shutter

投稿日:2014/05/28 19:12:15 | 文字数:514文字 | 閲覧数:61 | カテゴリ:歌詞

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写真を撮ることが好きな少年が、最後に何を写したのか。

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TEXT
 

大好きな父からもらった、その重いポラロイドカメラは
僕の瞳に写したものを全て、色鮮やかに現像してくれた。

シャッターを切るあの瞬間、僕の記憶の引き出しに一枚の絵として収納される。
その光景が全て、僕の一部になっていた

でもある時、気づいたんだ。
僕は僕を見ていることを。
地平線に沈む橙色の太陽も、暗闇に青白く輝く満月も、
大きな手で優しく撫でてくれた、あの父の手も
全部全部、僕の中に写ってしまった。

「好きなものを残しなさい」
記憶は不安定だからと、父は僕に形になるものをくれたのに。
あの時庭にあった向日葵がずっと僕を見下ろしているのを、知りたくなくて 知ろうとしなくて、
僕はまた、滲む視界を誤魔化すようにファインダーを覗いた。

世界が全て現像された時、僕は何もない世界にただ一人残された。
最後のポラロイド、真っ白な世界は何も写らない。
あんなに綺麗だった景色もいつしか空っぽになっていて。
僕は僕に問う、「笑顔はどこに置いてきた?」

ああ、被写体は最初から決まっていたんだ。
僕はレンズを向けて 忘れていた色を写し出す。
それは鮮やかに僕の知らないところで、
一枚の小さな世界が、出来上がるのを待っていた。

セキトと読みます。
恋愛中心に詩を綴っています。

もし何かに使って頂けるのでしたら、お手数ではありますが事後報告で構いませんのでお知らせいただけると嬉しいです。

改変については原型が分かる範囲でしたら変更、添削して頂いて構いません。(一人称や文末、語呂合わせや言い回しなど)

よろしくお願いいたします。

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