時間がおありでしたらどどどうぞ…(土下座)
*注意事項*
カイメイ要素あり。今回ほぼレンくんはお休みですが一応クリプトン一家タグを付けさせて頂きます。
うちの姫様は最早フォークとワンセット(vs殿専用)になっちゃいましたすみませんw
ぽルカ可愛い565656@@@@@
薄暗いスタジオの片隅。今日の撮影の主役である2人の美男美女が、見つめあい小さな声を交わし合っている。
スタッフたちは一様に気を利かせ、決して傍には近寄らないようにしていた。
ただはたから見ればどこかぎくしゃくしたその様子は、仲睦まじいご両人の邪魔をしないための心配りというより、触らぬ神に祟りなし、という形容がふさわしかったかもしれない。
「寸止めです」
「承知」
「寸止めです」
「承知している」
「寸止めですから」
「…重々、承知している」
ルカは腕を組み、この上なく不審な目つきで目の前の紫をジロリと睨み上げた。
2人の距離はきっかり1メートル。それ以上はルカのフォーク(獲物)のリーチ内である。
「だからわたくしはお引き受けしたんです。寸止め以外なんてあり得ませんから」
「…その前に、なぜルカ殿はいつもその三つ又を所持されているのか問いただしたい」
「デフォです」
「………。……そうか…」
そうか、自分の美振(刀)と同じようなものか。ならば仕方あるまい。巡音ルカにそんなオプションが付いているなどという情報聞いたことはないが…
「…わたくし、好きでここにいるんじゃありません。お仕事ですからいるんです。別にあなたがどうだとかこうだとかじゃなくて、断る理由がなかっただけですから」
「よくよく、理解した」
「お仕事ですから」
「承知した」
「寸止めですから」
「…承知したと言っておる。我とてそのつもりで参ったのだ。異論はない」
そこまで言っても尚、物言いたげな目つきでこちらを睨んでくる様は、桃色の子犬がうーうーと唸っているようにしか見えない。
がくぽは繰り返される問答に飽きたのか、若干冷めた目で眼下のピンクを見下ろした。
そして、ふぅ、と一息。少々、キツイ口調で、
「……拙者とて玄人、仕事の内容を曲解したりはせぬわ。あくまで寸止め、それ以上はもってのほか、それでいいのであろう。誓約が望みとあらばそれも厭わぬ、紙と筆を持たせ、ここでしたためてしんぜようか?」
「…っ。……けっこうです!」
わずかな刺を含む声に矢継ぎ早にたたみこまれる。
普段がくぽは、ルカに対してこんな攻撃的なものの言い方は決してしない。思いもよらぬ攻撃にひるんだのか、ルカは口唇を噛みしめて黙り込み、スカートの裾をきゅっと掴んで俯いた。
…まるでうなだれる子犬のような彼女の頭のてっぺんを見下ろしながら、がくぽは改めて自嘲のため息を吐いた。
失敗した、と。大人げない真似をした。それは彼女ではなく己に対する侮蔑。
…今日は確かに少しばかり心持ちに余裕がない自覚はあった。
大したことではない。つまらない気がかりだ。ルカには全く関係ない。それなのに。
己の精神の未熟さゆえに女人を打ち負かそうとするなど武士の風上にも置けぬ。こんな展開は本意ではなかった。
「―――拙者、ルカ殿の嫌がることは決してせぬ」
意識して、柔らかい声音で告げた。少しでも挽回できぬかと思い、内心必死に。強くあたってしまったことに対する謝罪の念もこめて…要するに、ご機嫌取りだ。
「撮影は全て真似ごと。ルカ殿が嫌だと言うなら、出来得る限りの距離を保とう。絶対に、何があろうとも、余計に触れ合いはせぬ。…拙者は、ルカ殿には、触れぬ。安心されよ」
一つ一つ言葉を切り、優しく丁寧に教え込むように、告げた。
ルカはずいぶん長いこと俯いたまま身動ぎもしなかったが、そのうちゆっくりと顔を上げた。
精一杯の気遣いの込められた言葉にも、まだ何かしら不満があるのか、釈然としないのか。
その顔は誰の目から見ても、明らかに拗ねているとしか形容できないものだった。
下口唇を小さく噛み、上目使いににらみ上げる瞳は、限りなく物言いたげに潤んでいて。
端麗な美しさを誇る彼女が浮かべるには、どうにも子供じみたそれ。
そしてこの表情を、密かにがくぽは非常に好んでいた。
言いたいことがあるなら言えばいい、と思う反面、美女にこんな風にねだるような視線を向けられるのも男として悪い気分ではない、ということだ。不快な気分だからこそこのような顔をしているルカにしてみれば、喜ばれるなど腹立たしいだけだろうけれど。
そんなことを考えながらただ見つめ返すだけのがくぽに、ルカは不満そうに眉をひそめ、
「―――そうですか」
低く呟くと、背中を向けた。美しい髪が弧を描き、足早に遠ざかって行く。
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【ぽルカ】 あなたのことが好きです。ウソです。
その時のルカの様子を、メイコもカイトもハッキリ覚えている。
目を大きく見開いて、口を引き結んで押し黙ったまま、まるで彼女だけ時が止まったかのように硬直して、じっと目の前にいる人物を凝視していた。
それはほんの数秒のことだったろうけど、突然の不自然な沈黙はその場にいた全員を妙な静けさで満たした。
そしてルカは突如何も言わずクルリと踵を返し、ピンクの髪をなびかせて皆の前を横切り、リビングから出ていった。
【ぽルカ】 あなたのことが好きです。ウソです。
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【カイメイ】 お兄ちゃん、お願い! 【KAITO生誕祭】
女所帯である。必然的に女性陣が強い。
それは単純に数の差と、やはりそれぞれの性格の問題だろう。
カイトもレンもそれほど自己を主張するタイプではないので、基本的にこの家の主導権は女性側にあった。
まず、台所と家計と一家の平和を預かるメイコには男性陣どころか誰も勝てない。
【カイメイ】 お兄ちゃん、お願い! 【KAITO生誕祭】
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【ぽルカ】 いつか桃色に染まるまで 【がくぽ生誕祭】
知らなかったです、ほんとです。今日が7月31日だとか、その日がどうだとかこうだとか、ほんとに知らなかったです意識もしてなかったです。
たまたまです、ほんとです。今日はたまたま仕事もなく、たまたま特にすることもなく、たまたまちょっと出掛けてみようかと思っただけです。
知らなかったです。ほんとですよ。ほんとです。ほんとですよ。
ルカは、呪文のような文句を延々と脳内で自分に言い聞かせながら、鏡に映った女とにらめっこした。
気が付いたら、お化粧の時間にいつもより20分多くかけていた。それでも鏡の中の顔は不満げだ。
【ぽルカ】 いつか桃色に染まるまで 【がくぽ生誕祭】
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【カイメイ】2355
私の弟兼恋人は、どうやら羞恥心がないらしい。
TPOを無視して好きだとか愛してるとか囁くし、妹たちの前でも平気で抱きつくし、おまけに甘えたで泣き虫で。
恥ずかしいからやめなさいと何度言っても治らないので、もうこれは病気だと思うことにして早数年。
…病状は、悪化の一途をたどっているような気がしなくもない。
「……」
【カイメイ】2355
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【カイメイ】お菓子がないなら・2【レンリン】
「カイト、それ6個目」
「う…」
オレ専用のクーラーボックスからモナカアイスを手に取ったら、シンクで洗い物中のメイコがこちらに背を向けたままそう言ったので、かなわん、と思いながらモナカを戻し、扉を閉めた。
アイスは1日10個まで、と定められているオレにとって、まだ午後3時の時点で6個目となるとあとがつらい。風呂上がりに3つは行くから。
「あーでも口寂しい」
【カイメイ】お菓子がないなら・2【レンリン】
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【カイメイ他】Bad ∞ End ∞ Night 前夜
――静かになった部屋の中 拍手を送る謎の影
『今宵は良い舞台でした…』 手紙を拾って泣いていた――
ごめんなさい。
ごめんなさい。
せっかくの舞台が壊れてしまったの。
【カイメイ他】Bad ∞ End ∞ Night 前夜
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【カイメイ】モーニングコール
――今日もまた、腕の中は空っぽだった。
薄暗い部屋の中、ぼんやりと目を開く。壁時計は起床時間の10分前を示していた。
空しく宙を切った右腕を自分自身に誤魔化しながら、俺は寝返りを打つ。
夢の中では確かに彼女を捕まえたはずなのに。柔らかさも甘い匂いも、俺の手には何も残っていない。
もう何度目だろう。次いつ会えるか決まっていない時に限って、こんな夢ばかり見る。
【カイメイ】モーニングコール
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小説『白蝶―White Butterfly―』
どうして…彼はずっと黙ったままなのか。
握り返してくれてはいる。でも、その体温は冷たく感じて。
ずっと傍にいれれば良いと思っていたのに。
こうして、一緒に座っていられれば、それで十分だって…。
でも、実際それが叶うと。
小説『白蝶―White Butterfly―』
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【ぽルカ支援】 留守番と和菓子の昼下がり 【eppy.01】
ちょっとはオリジナル色のあるものを、と思って書いてみた。
ぽルカ(がくルカ)のカップリング要素あり。苦手なひと、ご注意ください。
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【ぽルカ支援】 留守番と和菓子の昼下がり 【がくルカ応援】
1.留守番
【ぽルカ支援】 留守番と和菓子の昼下がり 【eppy.01】
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【カイメイ】 大人の仲直り
カイトはすれ違う人が驚いて振り向くようなスピードで駅の階段を駆け降りた。
仕事帰りのメイコが自分を待っている。
久々に大ケンカをして、一日連絡がつかなくて、思わずプレゼントなんか買ってしまって、やっと繋がった電話の向こうで、怒っていたはずのメイコからかよわい声音で謝罪なんか聞かされたら、のんびりしていられるわけがない。途中で「前方の電車が遅れているため間隔調整に5分ほど停車します」というアナウンスが流れた時、(死ねばいいのに…!)と歯ぎしりしたことは彼女には秘密だ。
「カイト!」
駅を飛び出し彼女が待っているカフェに向かおうとしたら、後ろから他でもないメイコの声に呼ばれ、びっくりして振り返った。
【カイメイ】 大人の仲直り
MEIKOさんを筆頭に、年長組、大人組、ボーカロイドが大好きです。
液晶の向こうに行くことは諦めたので悔しいけどめーちゃんはカイトさんに任せることにしました。幸せになれ。幸せになれ。